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第2章:第二学院創設編
第12話:最強賢者は報告する
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治癒院を出てからは、冒険者ギルドに向かった。
ギルドの想定よりも規模が大きかったことと、脅威を排除したことは報告しておかなければならない。
「……ということです」
俺が代表して事の顛末を話した。
受付嬢さんは話を聞き終わると「少々お待ちください」と席を離れ、責任者に話をしに行った。
しばらくすると初老の受付嬢らしき人物がやってきた。
「お待たせしました。冒険者ギルドアリシア支部長のマリアと申します。今回は脅威を排除した功績に深い感謝と、ギルドの不手際を謝罪いたします」
そう言って、マリアさんは頭を下げた。
なんだか少し長い肩書だが、ようするにこのギルドで一番偉い人だということだ。
そんな人が頭を下げるということは、事の重大さを認識したのだ。少しほっとした。
「マリアさん、頭を上げてください。それで、被っていたクエストに関しては俺たちのパーティで対処したんですが、レムたちの方は遂行不可能になってしまいました」
「そちらに関してはギルドの方で両パーティともクリア扱いとさせていただきます」
「そうですか」
内心ほっとしたというのが正直なところだ。レムたちのパーティにペナルティが課せられることはないと思っていたが、正式にギルドの人からその言葉を引き出せたのは大きい。
レムとアミも少し肩の力が抜けたようだ。
「オークキングの討伐に関しては、ギルドから特別報酬を出すつもりです。もちろん、レムさん、アミさんのパーティにも特別報酬が出ています。金額に関してはまだ本部から最終決定が出ていないのですが、かなりの金額になるかと」
ギルドでは高難易度クエストの攻略時に特別報酬が出ることがある。特別報酬が出ることは最初から明かされているときと、明かされていない時がある。
今回のように簡単なクエストの際に大きな功績を上げた者には、後から特別報酬が出ることがある。それが今だ。
「ちなみに、最低どれくらいになりますか?」
「おひとり当たり金貨五百枚は下らないかと……とにかく凄いことなので」
金貨五百枚と言えば、金貨一枚で一万円くらいの価値だから五百万円になる。
命を懸けた戦いではあるが、日給五百万はとてつもない大金だ。
レムとアミはあまりの衝撃に目が飛び出るんじゃないかってくらい驚いていた。
「よかったな、二人とも。これで試験まで集中できるじゃないか」
「そ、そ、そ、それはそうですが……そんな大金受け取ってしまって良いのでしょうか。……ほとんどユーヤさんの手柄なのに……」
レムは遠慮がちに話す。
「俺だけの手柄じゃない。オークの居場所を教えてくれたり、雑魚を引き受けてくれなければどうにもならなかった。二人には受け取る権利がある」
「正直、毎日カツカツで……パンも買えない状況だったんです。……本当にありがとうございます」
二人は涙を浮かべていた。
「ま、その代わり試験までみっちりと修行に付き合ってもらうがな」
「「え……!?」」
「ん、どうした? まあ修行が嫌だというのはわかるが、さすがに何の対策もしないで試験を受けさせるわけにはいかないからな。対策なしで受けるなんて無謀すぎる」
言っていて気付いた。
……俺は何を言っているんだろう。
試験対策を何もしないで合格した張本人が言うべきことじゃないのかもしれない。
そっとリーナを見る。
言葉には出さないが「お前が言うのか?」と目で語っている。
そりゃそうだよ。そうだけど……一般的にはちゃんと傾向を知って対策を立てないと試験は通らないんだ!
「ち、違いますよ! ユーヤさんに直接指導してもらえるなんてめちゃくちゃありがたくて!」
と、レム。
「え?」
「こんなに凄い人から教えてもらえる機会なんて人生でそう何度もないです! ありがとうございます!」
と、アミ。
「え?」
修行してやると言ってこんなにありがたそうにするものなのか?
もしかしてこいつらドMなのか?
「ま、まあそういうことだから、覚悟しておくように。俺の修行はめちゃくちゃ厳しい。俺の言う通り努力すれば……そうだな、リーナとエリスの二人くらいには強くなれるよ」
チラッと二人を見る。
うかうかして鍛錬をサボっていると抜かれてしまうぞと警告している。
二人はハッと真面目な顔になった。
レムとアミの実力はまだまだ二人の実力には遠い。
一朝一夕の修行で追いつくことはできない。
でも、油断していると抜かれてしまうというのは本当だ。たまに発破をかけておくのも大事だろう。
「マリアさん、ありがとうございました。それでは、失礼します」
「とんでもないですよ! あ、あとギルドランクに関してですが、ユーヤさんは二階級特進、皆さんは一階級昇進が決まっています。これからもよろしくお願いしますね!」
そうか、ギルドランクも功績を上げると特別に上げてくれるのか。
これでまた強いモンスターと戦うことができるようになる。安全マージンは取りつつではあるが、徐々に難易度を上げていくとしよう。
挨拶を終えると今日のところはアミとレムとは別れ、俺たちは魔法学院に戻った。
ギルドの想定よりも規模が大きかったことと、脅威を排除したことは報告しておかなければならない。
「……ということです」
俺が代表して事の顛末を話した。
受付嬢さんは話を聞き終わると「少々お待ちください」と席を離れ、責任者に話をしに行った。
しばらくすると初老の受付嬢らしき人物がやってきた。
「お待たせしました。冒険者ギルドアリシア支部長のマリアと申します。今回は脅威を排除した功績に深い感謝と、ギルドの不手際を謝罪いたします」
そう言って、マリアさんは頭を下げた。
なんだか少し長い肩書だが、ようするにこのギルドで一番偉い人だということだ。
そんな人が頭を下げるということは、事の重大さを認識したのだ。少しほっとした。
「マリアさん、頭を上げてください。それで、被っていたクエストに関しては俺たちのパーティで対処したんですが、レムたちの方は遂行不可能になってしまいました」
「そちらに関してはギルドの方で両パーティともクリア扱いとさせていただきます」
「そうですか」
内心ほっとしたというのが正直なところだ。レムたちのパーティにペナルティが課せられることはないと思っていたが、正式にギルドの人からその言葉を引き出せたのは大きい。
レムとアミも少し肩の力が抜けたようだ。
「オークキングの討伐に関しては、ギルドから特別報酬を出すつもりです。もちろん、レムさん、アミさんのパーティにも特別報酬が出ています。金額に関してはまだ本部から最終決定が出ていないのですが、かなりの金額になるかと」
ギルドでは高難易度クエストの攻略時に特別報酬が出ることがある。特別報酬が出ることは最初から明かされているときと、明かされていない時がある。
今回のように簡単なクエストの際に大きな功績を上げた者には、後から特別報酬が出ることがある。それが今だ。
「ちなみに、最低どれくらいになりますか?」
「おひとり当たり金貨五百枚は下らないかと……とにかく凄いことなので」
金貨五百枚と言えば、金貨一枚で一万円くらいの価値だから五百万円になる。
命を懸けた戦いではあるが、日給五百万はとてつもない大金だ。
レムとアミはあまりの衝撃に目が飛び出るんじゃないかってくらい驚いていた。
「よかったな、二人とも。これで試験まで集中できるじゃないか」
「そ、そ、そ、それはそうですが……そんな大金受け取ってしまって良いのでしょうか。……ほとんどユーヤさんの手柄なのに……」
レムは遠慮がちに話す。
「俺だけの手柄じゃない。オークの居場所を教えてくれたり、雑魚を引き受けてくれなければどうにもならなかった。二人には受け取る権利がある」
「正直、毎日カツカツで……パンも買えない状況だったんです。……本当にありがとうございます」
二人は涙を浮かべていた。
「ま、その代わり試験までみっちりと修行に付き合ってもらうがな」
「「え……!?」」
「ん、どうした? まあ修行が嫌だというのはわかるが、さすがに何の対策もしないで試験を受けさせるわけにはいかないからな。対策なしで受けるなんて無謀すぎる」
言っていて気付いた。
……俺は何を言っているんだろう。
試験対策を何もしないで合格した張本人が言うべきことじゃないのかもしれない。
そっとリーナを見る。
言葉には出さないが「お前が言うのか?」と目で語っている。
そりゃそうだよ。そうだけど……一般的にはちゃんと傾向を知って対策を立てないと試験は通らないんだ!
「ち、違いますよ! ユーヤさんに直接指導してもらえるなんてめちゃくちゃありがたくて!」
と、レム。
「え?」
「こんなに凄い人から教えてもらえる機会なんて人生でそう何度もないです! ありがとうございます!」
と、アミ。
「え?」
修行してやると言ってこんなにありがたそうにするものなのか?
もしかしてこいつらドMなのか?
「ま、まあそういうことだから、覚悟しておくように。俺の修行はめちゃくちゃ厳しい。俺の言う通り努力すれば……そうだな、リーナとエリスの二人くらいには強くなれるよ」
チラッと二人を見る。
うかうかして鍛錬をサボっていると抜かれてしまうぞと警告している。
二人はハッと真面目な顔になった。
レムとアミの実力はまだまだ二人の実力には遠い。
一朝一夕の修行で追いつくことはできない。
でも、油断していると抜かれてしまうというのは本当だ。たまに発破をかけておくのも大事だろう。
「マリアさん、ありがとうございました。それでは、失礼します」
「とんでもないですよ! あ、あとギルドランクに関してですが、ユーヤさんは二階級特進、皆さんは一階級昇進が決まっています。これからもよろしくお願いしますね!」
そうか、ギルドランクも功績を上げると特別に上げてくれるのか。
これでまた強いモンスターと戦うことができるようになる。安全マージンは取りつつではあるが、徐々に難易度を上げていくとしよう。
挨拶を終えると今日のところはアミとレムとは別れ、俺たちは魔法学院に戻った。
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