魔王の子は勇者兼王子に食べられる

pin蛸

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正直テンパっている。
この状況が把握できないほど馬鹿じゃないと思っていた。

とりあえず1から整理しょう。
俺は藤野亜希(とうのあき)しがない大学生を満喫していた。

はずだった。

たまたま信号のない横断歩道で車が通過するのをスマホを見ながら待っていた。
途端に目の前にいた黒猫が横断歩道に飛び出したのだ。

「あぶない!」
その猫を庇い…多分轢かれた。
正直轢かれた直後は覚えていない。

気づいたら美しい女性の手に抱かれている赤子になっていた。

つまりだ。よくわからない。
冒頭の話に戻るが俺は状況把握ができない馬鹿だったのかもしれない。

多分転生した。
けど転生先が禍々しい城の中なのが尚更俺の頭を悩ませる原因だった。

「可愛い可愛い私の子。人間の子よ。」
優しく撫でる女性の顔はすごく優しい顔をしていた。

それから月日が経ち10歳の誕生日。
前世の記憶を持ちながらすくすくと育った俺は流石に状況を理解してきた。

まず初めにこの国は3つの領域に分かれている。
カタカナが多くてめんどくさいと感じた俺は〝闇町〟〝一般町〟〝貴族町〟で覚えている。

俺は〝闇町〟に生まれた一般人だ。
魔力が多めで魔族が暮らしてる闇町で唯一一般人で生まれた俺はそれはまぁ大切に育てられた。

10歳になるまででろでろに甘やかされ肥えるんじゃないかレベルで生活していた。

そして2つ目は俺が本当に平凡に転生していた。
普通この手の生まれ変わりはイケメンになって過ごすのがベターだと思っていたが前世と変わらず黒髪、黒目の一重だった。

この時はちょっと神様を恨んだ。

そんなこんなでちょっとだけこの世界のことがわっかった。

そしてまたこの世界の常識をまた1つ学ぶことになる。

「さぁ準備はできたわね。行くわよアキ。聖フラリア学園に!」
気合いの入れた母は暗い部屋でぐっと握り拳をつくる。

いつもサラサラと手入れしている黒髪を団子にまとめ、緑を基調とした派手な化粧は落ち着いたブラウンの化粧をしている。

すごく若々しい母はこう見えても3000歳を超えている(らしい)。

聖フラリア学園は由緒正しい学園で魔力が高い者、貴族の娘、息子、騎士のトップの子などエリート中のエリートが集まる学校だ。

平々凡々の俺がなぜそんな敷居の高い学園に入学するのかというとまぁ母を楽させたいのと実はこんな凡人顔にも1つだけ神様がギフテットをくれた。

実はすごく物覚えがいいのだ。
多分前世の記憶を引き継いでいるのもあるだろうが異様に頭がよく育ってしまった。
魔法や剣術とかは一切できないけど。

「転移魔法でフラリアまで飛ぶからアキはしっかり捕まってるのよ」

そう言い母はパチンと指を鳴らし一瞬で町まで移動した。



移動してしばらく歩くと俺と同じような制服を着た人たちが門をくぐる。

「ついたわよアキ。ここが花の都フラリアにある聖フラリア学園よ。」
「綺麗だね母さま」

俺は母の手を握り花に包まれたでかい城を見上げた。

門をくぐるとキャアキャアと黄色い歓声が響く。
たくさんの人混みの中の中心にいたのは可愛らしいおっとりとした金髪の子と同じく似たような目をしていた美人な父親だった。

男性が母の顔を見るなり頬を染め近づいてきた。
母は「チィッ」と特大な舌打ちをし顔を歪める。

「マダムソフィア!会いたかった。」
「私は会いたくなかったです。勇者フラン。」

勇者。それは過去に魔族の王を堕とすと与えられる称号。
たとえ討伐をしていなくとも代々引き継がれていく称号のため今では別名で〝国王〟という称号も広まっている。

けどなぜこの勇者は母のことを知っているのか。

「そんな冷たいこと言わないでください、僕はマダムに会えて嬉しいですよ。」
それに…
そう言い勇者はしゃがみ俺に視線を合わせる。
「初めまして。会えて嬉しいよ。旧友の子に出会えて。僕はフラリア国の王、フラン。そして。おいでフィンス。」

勇者が手招きをするとひょこっとオドオドしていた男の子が近づく。
「フィンス彼に挨拶を」
「は…はじめまして。ふぃんす・あだむです」
「よくできたね」

勇者に撫でられてるフィンスは照れながらへへっとわらう。

母もフィンスに目線を合わせニコリと笑う
「初めまして。この子の母のソフィアよ。」
「アキ・リズレッド」

そう言い俺は手を出す。
まぁ仲良くしといて損はないだろう。と思った。

フィンスも俺の手を握り小さく「よろしく」と言ってくれた。

そしてしっかり入学式も終えクラスに入るとまたもやフィンスがクラスメイトに囲まれていた。
オドオドとして何も言わないフィンスに呆れながら助け舟を出した。

「みんなもうすぐ先生来るよ。席にいたほうがいいんじゃないかな?」
ニコリと愛想のいい笑顔をするとみんな「ほんとだ」「おこられちゃう」といい席を確認しそれぞれ散った。
俺も席つくか。と思い歩こうとする。

クンッと服をひっぱられた感覚を感じ後ろを向くと「ありがとう」とフィンスが笑顔で言った。
「どういたしまして」

俺は服を握っているフィンスの手を握り席まで歩いて行った。

それが俺とフィンスの出合いだった。


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