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兄弟の絆
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【 ローランドの視点 】
調査官を送って、閨係の虚偽申請が確定したとき、私は陛下の元へ向かった。
「珍しいな。改まって相談事なんて」
「陛下。この報告書をご覧ください」
陛下は報告書を読み終わると溜息を吐いた。
「つまり、カインの閨係は後妻と異母妹の策略で閨係になってしまったのだな?」
「はい。そうなります」
「そのことでローランドが動いているのか」
「実は、閨係のアリサ嬢は、閨係になる前からカインの想い人だったようで、カインは離したくないと強く希望しています。そして、そのまま正妃にしたいと」
「子爵家の娘だろう」
「シルビア様の伝手を使って養女に出すか、彼女の叔父のブルイヤール伯爵に頼むか」
「ヴィオレット嬢はどうするのだ」
「彼女は私と母が選んだ令嬢です。解消は可能です」
「王妃が騒ぐぞ」
「カインの希望は、アリサ嬢を唯一の妻にすることと、王位継承の辞退だそうです」
「ローランドに有益な話だったか」
「いえ。カインには継承権は維持しろと言いました。
カインから相談を受けたのは今回が初めてだったのです。もしかしたら、カインの方が次期国王に相応しいのではと思う時もありました。そのカインが頼ってきたと思ったら、可愛く思えてしまったのです。
嬉しいものですね。弟から頼られるのは」
「そうか。ならばその件はローランドに任せよう」
「ありがとうございます」
「最後は立ち合わせてもらうがな」
「はい、陛下」
陛下は味方に付けた。後はブルイヤール伯爵を動かそう。
動いてくれなければシルビア様を頼ろう。
その前にアリサ嬢の気持ちを聞かないとならない。
カインが学園に行っている間にアリサを後宮から呼び出した。
侍女長が付き添っているが、緊張しているのが分かる。
「アリサ嬢。確認をしたいだけだ。怖いことはない。
私はカインの兄で第一王子のローランドだ。
アリサ嬢は望んで閨係になったのではないね?」
「…はい」
「カインの閨係になって辛いことはあるか」
「ございません」
「この場では何でも言っていいんだぞ」
「申し訳ないほど優しくしてくださいます……寧ろカイン殿下の方が尽くしてくださいます」
「アリサ嬢は閨係にさせられてどうするつもりだった?」
「務め上げて、恩給をいただいて一人で生きていこうと思っておりました」
「子爵家には戻らないということだね?」
「義母と異母妹がおりますし、兄には私は重荷です。子爵家とは縁を切って一人で生きていくことは最善だと思います」
「妾にもなれるよ?」
「望みません」
「妃は?」
「私ではカイン様をお支えする力はございません」
「そういうのを全部忘れて、カインという個人で見てみてくれ。君にとってカインは期間が過ぎれば離れたい存在か?」
「カイン様ほど素敵な男性はおりません
ですが、私は望んではいけない身分なのです。
あ、ローランド様も陛下も素敵です」
「ハハッ、いいよ。そんなことを言わなくて。
カインから睨まれるから寧ろ言わないでくれ」
「かしこまりました」
「カインが君の敵討ちをしようと頑張っているんだ。終わったら、縛られずに気持ちだけ伝えてやってくれないか」
「敵討ちですか?」
「すぐにその時が来るよ」
調査官を送って、閨係の虚偽申請が確定したとき、私は陛下の元へ向かった。
「珍しいな。改まって相談事なんて」
「陛下。この報告書をご覧ください」
陛下は報告書を読み終わると溜息を吐いた。
「つまり、カインの閨係は後妻と異母妹の策略で閨係になってしまったのだな?」
「はい。そうなります」
「そのことでローランドが動いているのか」
「実は、閨係のアリサ嬢は、閨係になる前からカインの想い人だったようで、カインは離したくないと強く希望しています。そして、そのまま正妃にしたいと」
「子爵家の娘だろう」
「シルビア様の伝手を使って養女に出すか、彼女の叔父のブルイヤール伯爵に頼むか」
「ヴィオレット嬢はどうするのだ」
「彼女は私と母が選んだ令嬢です。解消は可能です」
「王妃が騒ぐぞ」
「カインの希望は、アリサ嬢を唯一の妻にすることと、王位継承の辞退だそうです」
「ローランドに有益な話だったか」
「いえ。カインには継承権は維持しろと言いました。
カインから相談を受けたのは今回が初めてだったのです。もしかしたら、カインの方が次期国王に相応しいのではと思う時もありました。そのカインが頼ってきたと思ったら、可愛く思えてしまったのです。
嬉しいものですね。弟から頼られるのは」
「そうか。ならばその件はローランドに任せよう」
「ありがとうございます」
「最後は立ち合わせてもらうがな」
「はい、陛下」
陛下は味方に付けた。後はブルイヤール伯爵を動かそう。
動いてくれなければシルビア様を頼ろう。
その前にアリサ嬢の気持ちを聞かないとならない。
カインが学園に行っている間にアリサを後宮から呼び出した。
侍女長が付き添っているが、緊張しているのが分かる。
「アリサ嬢。確認をしたいだけだ。怖いことはない。
私はカインの兄で第一王子のローランドだ。
アリサ嬢は望んで閨係になったのではないね?」
「…はい」
「カインの閨係になって辛いことはあるか」
「ございません」
「この場では何でも言っていいんだぞ」
「申し訳ないほど優しくしてくださいます……寧ろカイン殿下の方が尽くしてくださいます」
「アリサ嬢は閨係にさせられてどうするつもりだった?」
「務め上げて、恩給をいただいて一人で生きていこうと思っておりました」
「子爵家には戻らないということだね?」
「義母と異母妹がおりますし、兄には私は重荷です。子爵家とは縁を切って一人で生きていくことは最善だと思います」
「妾にもなれるよ?」
「望みません」
「妃は?」
「私ではカイン様をお支えする力はございません」
「そういうのを全部忘れて、カインという個人で見てみてくれ。君にとってカインは期間が過ぎれば離れたい存在か?」
「カイン様ほど素敵な男性はおりません
ですが、私は望んではいけない身分なのです。
あ、ローランド様も陛下も素敵です」
「ハハッ、いいよ。そんなことを言わなくて。
カインから睨まれるから寧ろ言わないでくれ」
「かしこまりました」
「カインが君の敵討ちをしようと頑張っているんだ。終わったら、縛られずに気持ちだけ伝えてやってくれないか」
「敵討ちですか?」
「すぐにその時が来るよ」
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