4M のメモリー 16 完

asabato

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肉体を献上 11

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 成瀬本人が言うには、美容室に来る佐々木という男に「ここに来るお客さまで、佐々木さんに一目ぼれしている人が居る人がいますよ。明日、駅の改札に行ってみれば分かります」と、男同士の秘密のように告げたという。

次の日、成瀬は女装して彼に声を掛けた。それから気に入ってくれて付き合い始めたという。ただ最近は身体を求めて来るので悩んでいるとも話す。

考えてみれば可愛い成瀬を脱がしたら幻滅だと笑いを堪えたが、もっとも可愛い成瀬を脱がしてみようと思う気持ちは私にもあった。私の場合は、憧れてるから虐めてあげたくなる気持ちだろうか。

成瀬は母親の腰痛の回復とともに、日曜日には休めるようになると、一緒に小旅行もする仲にもなる。そんな成瀬を同性と錯覚してしまう時もあるので、女の悩みまでも話し掛けてしまう大失敗もあるのだ。

 佐々木のことで相談を受けたのはそんな時で、今は別れたくないらしく、私に身体を貸して欲しいと言う。

どういうことか分からないままに、今度デートするので私たちを見てほしいという。待ち合わせは駅前の改札口。

私が改札口に着いた時は、既に女装の成瀬が私を無視するように、彼が来るのを待っていた。そして少し遅れて背の高い男が現れて腕を組んだ。

成瀬がハイヒールを履いても彼の方が身長は高く、一緒に歩いてる姿はお似合いのカップルに見られるのは間違いないようで、成瀬も完ぺきな女性に成り切っていた。

食事をして公園を散策するくらいの付き合い方、もっともそれ以上求められても困るのは分かる。でも公園で手を繋ぎ、軽いキスもする仲になっているのを見せ付けられる。

成瀬が言いたいことは、その現場で想像がついた。要するに、私は身代わりに肉体を献上してほしいと言うのだろう。でもそんなこと可能なのだろうか?つづく
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