【完結】閨係の掟

ユユ

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その後

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【 カインの視点 】



婚姻の儀の夜、ヴィオレットに襲撃されたとき、解告室で何を話そうとしたのか聞いた。

アリサは困った顔をして話してくれた。

「夢に出てくる男の子を好きになったことがあるのです。そのことについて話そうかと」

アリサの表情で分かった。
実在する男だと。

学園へは通っていない。

親戚か、使用人か……

焼け付くような強いモヤモヤが胸を覆う。

その夜は勃たなくなるまでアリサを抱いた。



眠るアリサを見つめていた。

海音かいと

今 何て!? 俺の名を!?

アリサの寝言はハッキリと耳に届いた。


夢の話じゃなくて前世の俺の話をしていたのか…
前世と言っても信じてもらえないと思ったのだろう。

ありさが此処に居る。

歓喜が溢れたが、その話に触れるのは止めておくことにした。

今の関係に満足しているし、昔のことがどう影響するか分からないから。


あの選抜の日、間違いじゃなかったんだ。





「なあ、カイン。アリサちゃんは息苦しいとか言っていないか?」

「どういう意味ですか?兄上」

「“閨係の掟” から “夫婦の掟” に変えて。
嫌だと言えなくて後悔してるかもしれないだろう」

「大丈夫ですよ」

「こんなに束縛の強い男だとは思わなかったよ」

「愛が深いと言ってください」

兄上に子が二人産まれて、一人は男児だったので王太子となった。

王妃も俺が継承の意思がないとハッキリ示したこと、そして治療と、アリサとの交流で心の病が改善した。

“確かにこの子は王妃は無理ね”

失礼な気もするが、王妃は苦笑いをしながらアリサを見つめていた。

うっかり、骨付き肉を手掴みしたのだ。

は、前世のフライドチキンを思い出したのだろう。

それを見て、ローランド兄上の子も真似た。


ブルイヤール家の養女になったアリサと俺との婚姻で、王妃が荒れると思っていた。

兄上が “アリサちゃんには無理です” と言って、会わせてみると言い出した。

俺も同席したが、ソレは直ぐに現れた。

ア「ヨイショ」

全「……」

婚姻して安心したのか所々でが出てしまう。


パンを千切らず かぶり付いたり、大欠伸をしたり。

「へっぶしっ」

オヤジみたいなクシャミをしたり。

いつもではないが、たまーに出る。


王妃は最初驚いて言葉をなくしたが、嫌そうでは無かったのが不思議だ。

下品だと怒ると思っていた。

寧ろ注意をするのは俺の母上だ。

それを王妃が庇う。

「まあ、よろしいではありませんか。
毛並みの違う子がいると面白くていいわ」

これには母上も兄上も王太子妃も使用人達も陛下も驚いた。

アリサは積極的に王妃の元へ行き遊んでもらって帰ってくるようになった。




妊娠して、悪阻が重く、アリサが泣き出した。

「オエッ こんなの無理~」

それを耳にした王妃が宮廷医を叱りつける。

「何とかしなさい!可哀想じゃないの!」

「できる限りのことをしていますので」

「泣いてるじゃないの!」

「ですが、」

「何とかしなさい!」




耐えに耐えて産まれたのは女の子だった。

抱っこしているのは王妃だ。

「アリサにそっくり。良かったわ」

どういう意味ですかね?王妃殿下。

母上は苦笑い。母上とアリサと相談して王妃に名付けて貰うことにした。

「いくつか考えるから選んでちょうだい」




そして、

「アンジェリーヌっ、お祖母様ですよ」

「あー」

「アンジェリーヌっ、ほら、お人形さんよ」

「うー」

いわゆる、目の中に入れても痛くない状態だ。

王太子妃の気分を害さないかと心配したが、王妃の病状の改善に役立っているからと歓迎してくれている。

自分の夫の母が精神を病んでいてはよろしくないからだろう。




王妃が抱き癖を付けた。

「ちょっと、カイン。交代なさい」

「王妃殿下が抱き癖を付けたのですから頑張って抱っこしてください」

「そ、そうだけど、夜中に呼ばなくても…」

「王妃殿下でないと夜は泣き止まないので」

「……」

アリサに交代を言い出さないところが面白い。
半泣きで抱っこして城内を歩いてくれた。




アンジェリーヌの初めての茶会に王妃は柱の影から目を光らせる。

ドレスがはみ出ていて全く隠れることができていない。

「あの人誰?」

「見ちゃダメ!」

出席した親子はこんなやりとりをする。

アリサが耳打ちをした。

「(家政婦が派遣先のドタバタを覗き見るシーンが売りの小説があるのだけど、そっくり)」

「(絶対言うなよ)」

それ、ドラマだろう。
王妃を家政婦扱いしちゃ駄目だからな。




アリサは乳母任せにしない。だからアリサとの二人きりの時間が激減した。

しかし救世主王妃がアンジェリーヌの面倒を見てくれるおかげで、アリサの気が楽になるし、イチャつける。

母上は俺に呆れている。

「こんな風に育てた覚えがないのに」

「アリサにだけですよ」




アリサは母親に似ている。アンジェリーヌも似ている。

つまり、アンジェリーヌやアリサを可愛がる王妃を見て ブルイヤール伯爵は、大好きだった亡くなった姉を可愛がってくれている気分になったようだ。

ユビス伯爵家の事業支援を申し出てくれた。

王妃は、“見返りが欲しくてアリサとアンジェリーヌを可愛がっているのではありません” と拒否したが、俺が説得した。

「アンジェリーヌの為だと思ってください。
お祖母様の実家が困っていたらアンジェリーヌは悲しみます」

「…よろしくお願いします」



こうして王家は安定した。
陛下からも感謝された。

「王妃にあんな面があったとは」

「王妃殿下にも周囲の知らない重圧があったのでしょう」

「助かった。まさか治るとは思っていなかったし、こんなに和やかになると思わなかった。感謝する」

「私も我儘を通させてもらいました。感謝しております」




そして今夜もアリサを愛でる。

「アリサ」

「もうムリですっ」

「身体は喜んでいるのに?」

「あっ」

「アリサ、愛してる」















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