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筋肉をまさぐる
しおりを挟む食堂で食事を受け取り席についた。
「なんかここだけ違くない?」
「王族の席だからな」
「うわ…あっち行こう」
「俺を独りにするつもりか」
「他の席でも食べれるんでしょ?」
「いいから座れ」
座って食べ始めると2人増えた。
「うわ、可愛い。ヴラシス、この子は?」
「知らなくていい」
「私はボルワード公爵家のオスカーだ。よろしくね」
「僕はリズモンド侯爵家のノア。よろしくね」
「…キュアノス子爵家のエリシアと申します」
なんだ。友達いるんじゃない。
「あっち行けよ」
「嫌だよ」
「お邪魔するね」
「クラスは?どこになったの?」
「Aです」
「私達3人もAだよ」
「うちのパーティにおいでよ」
「うちの招待状も送るよ」
「あ、遠慮します。跡を継ぐまで社交は控えるのが家訓でして」
「貴族なのに珍しい家訓だな」
「キュアノス子爵といえば国王陛下の執務補佐室の…」
「あ、そうだよな。そうか…陛下が気を利かせて君とヴラシスが友人になるよう手を回したんだね?」
「ご名答です」
ヴラシスが私のお皿からデザートを取り上げて、ポケットから包みを出した。
「ヴラシス、さすがにエリシアちゃんのデザートを奪うのは駄目だぞ」
「いいんだよ。エリシアは舌が肥えていて、ここで出るデザートじゃ甘すぎて口に合わない。代わりのデザートを作らせて持ってきたからいいんだ」
包みを開けるとドライフルーツとナッツ入りのブラウニーだった。
「ありがとう、ヴラシス」
「…ヴラシス、マメだったんだな」
「学園に通えって無理を言ったのは俺だからな」
「え?エリシアちゃん通いたくなかったの?」
「面倒で」
「…それは…思い切った考えだったんだね」
「俺、卒業せずに3年間通うから」
「「は!?」」
「俺が卒業したらエリシアが独りになるからな」
「「……」」
「同じクラスは止めてね」
「何でだよ」
「煩いもん」
「授業中は静かにしているぞ」
「存在が煩いの」
「おまえなぁ」
「「……」」
屋敷に帰ってしばらくすると、授業を終えた王子坊ちゃんが乱入してきた。
「エリシア」
「何でこっちに来たの?王宮に帰りなよ」
「あの男は誰だ。何だ友達って」
「オデニクス伯爵家のアレックスくん。おんぶしてもらっていい人だから友達になった」
「おんぶ!?」
「先生に学園内を案内されているうちに体力の限界で歩けなくなっておんぶしてもらった」
「……」
「学園に通ったら友達くらい何人もできるよ。私の性格なら友達になるのは男の子だって分かりきってるじゃない。ヴラシスと友達やってるくらいなんだから令嬢は無理だよ」
「……」
反論の余地がないほど納得しつつも、なぜか不満げだ。
「やっぱり留年を選ぶべきだったな」
「え?」
「何かあったらすぐに言えよ」
「何かって?」
「虐められたり」
「……」
「俺が守ってやる」
「要らない。令嬢が絡まれるのは異性絡みよ。特に王子とその友人の高位貴族と仲良くしたら標的になりそう。一番は関わらないでくれることよ」
「…それは嫌だ」
「はぁ」
「父上に言って1年のクラスに行くか」
でも20人しか…
「21人目のクラスメイト?」
「いや。1人Bクラスに落ちるな」
「こ、来なくていいから」
「ちゃんと通って 困ったり虐められたら俺に言うんだぞ」
「……」
「エリシア? 1人落とすぞ」
「分かった!」
「いい子だな」
「離れて!」
「抵抗するだけ無駄だから大人しくしていろ」
隣に座った王子坊ちゃんは私の肩に腕を回すと自分の方に引き寄せた。
「むうっ」
「悔しそうな顔をするな」
出会った頃とは違ってかなり力の差がついてしまった。
ん?
「なっ!エリシア!?どこ触ってるんだよ」
王子坊ちゃんの体を揉み回した。腿、腰、脇腹、腕、肩…
「乳」
「おまっ!」
「なんかすごい…こんなに筋肉ついてるなんて」
「あのな。騎士団長の息子とかを押し除けて剣術で1位になるには、とんでもない努力をしなくちゃいけなかったんだぞ。体もこうなって当然だ。それでも剣術は努力だけではどうにもならない」
「うん」
「………まだ触るのか?」
「うん。ゼノン卿を返してくれたら止める」
「思う存分触れ」
ママが通りかかって悲鳴を上げるまでサワサワモミモミし続けた。
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