愛より大切な物語

asabato

文字の大きさ
13 / 13

自販のコーヒーを飲みながら 13

しおりを挟む
 佐伯の結婚への取り組みは徹底していて、情報が噓だと困るので実際に家まで行って調査をしていたのだ。

それは理にかなって反対はしないが、女1人で独身の男の家を訪ねるには勇気がいる。

何故って、デートを始めた佐伯の代わりに事務所に出入り未処理の仕事を任せられていたからだ。内容は家まで訪問する調査である。私は勝手に好みの男を探したりした。

秘書として自己中心的だけど、会ってみたいと思う気持ちが相手を探してしまう。女性会員と同じ心境になっていたのは前向きと言うべき事だろうか。恋愛にしても事前に知っておきたいことがあるってことに気が付くのだ。

・・
そして好みで選んだ男の住所は、高層マンションで 0028号となっている。高層なので直ぐに場所が分かるとインターホンを押した。

「佐伯相談所のです」

前もって連絡してたので「どうぞ」の声。

するとマンションのエントランスのドアが開く。私は自分の見合いの様に、エレベーターに乗ると緊張が高まった。

28階に到着すると、男はトレーナー姿でエレベータ前まで迎えてくれたのは好印象。そこには自販機もある簡素なラウンジもあり、ひと時を過ごす生活環境も備わって素晴らしかった。

30と番号の入ったトレーナーを着ている会員。それが野球の背番号と気付いたのは、しばらくしてからである。

日焼けしているのはプロの2軍コーチという。自己紹介の中ではスポーツ選手と書いてあったが、ちょっとイメージが違うように思えた。

佐伯が言うには、家に訪問して部屋に入れさせてもらい、キッチンやトイレなども調べておくと調査書を見る女性からは喜ばれると言う。

そうは言うものの「部屋に伺ってもいいですか?」とは言えない。男は案内するでもなく、その場で緊張のままでいると、トイレを使いたくなり「すいません、トイレありませんか?」

・・僕の部屋のを使いますか・・と、期待したのだけど・・つづく  
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

処理中です...