異世界学園の中の変な仲間たち2

へすこ(ひしご)

文字の大きさ
25 / 101
そのにじゅうよん

ロシュの変態っぷりは他者を引かせる

しおりを挟む
 授業の合間の休み時間を利用して、リシェは提出物を届ける為に職員室に居た。転入関連の書類を担任教師であるオーギュスティンに渡し終えると、これで集めるべき書類は全て整いましたと告げられる。
 リシェは「良かった」と安心した。
「どうですか?学校生活は」
「だいぶ慣れました」
 オーギュスティンと会話していると、何故か妙な安心感を覚えてしまう。外見はキツそうに見えるのに、不思議な感覚だ。昔から知っているような懐かしさを感じる。
 その一方でオーギュスティンも、不思議な気持ちになっていた。
 …私、この子を前から知っているような気がする。
 何故そんな考えが過るのか、お互い知らないままだ。
「そうですか。それなら良かった。あなたが安心して生活出来るならこれ以上の事はありませんよ。困った事があればいつでも私に言いなさい」
「はい」
 和やかに会話をしていると、保健室からロシュが戻って来た。相変わらず無駄に外見が良い彼は、室内に足を踏み入れるだけで一気に空気が変化する。
 肩までの緩いウェーブがかった髪を無造作に後ろで一つにまとめて端正な顔の形を明確に見せている為、まるで彫刻のような見映えだった。
 彼は周囲を見回すと、強烈な引力を感じたかのようにオーギュスティンと向き合って話をしている少年の姿を見つける。そして胸をぎゅううっと締め付けられる感覚に陥ってしまった。
「(はぁああああんっ!り、リシェ!!リシェが目の前に居るうう!!)」
 急かしだす心を押し留めるロシュは、冷静を装いながらそそそと彼らの近くへ寄った。

「…あなたは成績も良いようなのでこれからも頑張りなさい、リシェ」
「はい。ありがとうございます」
 オーギュスティンはリシェに微笑む。
 リシェはそんな彼にぺこりと頭を下げ、失礼しますと立ち去ろうとした。後ろを振り返り教室へ戻ろうとしたその時、ばふりと壁のようなものに全身ぶつかってしまう。
「んぐ」
「あっ」
 ふわりと体が支えられた。
 リシェは誰かにぶつかってしまったのか、と謝りながら自分より背の高い相手を見上げる。
「大丈夫ですか、リシェ?」
「は、はい…すみません」
 見上げた先には白衣を着用した美形の男。それを見るなり、リシェは「ひゃあああ!」と叫び出した。
 オーギュスティンはリシェの変な反応を察知すると、ロシュに向けて怪訝な視線を送る。
「そ…そんなに怖がらなくても!!」
「だ、だって」
 急激にオロオロしだすリシェは、ロシュの腕から逃れようともがいた。だがロシュはしっかりとリシェの身を両手で支える。
 制服姿のリシェが可愛くて、じっくり見たいのだ。
 じっくり見て、妄想の中で彼の制服を優しく脱がせてあげたい。
「あなたこの子に変な事をしたんじゃないでしょうね」
 オーギュスティンは低い声でロシュに問いかけながら、リシェの手を掴んで強引に引き寄せた。
 頼りになる担任教師にしっかりガードされ、リシェの身はぽふりと彼の胸元に収まった。
「し、してませんよ!」
 前回はリシェの落としたハンカチの匂いを激しく吸い込んだが、それだけだ。結局ハンカチを貰ってしまう結果になったが、それは今彼の部屋で厳重に保管されている。
 たまに匂いを確かめる位だ。
「あっ…あなたこそリシェに何の用事が」
「私はこの子の担任ですが何か?」
 ぐ、と詰まるロシュ。
 オーギュスティンはリシェに対し、「彼にもし変な事をされたらすぐに私に伝えなさい」と言った。
 既に被害を受けているのだが、とリシェは複雑そうな顔を向けつつこくりと頷く。
「な…っ!へ、変な事ですって!?何という事を言い出すのですか!わ、私はそんな事」
「しないと言えるのですか?美少年とくればすぐに反応するくせに」
「私はリシェ限定です!!」
 その言葉で余計に警戒するオーギュスティン。
 リシェはひくひくとオーギュスティンの腕の中で怯え、ロシュを見上げていた。
「うわあ…何ですか、変態もここまでくると返す言葉を失いますね。リシェ、彼に追われたらすぐに職員室に来るのですよ?何かされたらすぐに警察を呼びますからね」
「は、はい」
 完全にオーギュスティンに変態扱いされてしまい、ロシュはううと呻いた。
 これでは攻略しようにも、更にリシェが遠くなるではないか。やはりハンカチ事件がいけなかったのだろうか。
「今まで何かされませんでしたか?大丈夫ですか?」
 オーギュスティンはリシェに確認する。
 小さな事でも生徒の不安を取り除かねばならない。それは担任の大切な役割だ。
 そしてリシェはおずおずと彼を見上げると、「俺の落としたハンカチを思いっきり嗅がれました」と答える。
 ロシュはうぐっと胸元を押さえる。
 やはり根に持っていたのか、と。
 オーギュスティンは「えぇ…」とロシュを見ながらドン引きした。
「へ…変態ですか?あなた…うわあ…」
 これ以上無い位の引きっぷりだ。
「そんな無駄に綺麗な出で立ちで、よくもまぁ…うわぁ…気持ち悪いですね…はあ…気持ち悪…」
 可哀想に、とリシェの頭を撫でる。
 ロシュは「そこまで引かなくてもいいでしょう!?」と強引に開き直るより無かった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

悪役令息に転生したのに、ヒーローもヒロインも不在で、拾って育てた執事が最強なんだが……なんで?!

はぴねこ
BL
前世の弟が好きだったゲームの世界に、悪役令息として転生してしまった俺。 本来なら、ヒロインをいじめ、ヒーローが活躍するための踏み台になる…… そんな役割のはずなのに、ヒーローともヒロインとも出会えない。 いじめる対象すら見つけられない新米悪役令息とか、ポンコツすぎないだろうか? そんな俺に反して、子供の頃に拾って育てた執事は超優秀で、なぜか「悪役執事スキル」を着実に磨いている。 ……いや、違う! そうじゃない!! 悪役にならなきゃいけないのは俺なんだってば!!! 

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!

めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈ 社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。 もらった能力は“全言語理解”と“回復力”! ……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈ キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん! 出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。 最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈ 攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉ -------------------- ※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!

【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】

彩華
BL
 俺の名前は水野圭。年は25。 自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで) だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。 凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!  凄い! 店員もイケメン! と、実は穴場? な店を見つけたわけで。 (今度からこの店で弁当を買おう) 浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……? 「胃袋掴みたいなぁ」 その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。 ****** そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

処理中です...