【完結】私を嫌う婚約者から解放された後は、美形の始末屋に溺愛されました

ユユ

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【 ハミエルの視点 】

『おまえは馬鹿か』

『父上!?』

『ナタリーも卒業パーティに行く権利はあるが、それはお前のエスコートではない。
ビビアン嬢をパートナーとしてエスコートして、おまえ達2人にナタリーがついて行くことを許可したんだ。つまりナタリーには馬車の同乗を許しただけだ。
ナタリーは貴族籍に属していないのに何の役に立つんだ?セーバー家との結びつきが大事なんだぞ』

「セーバー家は子爵家ではありませんか」

「子爵家と平民、どちらが上だ?」

「ナタリーは令嬢です!」

「いい加減にしろ!卒業パーティの会場で、おまえが平民を優先して、婚約者であり本物の貴族令嬢に暴力を振るったことについて、王太子殿下と王太子妃殿下からそれぞれ抗議の手紙が届いたんだぞ!」

「王太子殿下?」

「多くの貴族達の前で、平民の女を伴って王立学園の卒業パーティ出席して愚行を働けば、うちはどんな扱いを受けることになるのか分からないのか!
ビビアン嬢を丁重に扱わないと爪弾きにされるぞ!
セーバー子爵家は国で重要な位置にいるのに…間違いなく陛下のお耳にも届くはず」

「あいつだって平手打ちをしました!」

「先に手を出したのはおまえだ。その上 拳で殴ろうとして制圧されたと書いてある。拳で殴るのは未遂で済んだことに感謝するんだな」

「私がその後、何をされたかご存知ではないからそんなことを、」

「無事じゃないか」

「押さえ付けられて飲み物をかけられたのですよ!」

「おまえが拳で殴っていたら、間違いなくビビアン嬢は怪我を負った。顔を殴ろうとしたのだろう?
歯が折れたり、唇を切ったり、もしくは鼻が折れたり、顎の骨がズレたり、倒れて頭を打つかもしれない。男が女を殴れば無傷とはいかない。元はといえば非はおまえにある。拳で殴っていたらおまえを追放することになっていた。酒をかけられて命拾いしたな」

「っ!!」

「ナタリーもおまえも謹慎だ。
いいか、おまえの誕生日パーティで挽回しろ」

「……」

「何だ」

「…まだ送っていません」

「おまえは正気か!去年の誕生日は」

「送りました」

「何ヶ月前に送ったのだ」

「去年は1週間前です」

「領地のことで忙しいからと、おまえを自由にし過ぎたようだな。今後は私がいなければおまえがパーティなどを開くことを禁止する」

「っ!」

「私がビビアン嬢に謝罪と招待の手紙を出そう」

何で父上はあの女を気にかけるんだ?
嫁なんて婚家の言うことを聞くものだろう。



パーティ当日の早朝に父上に手紙が届いた。

「旦那様、セーバー子爵令嬢からお手紙です」

「……ハミエル」

「はい」

「“ご招待いただきありがとうございます。
ですが既に予定を入れております。
残念ながらご子息は私が出席しても喜びません。
いつも愛するナタリーさんをずっと伴わせてお過ごしです。せっかくの誕生日ですから愛する方に祝っていただく方がご子息にとっては幸せだと思います。声すらかからないほど私は邪魔者です。
ご子息は既に将来の伴侶にナタリーさんを選んでおられます。子爵家の娘との婚約にご子息は度々強いご不満を口になさいます。先日の卒業パーティでもナタリーさんの方が高貴なお方だと主張なさるご子息と口論となり、あのような醜聞に発展しました。
私も女ですので、これ以上ご子息から暴力を振るわれるのは避けなければなりません。
どうか、今後のいかなる催し事にも招待はご遠慮いただきたくお願い申し上げます”

おまえは何をしてくれたんだ?ハミエル」

「誤解です!」

「タウンハウスの使用人や過去の招待客に調査を入れるか?」

「っ!」

「ナタリーはおまえの誕生日パーティに出席させない。卒業もしたし、今月末にナタリーは実家へ帰す」

「そんな!」

その日のパーティは最悪な気分だった。ナタリーはいないし、婚約者がいない誕生日パーティに出席者が冷たい視線を送っていた。父上が終始側で見張っていた。

誰もが“恋人のナタリーさんは?”と聞いてくる。
その度に父上が目に怒りをためながら笑顔で訂正していくが、客は気まずそうに微笑むだけ。
パーティが終わると片付けの始まった広間にナタリーが呼ばれた。

「ナタリー。ハミエルを愛しているのか?」

「伯爵様?」

「貴族令嬢の婚約者を差し置いて、ハミエルのパートナーのように振る舞ったり、腕に絡み付き、時には抱き付いていた理由を聞いているのだ。
私は君を預かるときに、ハミエルは婚約者がいるから気を付けるように告げたはずだが?」

「ハ、ハミエル様の素晴らしさに いつの間にか心を奪われていたのです。申し訳ございません」

ナタリーは跪き涙を流した。
彼女を立たせようとすると、さらに父上は尋ねた。

「ハミエルと寝たのか?」

「……はい」

「そうか。ならば仕方ない。
ハミエルを君にあげよう」

ナタリーはパッと表情を明るくして父上を見上げた。私も嬉しくて父上に感謝を伝えようとした。

「父上、あり、」

「ハミエルは平民になってナタリーと暮らす」

「「え?」」



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