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そのきゅうじゅうに
波長100パーセント
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「あ」
「ん?」
偶然、リシェはラスの友人のノーチェとばったり顔を合わせてしまった。職員室に提出物を出しに行った帰りなのだが、廊下を歩いていた所で角からいきなり出てくる相手を避けようとした所、向こうもまた同じ動きをしていたのだった。
お互い同じく避けようとして、同じ動きを数回繰り返す。
「…ちっ、何なのさ?こっちが避けてあげてるのに何あんた?」
ノーチェは舌打ち込みでリシェに文句を言う。
その一方で同じく避けようとするリシェ。
「お前こそ俺と同じ動きをするな」
ノーチェが右側に動くと、リシェも同じく向かい合わせに動く。
リシェが左側に移動しようとするも、相手もまた同じ。
「お前って…先輩に向かって何なのその言葉使い!ほんとムカつくガキだね!ラスに可愛がられてるからって調子乗り過ぎなんじゃない?」
「別に俺は頼んでない。そもそもお前が無意味に俺に突っかかるからこっちもその態度で示してるんだ。先輩だろうが知るか」
ひたすら同じ方向に揺れながらお互い言い合う様子は、まるで息の合ったダンスパートナーのようにも見えてくる。
ノーチェは生意気な下級生に対し、先輩に対する礼儀を教わらなかったのかと呆れながら目を細めた。
「先輩を尊敬する態度じゃないよね?」
「最初から喧嘩腰の相手をどうやって尊敬しろと言うんだ。しかも何かされた訳でも無いのに」
そう言いながら、まだお互い避けようと動いていた。
延々と同じ動きをしている事に苛立ちを隠しきれないノーチェは、リシェに「止まってよ!」と促す。
「言う前にお前が止まればいいじゃないか」
ぴたり、と素直にリシェは動きを止める。続けてノーチェも止まり、普通に向き合う形になった。
「…はぁ、ムカつく。ちょっと可愛がられてるからって調子に乗らないでよね…てか、どいて」
「言われなくてもどいてやる」
リシェはひょい、と相手を避けようとした。だが同じようにノーチェも動いてしまう。結局またお互いの通路を妨害する形に動き始め、ノーチェは「…ちょっと!!」と激高した。
リシェもリシェで「お前が邪魔だ!!」と愛くるしい顔を真っ赤にする。
「どけと言うからどいてやってるのに何だそれは!」
「こういう時は相手とは逆の方向に動くのが筋だろ!?何同じように動くのさ、馬鹿じゃないの!?」
「馬鹿はお前だ!!むしろ動くな!わざとやっているのか!?」
不毛な争いをひたすら続ける。お互い譲り合う訳でも無く、ひたすら自分の意見を主張していた。
一方、生徒二人が無意味に言い合う様子を、職員室に戻ろうとしていた体育教師のヴェスカは遠目で眺める。
「…どうしましたか?」
立ち止まって遠くを見る彼に気付いたオーギュスティンは、その大きな背中に向けて問いかけた。ヴェスカは後ろをちらりと振り向くと、「あぁ」と笑う。
「お互い避けようとしてるのにどっちも同じように動いててさ。面白いからつい見てるんだよね。…ほら、どけって言いながら譲り合って無いんだよ。まるで鏡を見てるみたいな動きでさ」
えぇ?と眉を寄せてオーギュスティンも遠くの生徒に目を向けた。
…確かに、避けろと言いながら同時に動き、お互いの通路を塞いでいる状態を続けている。まるでテンポ良く踊っているようだ。
お互い罵倒しているが、おかしい位に動作が一致するのもかなり珍しい。
波長が合うにも程がある。
「…あれ、止めますか?」
終わりが見えない気がした。
「いや、面白いからまだちょっと見てみたい…」
「えぇ…一応喧嘩してるんですよあの二人…止めないといけないんじゃないですか…」
お互い譲れと怒鳴り合っているのだ。流石に止めないといけないだろう。教師として。
しかし能天気なヴェスカは、どこまで続くのかなと興味津々で眺めていた。
「ん?」
偶然、リシェはラスの友人のノーチェとばったり顔を合わせてしまった。職員室に提出物を出しに行った帰りなのだが、廊下を歩いていた所で角からいきなり出てくる相手を避けようとした所、向こうもまた同じ動きをしていたのだった。
お互い同じく避けようとして、同じ動きを数回繰り返す。
「…ちっ、何なのさ?こっちが避けてあげてるのに何あんた?」
ノーチェは舌打ち込みでリシェに文句を言う。
その一方で同じく避けようとするリシェ。
「お前こそ俺と同じ動きをするな」
ノーチェが右側に動くと、リシェも同じく向かい合わせに動く。
リシェが左側に移動しようとするも、相手もまた同じ。
「お前って…先輩に向かって何なのその言葉使い!ほんとムカつくガキだね!ラスに可愛がられてるからって調子乗り過ぎなんじゃない?」
「別に俺は頼んでない。そもそもお前が無意味に俺に突っかかるからこっちもその態度で示してるんだ。先輩だろうが知るか」
ひたすら同じ方向に揺れながらお互い言い合う様子は、まるで息の合ったダンスパートナーのようにも見えてくる。
ノーチェは生意気な下級生に対し、先輩に対する礼儀を教わらなかったのかと呆れながら目を細めた。
「先輩を尊敬する態度じゃないよね?」
「最初から喧嘩腰の相手をどうやって尊敬しろと言うんだ。しかも何かされた訳でも無いのに」
そう言いながら、まだお互い避けようと動いていた。
延々と同じ動きをしている事に苛立ちを隠しきれないノーチェは、リシェに「止まってよ!」と促す。
「言う前にお前が止まればいいじゃないか」
ぴたり、と素直にリシェは動きを止める。続けてノーチェも止まり、普通に向き合う形になった。
「…はぁ、ムカつく。ちょっと可愛がられてるからって調子に乗らないでよね…てか、どいて」
「言われなくてもどいてやる」
リシェはひょい、と相手を避けようとした。だが同じようにノーチェも動いてしまう。結局またお互いの通路を妨害する形に動き始め、ノーチェは「…ちょっと!!」と激高した。
リシェもリシェで「お前が邪魔だ!!」と愛くるしい顔を真っ赤にする。
「どけと言うからどいてやってるのに何だそれは!」
「こういう時は相手とは逆の方向に動くのが筋だろ!?何同じように動くのさ、馬鹿じゃないの!?」
「馬鹿はお前だ!!むしろ動くな!わざとやっているのか!?」
不毛な争いをひたすら続ける。お互い譲り合う訳でも無く、ひたすら自分の意見を主張していた。
一方、生徒二人が無意味に言い合う様子を、職員室に戻ろうとしていた体育教師のヴェスカは遠目で眺める。
「…どうしましたか?」
立ち止まって遠くを見る彼に気付いたオーギュスティンは、その大きな背中に向けて問いかけた。ヴェスカは後ろをちらりと振り向くと、「あぁ」と笑う。
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