異世界学園の中の変な仲間たち

へすこ(ひしご)

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そのななじゅうに

変態王子様(ドS)と変態従者(犬)

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 シャンクレイス学院の生徒会長、サキトは自宅の屋敷内の自室で悶々とした日々を過ごしていた。白を基調とした広い部屋は、これもまた真っ白な家具で統一されていて、まるで王族のような気品溢れる様相を保ち続けている。
 ソファや天蓋付きのベッドも真っ白。昔からなるべく白で統一せよと言わんばかりだが、アクセント用なのかカーペットは赤く、縁は金色の刺繍が贅沢に施されていた。
 そんな豪奢な部屋に居ながら、愛くるしい姿を惜しげも無く披露しているサキトは「ああ」と低めの声で唸った。
「ど、どうしました?サキト様?」
 側近のボディーガードとして身近に付かせている大木のような男、またはサキトの専属の十八禁絵師のクロスレイは恐る恐る主人に問う。
 ガタイも良く、自信無さげな顔をしなければまともに見えるクロスレイを、サキトは愛用する王様のような椅子に腰掛けながら「つまんない」と愚痴を吐いていた。
「何もしてないからでは…?」
「うるさいなあ。満たされないんだよ」
「は…?」
「君にたーくさん妄想本を描いて貰ってるけどね。何ていうの?ほら、実物を触れてないからね。はあ、僕が望めばすぐにスティレンが来てくれるようなワープ装置があればなあ。好きな時に悪戯出来るのにさあ」
 そんなにまで彼がいいのだろうか。
 サキトのスティレンに対する執着心は良く理解しているが、居ないのに求める様子を見せられては複雑な気分に陥ってしまうクロスレイだった。
 小さく、可憐な手をわきわきさせながら小悪魔はほうっと溜息を唇から漏らす。
「あの子が居たら、僕は毎日毎日毎日えげつない事をしてあげられるのに。はあ、あのプライドの塊の高飛車そうな顔を歪ませてあげたい。ね、クロスレイ。君には分からないかな?綺麗な顔をした強気な子をたっぷり可愛がりたいっていう僕の気持ち。はああ、スティレンなら絶対僕の願望を叶えてくれるはずなんだよ」
 話を振られるものの、サキトと性癖が全く異なるクロスレイには彼の気持ちはさっぱり理解出来なかった。
 恍惚とした表情を見せる主人は、完全にドSの片鱗を剥き出しにしている。それを目の当たりにするクロスレイは、全身の体毛が逆立つような寒気を感じつつ、ぞくぞくと甘い痺れを味わう。
 この主人の毒牙にかかると、たちまち自分が小さな存在になり下がりそうな気がするのだ。
「さ、サキト様」
「なぁに?クロスレイ」
 スティレンを苛める妄想に浸り、サディスティックな表情のままのサキトは護衛に返事をする。
「おっ、俺は…あなたのその表情がもう、堪りませんっ…!」
 はあはあと顔を真っ赤にしながらサキトの足元に膝をつく大男。先程までの純朴な印象はどこかへ吹き飛んだのか、クロスレイは主人が組んだ細い足に触れ、愛おしげに頬擦りをする。
 サキトはふふ、と意地悪そうに微笑む。
「なあに、クロスレイ?君はスティレンに嫉妬しちゃってるのかい?んふふ、可愛い」
「はあっ…サキト様、サキト様!」
 引っ切り無しに足を撫でるクロスレイの頭を撫でながら、君は僕の忠実な犬だねぇと褒めた。
「ふふ。さあ、君はその類稀なる画力で僕とスティレンの激しいエッチな本を描くんだ。そしたら、そうだねぇ。…君と僕のえげつない番外編を描く事を許してあげる。僕を沢山満足させるんだ。いいね、クロスレイ?」
 サキトはとにかく本を描いて欲しいらしい。
 そう簡単には触れさせない主人に対し、クロスレイははあはあと呼吸を荒げながら忠実に「は、はひ」と従う。
「サキト様と俺のえげつないのを!!」
 一番描きたいのはそれらしい。しかしサキトはクロスレイに釘を刺した。
「その前に、僕の要望に応えてからだよ!」
「わ、わかりまひた!!描きます描きます!」
 ぐにょりとクロスレイの頰を抓りながら、サキトは満足そうに微笑む。一方で、窘められお仕置きを受けるクロスレイはやけに嬉しそうな様子だった。
 抓られているのに。
「ああ、サキト様ぁ…」
「君のその情けない顔も大好きだよ、ふふ」
 少年よりも遥かに大人である屈強な男は、情けない声を出しながらこくこくと頷いていた。
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