【完結】執着系王子のご執心は回避できませんか?

ユユ

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アメデオの婚約者

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【 ベルデマレの王太子アメデオの視点 】

正直、せめてもっと歳の近い娘が良かった。
15歳のときに隣国オヴェルに連れて行かれ、“婚約者”として紹介されたのは幼い王女アイリスだった。王子たる者、政略結婚など当たり前だし好きでもない女を複数人娶ることもあることは承知していた。だが子ども過ぎる。

それを父王に言うと呆れられた。

『男は孫ほど歳の離れた娘を娶ることもある。その程度の歳の差が何だ。王女が嫁ぐ頃にはおまえはいい大人になっていて妻子を持つにはちょうどいい歳になっている。その間に少し楽しんでいればよい。それでこそ初夜も失敗せずに済む』

『わかりました』

その意味はすぐにわかった。
国に帰り座学だけだった閨教育の実践があった。10以上歳上の女が閨に上がったが失敗した。いざとなると萎えてしまった。
次に4歳上の女が閨に上がった。済ませるには済ませたが情けないほど早かった。
妻との初夜が初めてだったらとんでもないことになっていたかもしれない。相手が不満を示したり哀れんだりすれば、私は自信を失くして閨から遠ざかるかもしれない。そうなれば子作りに支障が出るかもしれない。
実践に使った女達は経験者で私に成功させるためにその経験を活かして導いてくれたが、妻との初夜はそうはいかない。未経験の女であることは絶対なのだから、男に裸を曝け出すのも痛みを堪えて男を受け入れるのも当然初めてだ。そんな妻を宥めリードして事を済ませて労うというところまで閨事という仕事になる。貴族の令嬢ならそこまで気遣う事はないが、隣国の王女となれば話は違う。結婚は外交でもあるのだ。

憂鬱だった。だからそれなりに独身の間は遊ぼうと思った。

去年、卒業した婚約者が私の誕生日を祝いに来てくれた。あの日以来、手紙か贈り物でしか交流してこなかった王女がすっかり成長していた。私が関係を持ってきた令嬢達と変わらない身体をしていた。
潤った唇が揺れる白い膨らみが私を刺激する。頬を染める王女は可愛かった。大人になったのなら妻になるアイリスを抱いて何が悪いなどと一瞬思ったが、王女相手にそれはできない。式を挙げてからだと理性的に振る舞ったつもりだ。
だけど私の周りに令嬢達が群がり、王女は身を引くように私から離れた。今はまだ妻ではない他国の王女だからそれも仕方ないと思った。

それから半年以上経って、嫁入りのために移住したアイリスはどこか雰囲気を変えていた。

『あの、少し気になるご報告がございます』

アイリスに付けた侍女の報告を耳にしてアイリスの部屋へ向かい、ドアを開けてクローゼットを見た。
報告よりも卑猥な物が入っていた。

『何だこれは』

『し、下着です』

『こんな端切れで大事な部分を隠せるとでも?』

『か、隠せます!』

『誰に身体を許した?』

『はい?』

『これを着ていかがわしく淫らに男を誘惑していたのか?』

『ち、違います!』

『こんなのが下着?こんなのを身に付けている女は一度も

『…日頃アメデオ様がお相手をするご令嬢達の下着と違っていて申し訳ありません。ですがこれは未来の義妹がデザインして作ってくれた結婚の前祝いなのです。未使用なのが分かりませんか?』

『アイリス…』

『出て行ってください。私はまだオヴェル王国の王女アイリスなのです。他国の王女が使っている客室にノックも許しもなく勝手に入らないでください』

『私は、』

『今すぐ出て行かなければ私が出て行きます』

『わかった』

失態をおかした。言葉選びを間違えた。普通の身綺麗な独身の男なら女の下着などあまり分からないのが普通だ。なのに複数人の女の下着を見てきたと認めた。まあ、歳の差があるし私も男だし他の女と関係を持っていても不思議なことではない。だが明らかにアイリスはショックを受けて傷付いた顔をしていた。そして意外にも気が強かった。あの時の少女はもう居らず、身体だけではなく中身も大人になっただった。


部屋を出てシュナー外務室長を呼び付けた。

『アイリスの未来の義妹とは誰かわかるか?』

『オヴェル内でしたらヴラシス王子でしょう。王子には婚約者はおりませんが執着する令嬢がおります。オヴェル王の執務室に所属する補佐の一人がキュアノス子爵で、その令嬢だと思われます』

『子爵家の娘が?』

『オヴェル王自ら幼い王子の遊び相手に選び頼み込んだようです。……』

室長が思い出したように笑った。

『何がおかしい』

『遊び相手になる代わりに“王子御免状”を発行させたらしいのです』

『王子御免状!?』

『不敬罪に問わないというオヴェル王直筆の約束状です。密偵が言うには非常に自由な発想の持ち主で賢い子だったようです。“ヴラシス御免状”ではなく“王子御免状”にしたのが証拠だと。それ故に第一王子へも第二王子へも適用されているようです。当時6歳の娘がですよ?』

『婚約していないのか』

『普通は子爵家の令嬢は王子と婚約でかませんからね。ですがすっかり王や王妃を味方にして、ヴラシス王子の婚約者として扱うことが暗黙の了解となっています』

『特例として許されたのに暗黙の了解?』

『王子の片想いです』

『その娘を招待したい』

『かしこまりました』

アイリスが本当のことを言っているのかどうか直々に確かめようと招くことにした。








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