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成人パーティ
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俺達は学園を卒業し、成人パーティが王宮で開かれた。
当日もやっぱり現地集合だった。
相変わらず、俺の誕生日にはペアチケットを贈ってくる。
だから俺も花とリボンとハンカチを贈っていた。
控え室でレアを探すが姿がない。
欠席の連絡も受けていない。
とにかくトイレを済ませておこうと廊下に出るとレアの後ろ姿が見えた。彼女の前にはヴィクトル王子殿下が立っていて、彼女の首に手を回していた。
トイレの方向にいるので仕方なく近寄ると、殿下はチラッと俺を見た後 レアの額に唇を付けた。
「良く似合ってる。成人おめでとう」
「ありがとう。私、ヴィクトルの成人祝いに大したものをあげてないのに」
「レアの刺繍入りのハンカチとレアの色の羽ペンは最高に嬉しかった」
「リクエストだったから頑張ったけど下手でしょう?」
「今年の誕生日には枕カバーに刺繍をして欲しい」
「ええ~」
「何より、レアが一緒に過ごしてくれることが嬉しい」
「口が上手いんだから」
「本当だよ」
トイレに入り洗面台で顔を洗った。
刺繍を刺したハンカチ!?
レアの色の羽ペン!?
一緒に過ごす!?
「クソっ!」
これからレアとダンスをしなきゃならないのに、苛立ちでどうにかなりそうだ!
ダンスが終わるまで
ダンスが終わるまで心を無にするんだ!
そう言い聞かせていた。
騒がしくなったので会場入りになったのだろう。
急いで戻りレアを探した。
控え室にはいない。
会場に入るとレアが出入口付近に立っていた。
「行くぞ」
「!!」
レアの手を握り、前列に並んだ。
王族席のヴィクトル王子殿下の目線が、俺が繋いでいるレアの手まで下がった。その後 俺を見つめていた。
間違いない。殿下はレアを好きなんだ。
それに殿下がレアの首に付けたネックレスは彼の瞳の色と同じ宝石がふんだんに使われていた。
国王陛下への挨拶で、レアのカーテシーの時だけ手を離し、再び握った。
「フェリックス。レアと仲良くしているようでなによりだ。
レア。今日も愛らしいな」
「ありがとうございます、陛下」
「式はいつにするか決まったか」
「いえ、そのうちにと」
「式を挙げなくても既にレアは私の妻ですから。
そうだよな、レア」
レアの髪を耳に掛けながら返事を促した。
「……はい」
彼女の耳に唇を付けた。
「ひゃあっ」
バランスを崩したレアの腰に手を回して抱き寄せた。
「こんなところでイチャつくな」
「陛下のお導きで結ばれた私達ですから大目に見てください」
「向こうでレアに飲み物を飲ませてやれ」
「失礼します」
ヴィクトル殿下の顔が歪んでいた。
あの澄ました顔を崩せてスッとした。
レアを連れて会場の後部にまわり、給仕から飲み物をもらってレアに渡した。
「…ありがとう」
レアは一気に飲み干すと表情を変えた。
「なにこれ」
「酒だ」
「…水を」
この時はわからなかった。
レアは酒を飲むのが初めてだということを。
成人パーティに王族として出席しているヴィクトル殿下はダンスに誘うことはできない。
ダンスが始まると、態とヴィクトル殿下から一番近い場所で踊った。
出来るだけ身体を引き寄せた。
初めてレアが俺の目を見た。
迂闊にも綺麗だと思ってしまった。
ダンスを終えると両親が近付いた。
「安心したわ。ちゃんと踊れていて」
「ダンスくらいできますよ」
「フェリックス、私達はシャレッド夫妻と話をするから帰りはレア嬢を送ってあげなさい」
「分かりました」
当日もやっぱり現地集合だった。
相変わらず、俺の誕生日にはペアチケットを贈ってくる。
だから俺も花とリボンとハンカチを贈っていた。
控え室でレアを探すが姿がない。
欠席の連絡も受けていない。
とにかくトイレを済ませておこうと廊下に出るとレアの後ろ姿が見えた。彼女の前にはヴィクトル王子殿下が立っていて、彼女の首に手を回していた。
トイレの方向にいるので仕方なく近寄ると、殿下はチラッと俺を見た後 レアの額に唇を付けた。
「良く似合ってる。成人おめでとう」
「ありがとう。私、ヴィクトルの成人祝いに大したものをあげてないのに」
「レアの刺繍入りのハンカチとレアの色の羽ペンは最高に嬉しかった」
「リクエストだったから頑張ったけど下手でしょう?」
「今年の誕生日には枕カバーに刺繍をして欲しい」
「ええ~」
「何より、レアが一緒に過ごしてくれることが嬉しい」
「口が上手いんだから」
「本当だよ」
トイレに入り洗面台で顔を洗った。
刺繍を刺したハンカチ!?
レアの色の羽ペン!?
一緒に過ごす!?
「クソっ!」
これからレアとダンスをしなきゃならないのに、苛立ちでどうにかなりそうだ!
ダンスが終わるまで
ダンスが終わるまで心を無にするんだ!
そう言い聞かせていた。
騒がしくなったので会場入りになったのだろう。
急いで戻りレアを探した。
控え室にはいない。
会場に入るとレアが出入口付近に立っていた。
「行くぞ」
「!!」
レアの手を握り、前列に並んだ。
王族席のヴィクトル王子殿下の目線が、俺が繋いでいるレアの手まで下がった。その後 俺を見つめていた。
間違いない。殿下はレアを好きなんだ。
それに殿下がレアの首に付けたネックレスは彼の瞳の色と同じ宝石がふんだんに使われていた。
国王陛下への挨拶で、レアのカーテシーの時だけ手を離し、再び握った。
「フェリックス。レアと仲良くしているようでなによりだ。
レア。今日も愛らしいな」
「ありがとうございます、陛下」
「式はいつにするか決まったか」
「いえ、そのうちにと」
「式を挙げなくても既にレアは私の妻ですから。
そうだよな、レア」
レアの髪を耳に掛けながら返事を促した。
「……はい」
彼女の耳に唇を付けた。
「ひゃあっ」
バランスを崩したレアの腰に手を回して抱き寄せた。
「こんなところでイチャつくな」
「陛下のお導きで結ばれた私達ですから大目に見てください」
「向こうでレアに飲み物を飲ませてやれ」
「失礼します」
ヴィクトル殿下の顔が歪んでいた。
あの澄ました顔を崩せてスッとした。
レアを連れて会場の後部にまわり、給仕から飲み物をもらってレアに渡した。
「…ありがとう」
レアは一気に飲み干すと表情を変えた。
「なにこれ」
「酒だ」
「…水を」
この時はわからなかった。
レアは酒を飲むのが初めてだということを。
成人パーティに王族として出席しているヴィクトル殿下はダンスに誘うことはできない。
ダンスが始まると、態とヴィクトル殿下から一番近い場所で踊った。
出来るだけ身体を引き寄せた。
初めてレアが俺の目を見た。
迂闊にも綺麗だと思ってしまった。
ダンスを終えると両親が近付いた。
「安心したわ。ちゃんと踊れていて」
「ダンスくらいできますよ」
「フェリックス、私達はシャレッド夫妻と話をするから帰りはレア嬢を送ってあげなさい」
「分かりました」
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