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そのななじゅうよん
棒アイスと歩く変質者
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突然背後から手を伸ばし、ラスはリシェに抱きついてきた。
「んんんぎゃあああっ!!」
アストレーゼン学園、やはりいつもの放課後の屋上。
怒りに任せてくるりと顔だけ振り返り、リシェは咄嗟に「何をする!!」とまるで背後を取られた武士のようなセリフを吐いていた。
怒鳴られるのを全く気にもしていないラスはにっこりと微笑みながら「ほら」と手を離した。その隙にリシェも彼から離れる。
「定期的にやってくる先輩といちゃいちゃしたくなる時期です!」
「ドヤ顔で言い放つな!!」
何が定期的だ、とリシェはギリギリする。
「毎日毎日飽きもせずくっついてくるくせに」
「んっふ…怒ってる顔もご褒美に見えてきます」
ラスはそう言うと、持っていたビニール袋からサッと冷たい棒付きアイスを出現させる。リシェはそれを見るなり「何だ!?」と警戒した。
「そんなもので俺を釣ろうとしても無駄だぞ!」
いやらしい奴だ、と立腹する。
にこやかにそんなつもりは無いですけど、とリシェに差し出した。
「新発売のバニラアイスです。練乳がコーティングされてて、めちゃくちゃ美味しいって評判なんですよぉ」
「………」
あげますよ、と彼は微笑んだ。
その裏に何かあるのではないだろうな、とリシェはアイスを受け取ると、袋を開き中身を出した。開ける前から既に固く冷え冷えの状態だ。
見るからに甘そうなアイスを、リシェはラスの目の前でぱくりと食らいついた。同時に練乳の味が口内に広がり、冷たい感触が全身を駆けめぐっていく。
「んん」
しゃくっ、と軽く噛み砕く。
「美味い」
素直に感想を述べた。
リシェの口の中で棒のアイスが出たり入ったりを繰り返しているのを目の当たりにするラスは、何故かよく分からない感情に陥ってしまう。
赤い舌も見えてくるとなれば。
「これは当たりだな」
しかも楕円形ではなく、やや太めの筒状のアイス。
「お前は買わなかったのか?俺だけ?」
「え!?あ、はい。俺はもう食べたから」
嘘だった。単にリシェに食べさせたくて買ってきたのだった。
彼が棒アイスを食べる所を見てみたくて。
「そうか。…冷たっ」
純粋にアイスを口にしているリシェに対し、不純な気持ちで何げなく買ってきてしまったラス。
しかもそれを見ながらドキドキしているという変態っぷり。
口の周りで溶けている白いアイスを舐めていると、ラスはつい「あぁああああ」と顔を真っ赤にして頬を押さえ、その場で膝をついた。
「?」
「やばっ…ヤバイです先輩!!何か可愛い!!」
「…何が?」
一人勝手に妄想して身悶えするラスを、リシェは怪訝な目で見てしまった。
「大丈夫か?頭」
「ごめんなさいっ!!ごめんなさい!!あぁ、でも可愛いです!」
いきなり何なのかとアイスを食べながら首を傾げていると、リシェの背後から落ち着いた男の声が飛び込んできた。
「ふふ…まだ子供ですね。甘い甘い」
その声を聞いた瞬間、ラスはハッと我に返り顔を上げた。
革靴を鳴らしながら美貌の保健医が颯爽と出現する。それを見るなり、リシェは「ひ!」と身を引かせた。
リシェをちらりと見遣った後に、保健医ロシュは優しく微笑む。
「何ですか!あんたこんな場所に居てもいいんですか?」
「おや、私だって気分転換に屋上に行ったりしますよ。ここからの景色は最高ですからね」
ロシュはアイスをひたすら食べているリシェを愛でる目線で見ると、フッとやけに勝ち誇った顔をした。
「…あなたもやっぱり年頃の男の子ですねぇ。よくもまあこれ程妄想を駆り立てるアイテムを選びましたよ」
リシェは意味が分からずきょとんとする。
「私なら」
「何だよいきなり!」
やけに挑発的に言われ、ラスはムッとした。ロシュが何を言いたいのか、不思議と理解してしまう。
「相手を座らせた後、自分はその前で食べているのを見下ろしますね」
これもまたドヤ顔で言い放ってくるロシュ。
ラスはそれを聞いた瞬間、みるみる顔を真っ赤にした。そこまでは流石に出来ない。一方で、リシェは意味が分からないのかきょとんとしていた。
「それがまだ出来ないなんてまだまだお子様ですねぇ。では私はこれで失礼します。リシェ、またお会いしましょうね」
ぷるぷる震えるラス。悠然として屋上から去っていくロシュに対し、赤面したまま「さっさと帰れ!!」と叫ぶ。
「歩く変質者!!」
…まるで負けたような気分だ。
「ああ、美味かった」
アイスを食べ終えたリシェは、名残惜しそうに残った棒をぺろりと舐めていた。
「んんんぎゃあああっ!!」
アストレーゼン学園、やはりいつもの放課後の屋上。
怒りに任せてくるりと顔だけ振り返り、リシェは咄嗟に「何をする!!」とまるで背後を取られた武士のようなセリフを吐いていた。
怒鳴られるのを全く気にもしていないラスはにっこりと微笑みながら「ほら」と手を離した。その隙にリシェも彼から離れる。
「定期的にやってくる先輩といちゃいちゃしたくなる時期です!」
「ドヤ顔で言い放つな!!」
何が定期的だ、とリシェはギリギリする。
「毎日毎日飽きもせずくっついてくるくせに」
「んっふ…怒ってる顔もご褒美に見えてきます」
ラスはそう言うと、持っていたビニール袋からサッと冷たい棒付きアイスを出現させる。リシェはそれを見るなり「何だ!?」と警戒した。
「そんなもので俺を釣ろうとしても無駄だぞ!」
いやらしい奴だ、と立腹する。
にこやかにそんなつもりは無いですけど、とリシェに差し出した。
「新発売のバニラアイスです。練乳がコーティングされてて、めちゃくちゃ美味しいって評判なんですよぉ」
「………」
あげますよ、と彼は微笑んだ。
その裏に何かあるのではないだろうな、とリシェはアイスを受け取ると、袋を開き中身を出した。開ける前から既に固く冷え冷えの状態だ。
見るからに甘そうなアイスを、リシェはラスの目の前でぱくりと食らいついた。同時に練乳の味が口内に広がり、冷たい感触が全身を駆けめぐっていく。
「んん」
しゃくっ、と軽く噛み砕く。
「美味い」
素直に感想を述べた。
リシェの口の中で棒のアイスが出たり入ったりを繰り返しているのを目の当たりにするラスは、何故かよく分からない感情に陥ってしまう。
赤い舌も見えてくるとなれば。
「これは当たりだな」
しかも楕円形ではなく、やや太めの筒状のアイス。
「お前は買わなかったのか?俺だけ?」
「え!?あ、はい。俺はもう食べたから」
嘘だった。単にリシェに食べさせたくて買ってきたのだった。
彼が棒アイスを食べる所を見てみたくて。
「そうか。…冷たっ」
純粋にアイスを口にしているリシェに対し、不純な気持ちで何げなく買ってきてしまったラス。
しかもそれを見ながらドキドキしているという変態っぷり。
口の周りで溶けている白いアイスを舐めていると、ラスはつい「あぁああああ」と顔を真っ赤にして頬を押さえ、その場で膝をついた。
「?」
「やばっ…ヤバイです先輩!!何か可愛い!!」
「…何が?」
一人勝手に妄想して身悶えするラスを、リシェは怪訝な目で見てしまった。
「大丈夫か?頭」
「ごめんなさいっ!!ごめんなさい!!あぁ、でも可愛いです!」
いきなり何なのかとアイスを食べながら首を傾げていると、リシェの背後から落ち着いた男の声が飛び込んできた。
「ふふ…まだ子供ですね。甘い甘い」
その声を聞いた瞬間、ラスはハッと我に返り顔を上げた。
革靴を鳴らしながら美貌の保健医が颯爽と出現する。それを見るなり、リシェは「ひ!」と身を引かせた。
リシェをちらりと見遣った後に、保健医ロシュは優しく微笑む。
「何ですか!あんたこんな場所に居てもいいんですか?」
「おや、私だって気分転換に屋上に行ったりしますよ。ここからの景色は最高ですからね」
ロシュはアイスをひたすら食べているリシェを愛でる目線で見ると、フッとやけに勝ち誇った顔をした。
「…あなたもやっぱり年頃の男の子ですねぇ。よくもまあこれ程妄想を駆り立てるアイテムを選びましたよ」
リシェは意味が分からずきょとんとする。
「私なら」
「何だよいきなり!」
やけに挑発的に言われ、ラスはムッとした。ロシュが何を言いたいのか、不思議と理解してしまう。
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ラスはそれを聞いた瞬間、みるみる顔を真っ赤にした。そこまでは流石に出来ない。一方で、リシェは意味が分からないのかきょとんとしていた。
「それがまだ出来ないなんてまだまだお子様ですねぇ。では私はこれで失礼します。リシェ、またお会いしましょうね」
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