【完結】私を嫌う婚約者から解放された後は、美形の始末屋に溺愛されました

ユユ

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名ばかりの婚約者

卒業パーティ会場の中に入ると友人が寄ってきて、シュナウツ卿を見ると興味を引いたようだ。

「ビビアン、ブラウセン様じゃないのは分かっていたけど、ビビアンのお兄様…じゃないわよね」

「お兄様はお仕事で不在なの。代わりにこちらの卿がエスコートしてくださったの。卿は公務中だから紹介はしないわね」

「そっか。残念。ビビアンに恋人ができたと思って喜んでいたのに」

「私が恋人を作ったらあいつと同じレベルに成り下がるじゃない。さっさと務めを果たして離縁するわ。その後は自由に暮らすわ」

「その時は行き先を教えてね」

「もちろんよ」

こんな話を数回繰り返していると、顔を合わせたくない相手に出会した。

「なんだ、兄君じゃないのか」

「ブラウセン様、ナタリー、卒業おめでとうございます」

「ナタリーのことは“ナタリー”と呼べと何度も言っただろう!」

「何故子爵家の娘の私が?」

「ナタリーはブラウセン家の後ろ盾がある!」

「後ろ盾?それがあると貴族名鑑に載りますか?」

「なっ!」

「貴族のサロンに入れますか?」

「お前っ!」

「ブラウセン家の後ろ盾だけで王宮行事に出席できますか?」

「ビビアン!」

「酷いですわっ」

「何度も申し上げますが、ブラウセン様とナタリーさんが特別な関係だとしても私には興味はありません。貴族と平民の線引きが出来ていれば結構です。
愛人として囲っても子を産ませても構いません。ですが別に部屋を借りるなりして本邸には母子ともに立ち入らせることは許されません」

「ナタリーはそんな扱いを受ける女性ではない!」

「いいえ。そんな扱いを受ける女性です。
ご自分が伯爵家の子息で私が子爵家の娘だからと、身分の違いを常に口にして蔑むように、私もあなたを見習って 私が子爵家の娘で彼女が平民だということを常に分からせなければなりません。
ブラウセン様の方針に従ったまでのことですわ。

それにセーバー家はブラウセン家に1コインたりとも支援はいたしません。愛人がいる場合は支援しないという約束ですもの。愛人や愛人との子を一歩でも本邸の敷地に入れたら即離縁になります。契約違反としてしっかり違約金を支払っていただきます」

「おまえはいつも金のことばかりだ!」

「仕方ないですよね。そのお金について契約した上で婚約したのですから」

「おまえこそ、知らない男を連れているじゃないか!」

「兄が仕事で来られなくなったので、代わりをお願いしました」

「は?どうせ金で雇った男だろう」

「黙りなさい!ハミエル・ブラウセン!!」

「なっ!」

「自分が穢らわしい行いばかりしているからといって他人が同じであると思うのはお止めなさい!」

「子爵家の娘のクセに生意気だぞ!ナタリーと私は穢らわしい関係ではない!」

「そんなに体を密着させて男の体に絡みつく女は商売女くらいです」

バチン!!

バチン!!

平手打ちをされたので平手打ちで返した。

「おまえっ!殴ったな!!」

「令嬢を殴るクズを殴り返したら罪になるかしら?
例えあなたと取っ組み合いになったとしても この方への無礼な発言は許さないわよ!」

ハミエル・ブラウセンは拳を握りしめて振り上げた。
平手じゃないのか…反撃できるかな…なんて思っていたら…

ドン!

「グハッ!」

「キャアっ!ハミエル様っ!」

シュナウツ卿が彼の首を掴み押しながらハミエルの脚の後ろに脚を掛けて後ろに倒した。
ハミエルの胸を膝で押さえ付け、咳き込むハミエルの側頭部を手で押さえ付けていた。

「こっ、こんなこと…許されないぞっ」

「残念だが許される」

「止めてください!ハミエル様に酷いことをしないでください!」

ナタリーはシュナウツ卿の袖を掴んだ。

「おい、女。俺に気安く触れるな。殺すぞ」

ひえっ!何でこんな怖い人を派遣したんですか!陛下っ!

「卿、汚れますから彼から離れてください」

「だが、こいつは俺がエスコートをしている女を平手打ちしただけじゃ飽き足らず拳で殴ろうとしたんだ。分からせないと」

唖然とする給仕から飲み物を奪って戻ると、クズの側に立った。

「卿、顔を上に向けさせてください。顎を上にお願いします」

卿はハミエルを顎を掴んで上を向かせた。
私はしゃがんで彼の鼻の穴目掛けて飲み物をゆっくり溢した。

「グァっ!ゲホッゲホッゲホッゴホッ!」

「こんなクズはこのくらいで十分です。あまり痛めつけると観客から同情を買わせてしまいます。
これなら恥を与えられます」

「気に入った」

「え?」

卿は給仕を手招きした。

「赤ワインを」

「は、はいっ」

「ビビアン、こいつをくすぐれ」

「え?」

「殴ってもいいぞ」

くすぐるとクズは悶えた。その瞬間、卿は給仕から手渡された赤ワインをクズの口の中へ注いだ。

「ゲホッ、やっ、止めろっ、ひっひひっ、ゴホッ、ひひっ、ゴボコボコボゴボゴボ ゲハッ!!!」

赤ワインは盛大に飛び散った。

「いいか?次は赤ワインじゃなくて お前の血になるぞ」

「どうなさいましたか!」

さすがに警備兵が駆けつけてしまった。

卿は私の手を取り立ち上がると、自身の手首を見せた。
手首にはブレスレットがあり、黒い宝石がはめられて何か刻まれていた。

それを見た瞬間、警備兵達は顔色を変えて敬礼した。

「我々は王立警備隊所属、王立学園の警備担当でございます!」

「ご苦労様。こいつは私のパートナーを平手打ちした後に、更に拳で殴ろうとしたためにお仕置きをしていたんだ」

「は?無知は怖いな」

「学園の卒業の日にこの世からも卒業するつもりか?」

などと言いながらクズを拘束した。

「わ、ゲホッゴホッ、私はっゲホッ、被害者だ!」

「その平民も共犯だ。追い出してくれ」

「かしこまりました」

「え!?痛い!放して!」

2人は会場から追い出された。

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