異世界学園の中の変な仲間たち

へすこ(ひしご)

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そのにじゅうに

致命的な弱点

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 バレてしまったのなら仕方無い。
 リシェは泣き腫らした目をごしごしと擦る。
「先輩、あまり目をごしごししてはいけないです」
「リシェ、目薬差しな!まだ使ってない予備があるから!ほら!」
 揃いもそろってこちらに近付き、心配そうに見てくる。何だこいつらとリシェは思っていた。
 一人部屋が恋しい。
 これでは全く落ち着かないではないか。
「ねえ、リシェ。もしこいつに襲われたらすぐに俺の所に来な。お前は鈍くて根暗だから変態体質の奴らが挙って近付いてきそうだからね。現に今襲われそうだったろ?」
 スティレンは馬鹿にしながらも優しくリシェを諭すように言う。とにかく彼は何かしら相手を落としてからでないと会話が出来ないらしい。
 そのくせ自分をやたら褒めまくる。
 自分を中心に世界が回っていると本気で思っているのだ。
「なっ…!お、俺はちゃんと先輩に好きだって言ってあるんだよ!」
 負けじとラスはスティレンに反論した。
 スティレンは小悪魔のように悪巧みを企むかの笑みを称えながら、引っ込もうとしているリシェの体に腕を絡ませ「ふうん」と呟く。
 彼のチャームポイントとなる垂れ目がやけに色気を醸し出していた。自分の魅力を存分に理解しているのだろう。それを生かし、流し目でこちらを見上げてきた。
「俺はね、こいつを小さい頃から見てるのさ。こいつの事ならなぁんでも知ってんの」
「う…うう、離せ」
 リシェは抱き着いてくるスティレンの腕を剥がそうと蠢いているが、彼はリシェの耳の中に軽くふっと息を吹きかけた。その瞬間、ふにゃりと脱力する。
「どう?見た通り、こいつの感じる場所だって把握してるんだから。いきなり出てきたお前なんかに盗られてたまるかっての」
 向こうのスティレンと比べると、リシェへの溺愛指数が半端無く高いようだ。向こうがツンデレ体質ならば、こちらはデレデレ体質。
 リシェを馬鹿にする事は共通しているものの、凄まじいスキンシップをこなしている。だが、彼にも負けてはいられない。
「ここは俺と先輩の部屋なんだけど!先輩だって困ってるだろ、離れろよ」
 スティレンはリシェを抱き締め、彼の柔らかな頰を優しく擦りながらムッとしてラスを見る。
「この顔が困ってるように見えるぅ?」
「は、離っ…あっ、やめっ」
 絶え間なく体を撫でられ、相当敏感なのかリシェの体がひくひくと反応していく。
 スティレンはほうっと顔をやや興奮気味に紅潮させ、「このドスケベめ」と優しくリシェに囁いた。
「やめろったらっ、触るなっ」
 かあっとラスは顔を真っ赤にしてしまう。
 美少年が二人で、自分の眼前でいやらしい事をしているのが耐えられなくなりそうだ。とにかくリシェを救わないと、とスティレンの腕を強引に引きはがそうと試みる。
「先輩を離せったら!!」
 このままだと変な気分にさせられてしまう。
 正気に戻し、とにかくリシェをスティレンからどうにか離した。
 無理矢理剥がされたスティレンは、不満げにラスを睨みつけると無礼な奴だねと吐き捨てる。
「あんたが先輩と従兄弟で近い関係だろうが、俺には関係無い。先輩を困らせるような真似はするな!」
 先程まで困らせていた奴がよく言うよとリシェは身を縮めながら思っていた。今度はラスの腕の中で固まってしまう。
 先程のスティレンの愛撫の余韻が残り、まだびくびくと反応していた。あまり他人から触れられる経験が無いので対処する方法が見つからないのだ。
「先輩」
 ラスは耳元でリシェに囁く。
「今度は俺がしっかりと先輩を守りますからね」
 やたら近くに相手を感じ、リシェはひっと目を瞑った。ラスは凝固している彼の耳元に優しく吐息を吹きかけると、その小さな体が酷く痙攣した。
 声にならない声を上げ、リシェはラスの胸元にぐぐっとしがみつく。
「え?せ、先輩?」
 ドキッとするラスは、がくがく震えるリシェを優しく支えた。
「…っく、やっ…」
 耳まで真っ赤にし、リシェは俯き固まったまま呻き声を上げた。それを見たスティレンは、あーあと苦笑いする。
「本当にお前は敏感だねえ。シャワー浴びて来な」
 リシェはラスの腕の中でしくしくと再び泣き出している。
 一方で、意味が分からずにしているラスは「大丈夫ですか、先輩?」と話しかけた。リシェはそんな彼を突き放すと、すっくと立ち上がり急いで浴室へと駆け込んでしまう。
 突き放された反動で、尻餅をつくラス。
「へ…!?な、何!?」
「ふん、まだ気付かないの?あの馬鹿は勝手にイッたんだよ。めちゃくちゃ敏感なんだから」
 ストレートな言い方に、ラスはようやく意味を理解する。めちゃくちゃ敏感にも限度があるでしょ…!と顔が熱くなるのを感じた。
 スティレンは悪びれる事もない様子で続ける。
「俺はあんたがあいつに悪戯しないようにこれから監視してやる。リシェは少し触るだけでもめちゃくちゃ感じやすいから、くれぐれも変な事をしないようにね」
 監視するとは言うものの。
 先にリシェに悪戯したのはそっちだろ…とシャワーの音を聞きながら感想を述べた。
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