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真・らぶ・TRY・あんぐる 三十・五

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インタルード3


萬本学園の高等部で怒らせてはいけないものが5つある。 それは
1、情報局長・服部数三
2、格闘部4人衆
3、常桐じょうどうツインズ
4、井沢正
5、神道しんどう直也

そして、留美を襲おうとした連中は第一位の服部数三を確実に怒らせていたのだ。
ちなみにその脅威度は、基本的に順不同である。
つまり『服部数三が一番怖い』という意味ではないので念のため。


正明の報告を聞き終わり、それまで黙っていた数三は重々しく口を開いた。
「わかった。 女としてそんな連中は許せないしな。 それに大部? 被害者は君の親友なのだろう?」
「は、はい!」
「まかせておけ。 そいつらは再起不能の上、退学にしてやる」
たのもしい数三の言葉だった。
そして――彼女は有言実行の人だった。
おまけに、素手同士の一対一なら留美のボディガードを務める自衛官と同じくらいに強いのだ。
まだ十七で、しかも女の子だというのに。
『情報局長』の肩書きは伊達ではなかった。
相手が素手でなくとも、そんじょそこらの同年代の男などたとえ4、5人束になってかかって来ようがコテンパンにすことができる実力があるのである。


翌日
「ああ、大部、昨日の話だがな……」
「昨日の話?」
「始末しておいたので、安心するようにといってやりたまえ」
その言葉で何のことかを悟った正明は数三に深々と頭を下げた。
感動の涙がはみ出すのを隠すためもある。
「あ、ありがとうございます!」
「お礼を言われるような事ではない。 当然の事だ。 仮にもあたしは情報局長で、ウチは情報局なんだからな」
薄く微笑して
「目の行き届かなかった罪滅ぼしだ」

「ところで」
滅多にない事だが、数三は微妙に顔を赤らめながら
「久しぶりの荒事の後だからか、実はちょっと興奮がおさまらなくってな…………鎮めてくれないか?」
「は、はい、局長!」
「今は『数三』でいい……」
「数三さん……」
で、
そういうやりとりの後に二人はそういう行為に突入していた。
「局長……数三さん……」
「あ……大部、そこは……キく……」
だがこの際、彼らのそういう行為に言及する場合ではない。

   

ただ一つ付け加えておくなら、1年A組の委員長・鷹栖川寧たかすがわねいは退学処分にされ、急な事だったので副委員長が委員長に繰り上がった。
しかし、一般生徒に詳しい事情は知らされなかった。
それでも、鷹栖川の日頃の行いのゆえか、誰も不審には思わなかったようである。

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