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そのよんじゅうさん
クマ、優男風の生霊が憑く
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リシェにクマのぬいぐるみを持たせ、近場で除霊して貰える場所へラスは急いでいた。流石にこの訳ありのクマと生活するのは怖すぎる。
その一方で、除霊に行くのが心底面倒なリシェ。
「慣れろよ」
「無理ですよ!怖いもん!先輩が添い寝してくれるならいいですけど!」
「何で俺が」
リシェの腕に抱えられながら、クマは足をぷらぷらさせていた。ラスの目には、自発的に足を動かしているのではないかと思えてしまう。
とにかく気になる不安要素は取り除かなければ、リシェが心霊的な世界に引きずり込まれてしまいかねない。実際依存しているようなものだからとにかく早いうちに。
検索した結果、分かりやすい位置に除霊をしてくれる施設があったのでとりあえずそこに行く事にした。
施設、とはいうものの。
簡素なプレハブ小屋で、メインは占い屋のようだ。住宅街には不釣り合いな出で立ちで建てられている。実家の敷地内についでに置きました的な雰囲気だった。
ラスは「ううーん…」と難しそうな顔をする。
「小屋だな。ここでいいのか?」
「まあ、除霊も兼ねてやってるみたいだし…入ってみましょう」
リシェの手を繋いだまま、ラスは思い切ってその小屋へ足を踏み入れた。
「えっと…すみませーん」
中からガタガタッとけたたましい音が聞こえた。
建物の扉を開けた瞬間、お香か何かの不思議な匂いを感じる。同時に洗脳されそうな変な音楽が延々と耳に入ってきた。
「こちらで除霊をしてくれるってネットで調べて来たんですけど」
声をかけた瞬間、「ぎゃあああああ」という叫びが飛んでくる。
「凄まじい念が入ってる、そのクマ!!酷いレベルのやつが入ってる!!」
リシェのクマを見るなり、占い屋の女は上擦った声で言った。全身紫コーデで纏めた衣装の彼女は、頭を暗めのベールで顔を隠しながらも来客に対応しようとするものの、クマから放たれるらしい念に圧倒されそうだった。
困った顔でリシェはクマに目を落とす。
「そんなに酷いのか?」
長いこと見ていたせいなのか、リシェは全く気にならないようだ。いつものクマにしか見えないらしい。
「どうにかして貰いたいんですけど」
とりあえずラスは占い屋に頼んだ。
「何が入ってるのかは言わなくてもいいです」
「生霊が憑いてる」
言わなくていいって言ったのに。
ラスはその返事に余計困った。
「払って下さい」
「何の生霊か分かるものなのか?」
さっさと済ませたいラスとは逆に、リシェは少しだけ興味を示した。占い屋はリシェからクマを受け取ると、若干顔を離すように遠くから見下ろす。
「背の高い優男風の念を感じる」
そう告げた瞬間、ラスは「ゔあぁあああ…」と頭を抱えた。背の高い優男となれば、心当たりは一人しか居ない。
あの人は生霊まで飛ばす特技があるのかと。
「寄せ付けないレベルで払って下さい!!このクマに二度と近付きたくない位に弾き飛ばして欲しい!」
「私じゃ無理だから本職に頼んだ方がいいよ。しばらく染み付いてるからどうしようもない。むしろ居心地がいいみたいだし放置しておけば?」
「絶対嫌です!!!」
彼の念が篭るクマと同居だなんて冗談じゃない。
「そんなに怖がる事無いだろ」
「勝手に動き回るぬいぐるみは存在しちゃいけませんって!!先輩は命を取られるかもしれないんですよ!?」
うーん、とリシェは困った表情をした。
「どうすりゃいい?」
「本職にクマを塩漬けにして送ってやろう。しばらく返ってこないけどいいかい?」
「人の物を漬け物にするみたいに言うな」
リシェは渋々とクマを預けておく事にした。
寂しいなあ、と呟きながら。
「徹底的に取り除いて下さい。あの人の念はしつこいと思うし!!とにかくお札とか中に入れても構いませんから、二度と入らない位に!」
「お前、生霊と知り合いなのか?凄いな」
必死なラスに対し、リシェはかなりズレた事を言う。
知り合いたくもないとラスは複雑な顔。
「はあ、分かったよ。塩漬けにしてお札を貼って、本職に預けておこう。連絡先を残しておいてくれ」
念が入り込み過ぎたクマをとりあえず除霊して貰う事に決めると、一定の料金を割り勘で支払う。痛い出費だがこれからの生活を考えると仕方無い。
「まあ、素の念を放つ人間をどうにかしないと意外にまた入り込んで来るかもしれないけどね」
「とにかく入り込む余地が無い位にして下さい!じゃないと困るから!!」
念を押しまくるラス。
むしろこのまま保存して貰ってもいい。代わりにリシェにプレゼントをあげられるチャンスかもしれない。
「もしダメならそのまま預かって下さい」
勝手に決められ、リシェは「何でだ!」と喚き出す。
「俺の持ち物なのに!」
「先輩には俺が新しいのを買ってあげます!むしろ、これが最良のような気がしてきた!!」
「嫌だー!!」
いつものようにリシェは泣き出す。
愛着があるんだぞ、と。
「ダメだったら、の話です!!とりあえずお祓いをしましょう!」
「うわー!!」
泣き喚くリシェを宥め、とりあえずラスはクマのお祓いを依頼した。やはりこのままは怖過ぎる。
あとは結果次第で預け、リシェには納得出来るレベルのとっておきの可愛いのをプレゼントしよう。リシェを優しく宥め、ラスはそう考えていた。
その一方で、除霊に行くのが心底面倒なリシェ。
「慣れろよ」
「無理ですよ!怖いもん!先輩が添い寝してくれるならいいですけど!」
「何で俺が」
リシェの腕に抱えられながら、クマは足をぷらぷらさせていた。ラスの目には、自発的に足を動かしているのではないかと思えてしまう。
とにかく気になる不安要素は取り除かなければ、リシェが心霊的な世界に引きずり込まれてしまいかねない。実際依存しているようなものだからとにかく早いうちに。
検索した結果、分かりやすい位置に除霊をしてくれる施設があったのでとりあえずそこに行く事にした。
施設、とはいうものの。
簡素なプレハブ小屋で、メインは占い屋のようだ。住宅街には不釣り合いな出で立ちで建てられている。実家の敷地内についでに置きました的な雰囲気だった。
ラスは「ううーん…」と難しそうな顔をする。
「小屋だな。ここでいいのか?」
「まあ、除霊も兼ねてやってるみたいだし…入ってみましょう」
リシェの手を繋いだまま、ラスは思い切ってその小屋へ足を踏み入れた。
「えっと…すみませーん」
中からガタガタッとけたたましい音が聞こえた。
建物の扉を開けた瞬間、お香か何かの不思議な匂いを感じる。同時に洗脳されそうな変な音楽が延々と耳に入ってきた。
「こちらで除霊をしてくれるってネットで調べて来たんですけど」
声をかけた瞬間、「ぎゃあああああ」という叫びが飛んでくる。
「凄まじい念が入ってる、そのクマ!!酷いレベルのやつが入ってる!!」
リシェのクマを見るなり、占い屋の女は上擦った声で言った。全身紫コーデで纏めた衣装の彼女は、頭を暗めのベールで顔を隠しながらも来客に対応しようとするものの、クマから放たれるらしい念に圧倒されそうだった。
困った顔でリシェはクマに目を落とす。
「そんなに酷いのか?」
長いこと見ていたせいなのか、リシェは全く気にならないようだ。いつものクマにしか見えないらしい。
「どうにかして貰いたいんですけど」
とりあえずラスは占い屋に頼んだ。
「何が入ってるのかは言わなくてもいいです」
「生霊が憑いてる」
言わなくていいって言ったのに。
ラスはその返事に余計困った。
「払って下さい」
「何の生霊か分かるものなのか?」
さっさと済ませたいラスとは逆に、リシェは少しだけ興味を示した。占い屋はリシェからクマを受け取ると、若干顔を離すように遠くから見下ろす。
「背の高い優男風の念を感じる」
そう告げた瞬間、ラスは「ゔあぁあああ…」と頭を抱えた。背の高い優男となれば、心当たりは一人しか居ない。
あの人は生霊まで飛ばす特技があるのかと。
「寄せ付けないレベルで払って下さい!!このクマに二度と近付きたくない位に弾き飛ばして欲しい!」
「私じゃ無理だから本職に頼んだ方がいいよ。しばらく染み付いてるからどうしようもない。むしろ居心地がいいみたいだし放置しておけば?」
「絶対嫌です!!!」
彼の念が篭るクマと同居だなんて冗談じゃない。
「そんなに怖がる事無いだろ」
「勝手に動き回るぬいぐるみは存在しちゃいけませんって!!先輩は命を取られるかもしれないんですよ!?」
うーん、とリシェは困った表情をした。
「どうすりゃいい?」
「本職にクマを塩漬けにして送ってやろう。しばらく返ってこないけどいいかい?」
「人の物を漬け物にするみたいに言うな」
リシェは渋々とクマを預けておく事にした。
寂しいなあ、と呟きながら。
「徹底的に取り除いて下さい。あの人の念はしつこいと思うし!!とにかくお札とか中に入れても構いませんから、二度と入らない位に!」
「お前、生霊と知り合いなのか?凄いな」
必死なラスに対し、リシェはかなりズレた事を言う。
知り合いたくもないとラスは複雑な顔。
「はあ、分かったよ。塩漬けにしてお札を貼って、本職に預けておこう。連絡先を残しておいてくれ」
念が入り込み過ぎたクマをとりあえず除霊して貰う事に決めると、一定の料金を割り勘で支払う。痛い出費だがこれからの生活を考えると仕方無い。
「まあ、素の念を放つ人間をどうにかしないと意外にまた入り込んで来るかもしれないけどね」
「とにかく入り込む余地が無い位にして下さい!じゃないと困るから!!」
念を押しまくるラス。
むしろこのまま保存して貰ってもいい。代わりにリシェにプレゼントをあげられるチャンスかもしれない。
「もしダメならそのまま預かって下さい」
勝手に決められ、リシェは「何でだ!」と喚き出す。
「俺の持ち物なのに!」
「先輩には俺が新しいのを買ってあげます!むしろ、これが最良のような気がしてきた!!」
「嫌だー!!」
いつものようにリシェは泣き出す。
愛着があるんだぞ、と。
「ダメだったら、の話です!!とりあえずお祓いをしましょう!」
「うわー!!」
泣き喚くリシェを宥め、とりあえずラスはクマのお祓いを依頼した。やはりこのままは怖過ぎる。
あとは結果次第で預け、リシェには納得出来るレベルのとっておきの可愛いのをプレゼントしよう。リシェを優しく宥め、ラスはそう考えていた。
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