異世界学園の中の変な仲間たち

へすこ(ひしご)

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そのろくじゅうご

愛情たっぷりお弁当

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 職員玄関口に入るや否や、用務の青年のファブロスがオーギュに向けて巾着袋に入った弁当箱を突き出していた。
 突然の事に、当然彼は目を丸くする。
「どうしましたか?これは一体」
「ついでだ。お前はいつも昼ご飯を簡単に済ませるからな」
 小豆色の巾着袋をつい受け取ったオーギュは、自分より背丈のある美丈夫に「あなたが作ったのですか?」と問う。
 照れ臭いのか、彼は仏頂面を見せて当然だと答えた。こう見えて実は家庭的らしい。
 意外な一面を見せてくれる。
「あ、有難いのですが何故私に」
「言っただろう、お前は昼はゼリーだの栄養ドリンクだの、ろくに固形物を口にしていないではないか」
 何げに良く見ている。
 オーギュはついふっと吹き出してしまった。
「あまり時間をかけたく無かったので…」
「ダメだ」
 ファブロスはまるで叱るように言った。
「そのままだといつか倒れてしまう。大変な事になってしまうぞ。でないと」
 オーギュはきょとんとしながら彼の言葉を待った。ファブロスは変わらない仏頂面のままでやや顔を逸らし、声量を押さえて呟く。
「私が困る」
「………」
「困るから、食え」
 ぽかんと口を開いたままだったオーギュは、しばらく間を空けてからくすりと笑った。
「ありがとうございます。楽しみにしてお昼に頂きますね」
 ファブロスは再びオーギュに向き直ると、やけに嬉しそうな表情を見せてそうか!と言った。
「ちゃんと劣化しないように保護シートも保冷剤も入れてある。デザートも別のケースに入れて、しっかり保冷剤もセットしてあるからな。必ず口にするんだぞ。ゼリーばかりでは満たされないし、体にもあまり良くないからな」
 やたら甲斐甲斐しい。
 あなたは母親ですかと言いたくなるが、この甲斐甲斐しさとやたら心配してくる彼を見ていると、謎の安心感が湧いてしまうのだった。
「そこまでして貰う程、私はあなたに何かしましたっけ…?」
 大変有り難いのだが、心苦しかった。
 ファブロスは「私がしたいだけだ」とだけ呟く。
「だから別に、礼はいらないぞ。単に心配だっただけだからな」
「………」
「弁当箱は洗わなくていい。そのまま私に返せ」
「いや、せめてこれくらいは」
「だめだ」
 まるで子供扱いされているような錯覚に陥りそうだ。
「お礼がしたいのですが…」
「弁当を完食してくれればそれで満足だ。では、私はもう仕事に入る」
 彼は不器用なのだろう。
 受け取った巾着袋を抱えながら、オーギュは去って行くファブロスの背中を見送っていた。

 その日の昼。
 受け取った弁当箱を開くと、中身はカラフルな彩りの、バランスの良いものばかりだった。
「…凄い」
 ついオーギュは中身の充実感に感動する。
 あんな仏頂面で、このような凝った弁当を拵えるのか。つい彼はふふっと微笑む。
「あっ」
 久しぶりに見つけた物をフォークで摘んだ。
「タコさんウインナー…」
 可愛らしいウインナーを眺め、懐かしさに感慨深くなりつつ、有り難くそれを口にした。
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