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第一章(約11万字)
第63話:呪いの刺青
しおりを挟む「え?」
こんなにあっさりと白旗を上げるとは思っていなかったため、拍子抜けしてしまった。
力の差を見せつけられたことで、戦意を失ってしまったということだろうか?
もちろん油断させておいて奇襲を狙う腹づもりの可能性もある。
継続して注意しておく必要はあるが、どうも白旗を上げたラッシュからは先ほどのような覇気が感じられなくなっていた。
「じゃあ、もうアリアを連れ戻す気はないということでいいんだな?」
「ああ」
「ということは、お前も一緒に——」
「それは、無理だ」
俺の改めての誘いは、即答で断られてしまった。
「どうしてなんだ? アリアの話では、お前も魔族からは大事にされてこなかったはずだ。外野がとやかく言うことではないかもしれないが、何をそこまで——」
「わかったような口を聞くな」
ピシャリ。
俺の言葉を聞き終える前に、苛立った様子で言葉を被せてきた。
「……悪い」
あまりの剣幕に、少しこちらも怯んでしまう。
「いや、カズヤ……だったか。君が謝る必要はない」
少し落ち着きを取り戻した様子のラッシュは、言葉を続けた。
「君たちがアリアから聞いたように、確かに俺たちハーフは純血魔族から虐げられているし、それに対しては不満を持ってる。正直な話、あいつらは嫌いだ。同族だと思ったことはない。何度裏切ろうと思ったかわからないし、実際逃げ出そうとしたこともある」
本当にさっきと同一人物か……?
横目でアリアを見てみると、彼女もかなり驚いているようだった。
「……そんなに魔族が怖いのか?」
アリアは、裏切ったことがバレれば殺されると言っていた。
これを恐れているのだろうか?
「それも違う。この際、はっきり答えておこう。俺は、魔族を裏切ることができないんだ」
そう言って、ラッシュは服を脱いで半裸の姿になった。
ラッシュの上半身には、胸に趣味の悪い刺青が入っている。
白目部分が黒く塗りつぶされた、魔族を連想させる目のデザイン。
「これは、魔族に掛けられた呪いだ。この呪いのせいで、俺は魔族のご機嫌一つで心臓に許容量を超える魔力が流れ込み、死ぬようになってる」
「……⁉︎」
「少し、昔話をしよう」
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