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真・らぶ・TRY・あんぐる 三
しおりを挟む言うまでもないかもしれないが、昼休みの間にその話は全校を駆け巡ったのであった。
もっとも、全校といっても学園の高等部だけ、というのが佑への救いではあるが。
で、当の本人・育嶋佑はというと。
浮かれてもいなかったし、呆然としてもいなかった。
心ここにあらずという感じではあったが、それはここ一週間というものずっとそういう様子が続いていたので留美の告白が原因ではない。
友人に相談しようにも、残念ながら親しい友人は別のクラス。 この騒ぎでは相談するに出来ないに違いない。
もっとも、親友ならば向こうの方から訪ねてきてくれるだろうが、切羽詰まった佑の頭にそんな考えは浮かばない。
そして、ついもらしてしまったのが
「……困った……」
というセリフだった。
その呟きを耳にしたクラスメートの男子が、やっかみ半分からかい半分に言ったのが
「困ることないだろ、どうせからかわれてるんだろうし」
であった。
要するに佑への同情はまるでないのだ。
が、佑の現在置かれている状況が想像を絶するものであったため、同情は期待するだけムダであった。
「できれば、からかわれているんであって欲しい……何かの間違いであって欲しい……」
佑の頭の中ではそういう言葉がぐるぐると回っていた。
少なくとも女の子から愛の告白された時の思考ではなく、ましてやその女子が評判の美少女だったときの思考でもない。
そう。
彼は悩んでいたのである。
とはいっても、留美からの告白と由香への想いの間で揺れ動いていた、のではない。
確かに、少しは由香のこともあった。
だが、実際のところそれどころではない心境で、状況だったのである。
放課後になって、慌ててクラブの部室に向かった佑。
が、部室のノブに手をかける瞬間、後ろから肩をつかまれた。 思わず振り返る。
「新森……」
佑が部室に入ろうとするのを止めたのは同じクラブの新森誠一だった。
「育嶋……死ぬ気か?」
「え?」
新森が指差したのはドアに貼ってあった貼り紙だった。 それが目に入らなかったのだから、かなり慌てていたのであった。
勢いのある金釘流の文字で、書いてあった文句が、
『緊急の際以外の入室を禁ず 禁を破るときには生存停止を覚悟のこと』
そんな貼り紙がある扉を開ける度胸があるはずもない佑。
友人に礼を言い、教室に戻って帰り支度をした。
そして、気落ちした彼が帰宅しようとしたとき、校門で待っていたのは由香と留美の二人連れだった。
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