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恋人候補がいない

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半年経ったが声を掛けてくる令嬢がいない。

いや。いるが恋人にする気にならないレベルの女しか寄ってこない。

「俺の顔はそんなに劣るのか?」

「何だよ急に」

「一応侯爵家の嫡男なのに令嬢から声がかからない」

「…そりゃあ」

「なぁ」

友人の侯爵令息のマットと伯爵令息のバルテレミーが口籠る。

「なんだよ」

「フェリックスの婚約者は公女だ。しかも王命だ」

「そうだな」

「だから、お前に声をかけるということはリスクが高いんだよ」

「王命を軽視して公女を侮辱するようなものだしな」

「政略結婚なら愛人がいてもおかしくないだろう」

だからな?」

「それに、あの公女のレベルの高さを見たら、普通の令嬢はフェリックスに近寄らない」

「いくら外見が良くても中身が、」

「公女は下位貴族からも評判がいいぞ。平民にも優しい」

「フェリックスに寄ってくる女は、実家が貧しくて援助して欲しいとか、愛人として囲って欲しい次女とか三女とか、男爵令嬢くらいだろう。
あとは平民か。

フェリックスに惚れてどうしようもなくてっていう令嬢でもない限り、まともな令嬢は寄って来ないよ」

「……」

「なあ。身体が目的の女が欲しいなら、その手のクラブに連れて行くぞ」

「…出来れば恋人がいい」

「何で公女と仲良くしないんだよ」

「嫌いだからだよ」

「「……」」



進級後もクラスは一緒で ベロン公子も一緒だった。

相変わらず俺達に会話は無い。
昼休みはヴィクトル王子殿下が迎えに来てベロン公子と3人で食事に出てしまう。

帰りも殿下が迎えにこなければベロン公子が馬車乗り場まで送っていく。

選択科目も別で関わることはない。


最終学年は一歳上の殿下は卒業していなかった。
教室に顔を出すことはないから、少しは平穏な学園生活になると思っていた。だがクラスが別れてしまった。

ベロン公子もレアと同じクラスらしい。
こうなると殿下が裏で手を回している気がしてきた。

昼休みの食堂で後ろの席の生徒が殿下の話をしていた。

〈ヴィクトル王子殿下の卒業パーティは凄かったって聞いたわ。殿下がシャレッド公女をパートナーにして参加なさって、それはもう嬉しそうな顔で公女をずっと見つめていたそうよ〉

〈見たかったわ~〉

「しかも、殿下の瞳の色と同じドレスを身に付けていらしたそうよ。殿下が贈ったみたい」

〈もう幼馴染以上よね〉

〈殿下は生まれた時から婚約者が決まっていたから、お可哀想だわ〉

〈それさえなければ公女を望まれたでしょうに〉

……。



そんなの分かってる!
だけど婚約者は俺だ!俺の妻だ!
なのに簡単に手を出しやがって!!

俺はついに友人の誘いにのることにした。
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