異世界学園の中の変な仲間たち2

へすこ(ひしご)

文字の大きさ
64 / 101
そのろくじゅうさん

有害であろう図書

しおりを挟む
 授業の合間の休み時間を利用し、リシェは調べ物の為に学校内の図書室に足を運んでいた。アストレーゼン学園内にある図書室は、中等部と高等部の生徒達共用となっていて、施設内の広さや本の種類も多岐に渡っている。
 周辺の学校と比較すると、より大規模な図書室だった。
 リシェはあらかじめメモしていたタイトルを見ながら検索するべくカウンターに置かれているタブレット端末を前にする。早々と検索して調べものをして、残りの休み時間を自由に使おうと考えていた。
 パネルをタッチしていると、すぐ真横でカウンター越しに質問する無邪気な声が飛び込んでくる。
「ねえ、まだ入荷しないのぉ?」
 まだ幼く、甘えた声音の声。
「入荷する予定は無いですね」
 はっきりと職員は答えた。入荷予定の無い本を求めるのも珍しい、とリシェはつい手を止めて隣をちらりと見ると、いつぞやのゆるふわな中等部の少年が居た。前回見た時は中庭でハトにパンの切れ端を餌としてあげていたような気がする。
 リシェは「あ…」と声を上げてしまうと、相手もリシェに気付き可愛らしく笑顔を見せてきた。その笑顔はとにかく愛の天使のような華やかさを感じさせてくる。
「あれぇ?前にも会ったよねぇ…発情したハトに突かれてた子でしょ?」
 発情したハトって何だよ、とリシェは嫌そうな顔をした。
「君も図書室に来るんだね。んふふ」
「調べ物をしたいだけだ」
 リシェは再びタブレット端末に顔を向けると、自分で検索を始める。すると相手はするすると近付いてきた。
 腕に絡み付きながら甘い吐息混じりに「何を調べるのぉ?」とじわじわ懐いてくる。
「何だよ、鬱陶しいな。お前には関係無いだろ」
「気になるんだもん。ね、何調べたいの?エッチな内容?」
「何でそうなるんだ。そんな訳ないだろう。むしろ名前すら知らないのに話しかけてくるな」
 年柄年中発情期のような発言に、リシェはドン引きする。まだ中等部のくせにませ過ぎだ。一体普段どんな生活をしているのだろう。親の顔を見てみたい。
 彼はリシェのドン引きをする気持ちを全く知らずに、生来の可愛い顔で迫ってくる。
「お前は自分の調べ物があるんだろ。邪魔をするな。て言うかお前誰だよ」
「んんん、僕はルシル。ルシル=クラリス=ランベール。これで知り合いだよねっ★んっとね…調べたい物っていうか、取り寄せてってお願いしてるのに入れてくれないんだもん。ね、君からお願いしてよぉ」
「何だよ面倒臭いな」
 リシェは困った顔をしながらカウンター越しの職員を見た。
 職員は無表情のまま作業をしている。
「他の子の要望は聞くのに、僕のだけはしてくれないんだよぉ。酷いと思わない?」
 目を潤ませながらリシェの腕にしがみつき訴える。
「あの」
 リシェは渋々作業中の職員に話しかけた。職員は無表情のままで「何ですか?」と問う。
「こいつが欲しいって言うジャンルって何ですか?」
「あん、こいつだなんて…」
 引っ付くルシルを剥がそうとするリシェに、職員はやはり無表情を決めたまま「しょうもないジャンルですよ」と返す。
「しょうもない?」
 リシェは眉を顰めた。
「この子、これだけ可愛い顔して性教育の本やら官能小説やら、とんでもないものを取り寄せてくれってうるさいんですよ。どう考えても学生向けとは言いにくいのに。何回も頼んできてとにかくタチが悪い。ガキのくせに」
 最後にぽろっと本音が出た。
 リシェはルシルをちらりと見ると、彼は悪びれもせずに「だって」と首を傾げる。
「読みたいんだもん。しょうがないじゃない…ねっ、リシェ?」
 何故かそこでこちらに同意を求めてきた。
 一緒にされてはたまらないとリシェは彼の手を払うと、ルシルの言葉を完全に否定した。
「お前と一緒にするな、変態」
 何をどうしたらそんな性質になるのだろうか。
 はっきりとしたリシェの言葉を受け、酷いなあと呟く。
 ルシルは頰を膨らませて、心の底では興味あるくせにぃとむくれていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

悪役令息に転生したのに、ヒーローもヒロインも不在で、拾って育てた執事が最強なんだが……なんで?!

はぴねこ
BL
前世の弟が好きだったゲームの世界に、悪役令息として転生してしまった俺。 本来なら、ヒロインをいじめ、ヒーローが活躍するための踏み台になる…… そんな役割のはずなのに、ヒーローともヒロインとも出会えない。 いじめる対象すら見つけられない新米悪役令息とか、ポンコツすぎないだろうか? そんな俺に反して、子供の頃に拾って育てた執事は超優秀で、なぜか「悪役執事スキル」を着実に磨いている。 ……いや、違う! そうじゃない!! 悪役にならなきゃいけないのは俺なんだってば!!! 

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!

めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈ 社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。 もらった能力は“全言語理解”と“回復力”! ……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈ キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん! 出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。 最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈ 攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉ -------------------- ※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!

【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】

彩華
BL
 俺の名前は水野圭。年は25。 自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで) だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。 凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!  凄い! 店員もイケメン! と、実は穴場? な店を見つけたわけで。 (今度からこの店で弁当を買おう) 浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……? 「胃袋掴みたいなぁ」 その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。 ****** そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

処理中です...