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真・らぶ・TRY・あんぐる 三十七
しおりを挟む佑がケガで身動きがとれなくなっている間に、ひとつの事件とそれに連なる出来事があった。
彼がケガして男を上げてから3日め、いつも通り佑抜きの一家団欒。
佑美と英介の夫婦は娘や留美の目をはばからずいちゃいちゃしていた。
佑が見たら頭を抱えるだろうが、彼のケガはまだ治癒していなかった。
少なくとも、自由にひょいひょい動ける程度にまでは。
睦まじい二人の様子を見ていた留美はいつも通り微笑んでいた。
だが、だんだん表情が暗くなり、ついには涙をこぼしはじめた。
「どうなさったの、留美ちゃん!?」
慌てて佑美が駆け寄り、冴英は心配そうに留美を上目づかいで見ている。
「ご、ごめんなさい……泣くつもりはなかったんですけど」
ハンカチを取り出して軽く目頭をおさえ
「お父さまとお母さまの仲の良いのを見てたら、ウチの両親が別居してるの……悲しくなってきちゃって」
「留美ちゃん……」
悲しんでいる留美に優しく胸を貸した佑美の顔にはある決意が浮かんでいたが英介以外には解らなかった。
「あなたのお母さんの旧姓、ご存知かしら?」
身体を離し、美しい瞳で留美のそれを射るようにのぞきこんでたずねると、留美はどきまぎし
「ママの旧姓ですか? ええっと」
視線を上にやり、ややあってから答える。
「たしか岩清水だったと」
「岩清水? やっぱりそうでしたのね」
佑美の納得顔に
「そういえば、ママもお母さまのこと知ってるみたいでした」
「学生時代、お友達でしたのよ」
留美もその言葉ばかりは鵜呑みにすることができなかった。
母のあの態度からすると留加が佑美に一方的に憧れていたのは事実だろうが、そういうのはあまり『お友達』とは言わないだろう。
もっとも、その状態でも佑美が留加のことを『お友達』だと思っていた可能性はあるが。
「旧交を暖めたいので、お母さんがどこにいらっしゃるか教えて下さる?」
その言葉に佑美が何をしようとしているかを英介は悟った。
ちなみに、この部屋の中にいる人間のなかで佑美が何をしようとしているかを悟ったのは彼だけであった。
冴英は何がなんだかわかっていなかったし、留美も佑美の言葉を額面通り受け取ったからである。
ちなみに佑は、ちょうどその時、悪寒に襲われていた。
「佑美さん」
「何かしら?」
「お手柔らかに」
優しく釘をさすと彼女はうふっ、と微笑み
「了解しましたわ」
更に目の笑いが大きくなる。 どうも口だけのようだった。
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