『真・らぶ・TRY・あんぐる』

倉智せーぢ

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真・らぶ・TRY・あんぐる 七

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ウェイトレスが注文をとっていくと、留美は大胆な挑発行為にでた。
「ゆーうークン! 」
そう言いながらスカートを自分で捲くりあげたのである。
当然と言えば当然のことながら、まだスカートの下は素裸だ。
彼女はストッキングがキライなタチだったし、ましてやそんなものを持ってきているはずがないし、まだトイレにいって穿きなおしてもいない。
角度とかの関係で他の客やその他のギャラリーの目には入っていないが、慌てて由香は制止した。
「やめなさいってば、留美! こらっ!」
ほぼ一瞬ではあったが、白く輝くような二本の白くつややかな脚と、その付け根の黒い茂みなど全くない、赤ん坊か幼い少女のようにすべすべした下腹部とは、パンチラでも鼻血を出しかねないほど純情な佑には刺激がいささか強すぎた。




いや、佑でなくても男ならたいがいブッとぶだろう。
……うそだと思う女性読者は男の前でやってみればいい。 普通の男ならまず目を白黒させる。







白黒させなかったら? 
……そりゃその男が普通じゃないのである。
作者のせいではない。





ちなみに、
その映像は彼の脳裏に強力な衝撃をあたえ、佑はその場で危うくぶっ倒れかけた。

……ここまでくると、はっきり言って純情なのにもほどがある。


念のため言っておくが普通の男はぶっ倒れない。
ぶっ倒れかけもしない。

作者が保証するのは、目を白黒……までである。 


佑はようやく理解した、由香の言っていた『何かしでかしたときのフォローのために』の意味を。


……と言いたいところだが、実のところそうでもなかった。
由香でさえ、親友のそんな行動には驚いていたし、それに何より、佑自身そんなことに思いをめぐらせるような精神状態でもなければ、身体状態でもなかったのである。


「留美っ! 公衆の面前でそんなはずかしいことするんじゃないのっ!」
小声で怒鳴る由香。
「だってえ、佑クンにみてもらいたいんだモン」
「……あ、あのねえ、あんたには羞恥心ってものがないの?」
「ない」
「はあ?」
「好きなひとに関してはないんだモン、ね?」
そういって首をかしげながら佑に向かって微笑む。


このぐらい想われるというのは男冥利につきるというものだろうが、それも時と場合によるに違いない。
目の前で、しかも自分の好きな女の子が目の前にいる時にこういうことをいわれても男にとっては困るのである。
ましてや、その女の子がラヴモーションをかけたい娘の親友としたらなおのこと。

更に言えば、そんな状況でなくっても常軌を逸している留美の行為だった。
「…お願いだから留美ちゃん、そんなことしないで。 僕まで恥ずかしいから…」
顔を真っ赤にしてそういう佑に、留美はますますいたずらっぽい表情になってにっこり笑った。
「うん、佑クン。 後でゆっくりじっくりたっぷり見せてあ・げ・る・ね」
佑も思わずドキッとしたが由香の視線を感じ、あわてて首を振った。
「い、い、いらないよ」
しかし、そんな言葉くらいでおとなしくなるような留美ではない。
だいたい彼女は「好きになったら恥も外聞もない」という性格なのである。
女の子一般はそういう傾向にあるものかもしれないのだが、留美の場合は少々以上に度を越していた。


「あン、だからユカちゃんのことなら気にしなくてもいいのに……ねえ、ユカちゃん?」
この言葉で佑はまたドキッとしたが、どうやらそれは二人には気付かれなかったらしい。
「それじゃ、行ってくるね」
「はいはい、いってらっしゃい」
見送ってから、今度は佑をまじまじと見つめ、こう言った。
「あたしは留美を野放しにしないためのお目付役に過ぎないんだから、佑くんは何も気にしなくてもいいのよ?」
留美が着替え(?)をすませて戻ってくると、由香は更に、
「あたし、佑くんがちゃんと常識あるの分かってるから。 留美と違って……ね?」
そう言って、ちろり、と横目で彼女を見た。
「ひどおい! ユカちゃんてばあ……」
その由香の台詞に胸をなで下ろすべきか、はたまたせっかくのチャンスを逃したと悔しがるべきか、困ってしまった。
そんなことに困るより、もっと根本的な所に目をむけるべきだと思うのだが、佑の場合仕方ないかもしれない。

それはともかく、

佑の頭のなかでは、留美の肌と由香への気持ちとが『ちびくろサンボ』の虎のようにぐるぐる回ってバターになってしまい……つまり、一言で言うと
『大混乱をおこして』
しまっていたのだった。


かくて、大混乱をおこした佑はその後のことをおぼろげにしか覚えておらず、留美と(なぜか)またデートをすることになったことなどすっかり忘れさっていた。
人間というものは嫌なことは忘れやすいというから、佑にとって、留美とのデートは歓迎すべからざるものだったようだ。


さて、今日はゴールデンウィークあけの最初の日。
授業も終わり、部室に向かおうとした佑の前に、二人の人物が立ちはだかった。

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