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そのさんじゅう
狂った美的センス
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時間があれば常に自分の顔を鏡でチェックするスティレンは、授業の合間の休み時間ですら惜しむ事無くひたすら角度を変えながら自分の姿を確認していた。
リシェとは席が離れているが、休み時間の都度彼の前の座席を借りて喋りかけながらチェックをする。それを毎時間向かい合って眺めているリシェは、よく飽きないなと呆れながら呟いた。
「チェックしないと死ぬ癖でもあるのか」
「お前は分かってないね。俺は美しいんだから少しでも乱れたらいけないんだよ」
理由が彼らしいと言えば彼らしい。
「お前、病気か何かじゃないのか?」
「うるさいな!」
遠慮無く不躾なセリフをぶつけてくるリシェに、スティレンはひたすら鏡で自分をチェックする。
「自分の席でも出来るだろう。何でいちいち俺の前に来て鏡を眺めるんだ?大して変わりもしないのに」
「他人から見た自分が一番美しくなきゃダメだろ。そんな事も分からないの?お前が美しさに無頓着なのは分かってるけどね」
彼の言い分はリシェには全く理解できなかった。
はあ、と冷めた返事をする従兄弟をちらりと見るスティレンは、その大して手入れもしないくせに綺麗な肌質を持ち美少女のような顔立ちの従兄弟に半ば苛立つ。
なんて生意気な顔してるんだ、と。
「お前は多少身なりは気にした方がいいよ」
「…俺は別にいい」
リシェは全く興味が無いようだ。そんな人目を引くような姿で興味が無いとは、どこまで嫌味な奴なのだろう。
スティレンは馬鹿だねと鏡を見た。
「他の人から美しいとか思われたくないの?」
「別に他の奴からどう見られてもいいし。むしろお前は何でそこまで自分に力を入れられるんだ?そんなにしてまでモテたいのか?男子校なのに」
やたら男子校なのに、を強調してくるのが気になったがふふんと彼は「同性から見られても美しいってイメージは大切だろ?」と当たり前のように返した。
「俺が醸し出す一瞬の美しさが相手の心に刻み付けられたら最高じゃないか。性別問わずこの俺の素晴らしさを記憶に留めさせたいんだから」
美的センスが皆無の従兄弟を前に、スティレンは諭すかの如く説明する。それはこの先普通に生きていても、特に何の役に立ちそうもないものだ。
しかし彼には非常に重要な事のようだった。
「なるほど、分からん」
リシェはなるほどと言いながら全く分からないと貶す。
「あぁ、ダメだお前は。俺みたいに美しいレベルにならなきゃ到底分かりそうも無いね」
「じゃあお前の美貌で誰か落とした事が今まであったか?手紙はよく貰うようだけど」
「あるよ!ふん、ラブレターなんざ毎日来るよ、毎日」
…ちなみにくどいがここは男子校である。
リシェも度々貰うが、ほとんど開けずにそのままにしていた。ラスによって勝手に開封されたりもするが。
「後はそうだね、街を歩けばナンパされちゃうとか。この俺を誘うとかいい趣味してるけどね。たまにおかしげな奴も寄ってきちゃうから困ったもんさ」
「おかしげな奴?」
リシェは大きな目できょとんとする。
「そう。鼻息荒くして追いかけられたり下着くれって言い寄って来たり。酷いと唾を吐いて自分にかけてくれとか。…あとは罵倒してくれとか尻を蹴ってくれとか。当然しないけど」
「変態じゃないか!!」
「美し過ぎる俺だからこそ言い寄ってくるんだよ」
流石にリシェでもそれは経験が無い。
それよりならハトに襲撃を食らった方がマシだと思う。
「それ位俺に構って欲しいんだろ?ふふ、参っちゃうよね」
しかもそれを普通の事みたいに捉えている。
自分の美しさで為せる技だと思っているようだ。
話を聞くうちにリシェはスティレンに対して「気持ち悪…」と本音を呟いてしまった。
リシェとは席が離れているが、休み時間の都度彼の前の座席を借りて喋りかけながらチェックをする。それを毎時間向かい合って眺めているリシェは、よく飽きないなと呆れながら呟いた。
「チェックしないと死ぬ癖でもあるのか」
「お前は分かってないね。俺は美しいんだから少しでも乱れたらいけないんだよ」
理由が彼らしいと言えば彼らしい。
「お前、病気か何かじゃないのか?」
「うるさいな!」
遠慮無く不躾なセリフをぶつけてくるリシェに、スティレンはひたすら鏡で自分をチェックする。
「自分の席でも出来るだろう。何でいちいち俺の前に来て鏡を眺めるんだ?大して変わりもしないのに」
「他人から見た自分が一番美しくなきゃダメだろ。そんな事も分からないの?お前が美しさに無頓着なのは分かってるけどね」
彼の言い分はリシェには全く理解できなかった。
はあ、と冷めた返事をする従兄弟をちらりと見るスティレンは、その大して手入れもしないくせに綺麗な肌質を持ち美少女のような顔立ちの従兄弟に半ば苛立つ。
なんて生意気な顔してるんだ、と。
「お前は多少身なりは気にした方がいいよ」
「…俺は別にいい」
リシェは全く興味が無いようだ。そんな人目を引くような姿で興味が無いとは、どこまで嫌味な奴なのだろう。
スティレンは馬鹿だねと鏡を見た。
「他の人から美しいとか思われたくないの?」
「別に他の奴からどう見られてもいいし。むしろお前は何でそこまで自分に力を入れられるんだ?そんなにしてまでモテたいのか?男子校なのに」
やたら男子校なのに、を強調してくるのが気になったがふふんと彼は「同性から見られても美しいってイメージは大切だろ?」と当たり前のように返した。
「俺が醸し出す一瞬の美しさが相手の心に刻み付けられたら最高じゃないか。性別問わずこの俺の素晴らしさを記憶に留めさせたいんだから」
美的センスが皆無の従兄弟を前に、スティレンは諭すかの如く説明する。それはこの先普通に生きていても、特に何の役に立ちそうもないものだ。
しかし彼には非常に重要な事のようだった。
「なるほど、分からん」
リシェはなるほどと言いながら全く分からないと貶す。
「あぁ、ダメだお前は。俺みたいに美しいレベルにならなきゃ到底分かりそうも無いね」
「じゃあお前の美貌で誰か落とした事が今まであったか?手紙はよく貰うようだけど」
「あるよ!ふん、ラブレターなんざ毎日来るよ、毎日」
…ちなみにくどいがここは男子校である。
リシェも度々貰うが、ほとんど開けずにそのままにしていた。ラスによって勝手に開封されたりもするが。
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