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そのにじゅう
イメチェン
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寝起きの髪型が最近やけに爆発するリシェを見たラスは、髪伸びてきたんじゃないですか?と思うまま口にする。
リシェはぼさぼさとあちこちに飛び跳ねる髪を寝ぼけ眼のままでかき上げて「そうだな」と返した。
「髪切らなきゃいけないな」
動く度に寝癖がびよんびよんと跳ねているのが、妙にラスのツボに入った。ふふふと彼は笑い声を上げる。
「何がおかしい」
「いや…無防備な先輩もいいなあって」
「………」
時間を見つけて髪を切りに行こう、とリシェはベッドから降りてあくびをしながら準備を始める。
「何なら今日は俺がセットしましょうか、先輩!」
「いや、別に俺は普通でも」
長くなってきたとはいえ、普通に見られる髪で構わないのだ。地味な性格のリシェは無意味に変化して注目される事を嫌う。
眠気と戦う不機嫌そうな顔をしながら、彼はやる気満々のラスに「普通でいいからやらなくてもいい」と拒否した。
「まあまあ、先輩!たまにはイメチェンもいいと思いますよ!」
むしろやりたそうにしているようにも見えてきた。
断ろうが自分の意見を押し通すのだろう。
リシェは面倒そうにしつつも、そんなに時間かからないやつならいいぞと渋々承諾した。
シンプルでいいというリシェの意見を丸無視し、ラスはヘアアイロンやらワックスやらピンやらを用意し、本格的にやろうとしてきた。
何をやる気だ!と怒るリシェに、背後に立つラスはまあまあと落ち着かせて床に座らせる。
「普通でいいって言っただろう!焼きゴテなんかやらなくていい!」
焼きゴテって…とラスはリシェの言葉のチョイスに違和感を覚えつつ、大丈夫だから!と手慣れた様子で勝手にアレンジを開始する。
髪が焼ける、と怯えるリシェ。
「暴れると皮膚が焼けますよ?」
そう言いながら手早くリシェの髪を綺麗に分け、アイロンを当てた。
僅かながらに熱を感じ、処刑されている気分に陥るリシェ。うんんと目を閉じてひたすら我慢していた。
「燃えたりはしないのか」
「扱い方に気をつければ燃えませんよ…」
「熱が伝わって死ぬかもしれない」
「死にませんって」
ひたすら我慢して十分後。
ラスは楽しそうにリシェの髪を弄りながら「耳も出しておきましょう」と横の髪を耳にかけ、ワックスを丁寧につけていく。
遊ばれているような気分だ。
無造作っぽくセットされ、前髪はふんわりと起こしてピンでしっかり止められ、最後にはがっつりとスプレーで固定されてしまう。
得意げに「できたぁ」と鏡で見せられた自分の姿に、リシェは困惑しながら「誰だこれは!」と叫んでいた。
「誰って…先輩ですよ、先輩」
「俺じゃない!」
見た事のない姿に困惑していると、ラスは真っ正面からリシェの顔を優しく両手で包み込む。
うぐ、と言葉を詰まらせるリシェ。
「こんな垢抜けた感じの先輩もいいなあ。ね、これから髪のセットさせて下さいよ」
朝からこんな事に時間を取られたくはない。
「嫌だ、面倒臭い!」
リシェは唸りながらラスの手を払おうと彼の手首を掴む。しかし相手は一向に離そうとせず、むしろ軽く唇に口付けをしてくる始末。
「!!」
一瞬で唇が離れ、してやったりの表情でラスは笑った。
「今日はこの髪型で学校行きましょうね、先輩!」
時間も迫り、もう直しようもない。
リシェはぷるぷると震えながら「一日だけだ!」と立腹する。どさくさに紛れてキスなどとは、と。
一方のラスは非常にご満悦な様子を見せていた。
はあ…と溜息をつきながら教室へ足を踏み入れた瞬間、リシェの姿を見てか教室内の生徒達は異様に騒めく。
いつものリシェではない事に。
不良になったのかとまで言われる始末。だから普通が良かったのにと席に座ると、しばらくして遅れて入ってきたスティレンがこちらに向けてズカズカと近付いて来る。
開口一番、彼はリシェに対して「ちょっと!」と怒鳴ってきた。
「何だよ…」
朝からやかましいなと眉を寄せていると、彼は「その席はリシェの席だろ」と当たり前の事を言いだした。
「誰だよお前!!」
どうやらあまりにもイメチェンが激しくて、リシェだと認めたくなかったらしい。
「俺だよ」
従兄弟のくせに従兄弟の顔すら覚えていないのか、とかくりと頭を垂れた。
リシェはぼさぼさとあちこちに飛び跳ねる髪を寝ぼけ眼のままでかき上げて「そうだな」と返した。
「髪切らなきゃいけないな」
動く度に寝癖がびよんびよんと跳ねているのが、妙にラスのツボに入った。ふふふと彼は笑い声を上げる。
「何がおかしい」
「いや…無防備な先輩もいいなあって」
「………」
時間を見つけて髪を切りに行こう、とリシェはベッドから降りてあくびをしながら準備を始める。
「何なら今日は俺がセットしましょうか、先輩!」
「いや、別に俺は普通でも」
長くなってきたとはいえ、普通に見られる髪で構わないのだ。地味な性格のリシェは無意味に変化して注目される事を嫌う。
眠気と戦う不機嫌そうな顔をしながら、彼はやる気満々のラスに「普通でいいからやらなくてもいい」と拒否した。
「まあまあ、先輩!たまにはイメチェンもいいと思いますよ!」
むしろやりたそうにしているようにも見えてきた。
断ろうが自分の意見を押し通すのだろう。
リシェは面倒そうにしつつも、そんなに時間かからないやつならいいぞと渋々承諾した。
シンプルでいいというリシェの意見を丸無視し、ラスはヘアアイロンやらワックスやらピンやらを用意し、本格的にやろうとしてきた。
何をやる気だ!と怒るリシェに、背後に立つラスはまあまあと落ち着かせて床に座らせる。
「普通でいいって言っただろう!焼きゴテなんかやらなくていい!」
焼きゴテって…とラスはリシェの言葉のチョイスに違和感を覚えつつ、大丈夫だから!と手慣れた様子で勝手にアレンジを開始する。
髪が焼ける、と怯えるリシェ。
「暴れると皮膚が焼けますよ?」
そう言いながら手早くリシェの髪を綺麗に分け、アイロンを当てた。
僅かながらに熱を感じ、処刑されている気分に陥るリシェ。うんんと目を閉じてひたすら我慢していた。
「燃えたりはしないのか」
「扱い方に気をつければ燃えませんよ…」
「熱が伝わって死ぬかもしれない」
「死にませんって」
ひたすら我慢して十分後。
ラスは楽しそうにリシェの髪を弄りながら「耳も出しておきましょう」と横の髪を耳にかけ、ワックスを丁寧につけていく。
遊ばれているような気分だ。
無造作っぽくセットされ、前髪はふんわりと起こしてピンでしっかり止められ、最後にはがっつりとスプレーで固定されてしまう。
得意げに「できたぁ」と鏡で見せられた自分の姿に、リシェは困惑しながら「誰だこれは!」と叫んでいた。
「誰って…先輩ですよ、先輩」
「俺じゃない!」
見た事のない姿に困惑していると、ラスは真っ正面からリシェの顔を優しく両手で包み込む。
うぐ、と言葉を詰まらせるリシェ。
「こんな垢抜けた感じの先輩もいいなあ。ね、これから髪のセットさせて下さいよ」
朝からこんな事に時間を取られたくはない。
「嫌だ、面倒臭い!」
リシェは唸りながらラスの手を払おうと彼の手首を掴む。しかし相手は一向に離そうとせず、むしろ軽く唇に口付けをしてくる始末。
「!!」
一瞬で唇が離れ、してやったりの表情でラスは笑った。
「今日はこの髪型で学校行きましょうね、先輩!」
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