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真・らぶ・TRY・あんぐる 八
しおりを挟む……ご期待に添えなくて申し訳ないが、その二人は留美と由香ではなかった。
「結城、大部……どうしたの急に?」
「どうしたのって……あのな、僕たちがそんなに友達甲斐がないと思ってるのか?」
「水くさいじゃないか、何で相談に来てくんないんだよ?」
何で……って……まあ佑にも言いたいことは多々あるのだが、さしあたりすぐに口から出てこない。 よって、
「ご、ごめんね二人とも……」
そう謝る佑だった。
佑の親友と自他共に認める二人、結城弘と大部正明は憮然、とした表情をしながら、一対の彫像のごとく、腕組みをしながら横目で佑を見ていた。
ともかく。
……想像していて然るべきではあった。
佑も、そこは自分の落ち度だろうと思う。
二人の親友は、早耳なことにかけては人後に落ちないし、早耳じゃなくてもこんな耳の中にむりやりねじ込まれるようなウワサの広がり方では、彼らが知らない、という方が奇跡である。
しかも、ゴールデンウィークを中に挟んでいるから、あれからもう5日は経っているのだ。
「……で?」
「で……って?」
「どうなったんだ?」
「どうなったって言われても……」
弘に核心を訊ねられ、ちぢこまって口ごもる佑に正明は指摘した。
「デートしたんだよな?」
「いっ?」
さすがは情報局ナンバー4、そんなことまで知っているとは!と佑も親友の実力に驚き、つい奇声をあげてしまった。
「いいじゃないか別に。 水瀬さんは可愛いし、性格もみんなに好かれるようなよい子だろう?」
……それは確かに。
「育嶋にふさわしいと思うよ?」
それはどうだか。
由香のことが誰より好きだと思っている佑だが、とっても可愛い、しかも自分のことが好きな女の子が自分にアプローチしてきたのだから、『一番より№2』そう考えて留美とラブラブになってもいいはずだった。
たとえ好きな相手の親友だとしても、である。 一般的な思考としてはままあることだろう。
「押しかけ女房……というか押しかけ彼女というのは確かにちょっと問題あるかもしれないけどね」
正明が苦笑しながら、ほんの少しうらやましそうにそう呟く。
「……僕もどうしていいのか、よくわからなくって……」
「まあ育嶋だったらそうかもなー」
正明がため息混じりにそういうと、弘が口をはさんだ。
「でもさ、いくら積極的だっていっても、相手が女の子なんだから僕よりゃマシだろ?」
「え?」
しばらくの沈黙――――――
「あ」
「『あ』?」
正明の追求するような、首を傾げた意味深なニヤニヤ顔に
(く、口がすべった……)
と、内心焦る弘。
「やっぱり神道とそういう仲に……」
「いいだろそんなこと! 今は僕のことじゃなく、育嶋の相談にのってるんだから……」
「じゃ、結城の恋愛問題については今度追求するとして……」
メモを取る正明に弘は、
「こ、こらちょっとまて! 大部! なんだって僕のことにこだわるんだ?」
「面白そうだから」
「お……お……おまえなぁ…………」
「それに僕、情報局員だし」
そう言って悪戯っぽく微笑む正明を横目に、頭をかかえた弘は
「……と、とんでもない奴と友達になってしまった……」
そう呟くと、正明が血相を変えた。
「なんてこと言うんだ」
その気迫に押され、たじたじとなった弘である。
「なんてことって……」
「育嶋にたいして失礼じゃないか!」
「あのな」
額を押さえ、一拍置いて
「お前だお前! とんでもないっていうのは、大部正明! お前に対する形容だって!」
「そーかぁーちっとも気がつかなかったなあ」
「うそつけ」
いまや完全に自分のことを忘れ去っているような親友たちのじゃれあいをみて、佑はよせばいいのに口を出した。
「あの……そろそろ漫才はやめてくれる?」
「……言うじゃないか?」
「いや、実際、ここで時間潰す余裕が……」
「それはともかく」
まったくもって、『それはともかく』じゃねーだろ!と言いたいが、友人が気を悪くするといけないので言いかねる佑だった。
「それはともかく、あの娘に惚れられて何が問題なんだ? 全然わかんないよ」
「うん、確かにね」
「何がって……そんなこと言えないよ……」
佑は顔を真っ赤にして、消えて無くなってしまう訓練をしているような仕草をしつつ口ごもる。
「それじゃいくら僕らでも相談に乗りようがないよ」
やれやれ……と言いながら首をすくめる正明。
でも、原因が原因なのだから相談に乗ってもらえなくてもしかたないなあ……と思う佑だった。
だが、この場合、佑が二人に相談を持ちかけたのではないのであって、別に佑が気に病む必要はない。
それでも気に病むのが彼の性格なのではある。
困ったものだ。
ともあれ、
佑にはそう簡単に踏み切れない理由があるのであった。
繰り返すようだが、『由香のことが好きだから』だけではない。
それは………………
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