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継母の失脚
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神殿の敷地内にある罪人を裁く場所に来ている。
聖なる泉と呼ばれる場所だ。
他にも王族や神に仕える者達がこの泉に入り、神の祝福を受けるために使うこともある。
あれからサージの家とジャミラの部屋を捜索すると逢瀬の日程を決める手紙が見つかったり、侍女の部屋からはジャミラが使うための高価な避妊薬が見つかった。
ジャミラから宝石を渡され、換金して手に入れたらしい。王宮の避妊薬は、王族が口にする物なので宮廷医の管理になっていた。
王との閨事の翌日ならまだ効果は残っているが、そんな日に都合よく私が出かけるわけもなく。だから別途入手していた。
王の子と偽っても、泉に親子で入水し、血縁でない者同士だと 何故か泉の水が濁って見える。
薄い血縁でも少し濁る。だから必ず貴族はお布施をしてこの泉で親子鑑定をする。王族は義務だ。
ジャミラは手枷足枷をつけられて泉の前に連れてこられた。神官が外すとジャミラは手首を摩った。
「罪人ジャミラ。姦通罪に関して真実を述べなさい」
「あの日以外に関係はありません!」
天秤とダチョウの羽をモチーフにした冠を身に付ける神殿で神罰を担当する部門のナンバー2の言葉に ジャミラは否定で返した。
「証拠も証言も揃っているのに?」
「ね、捏造です!」
「では、真実の実を食べて証明なされよ」
「っ!!」
泉の辺りに黒い実を付ける樹がある。その実は毒を持つ実と持たない実に分かれていて、偽りを述べる者は毒の実を選ぶと言われている。
「こんなの迷信よ!」
「なんと罰当たりな!」
周囲の神官がジャミラの言葉に語気を強めた。
「ならば私が食べて見せよう」
ナンバー2のファルークは実を摘んで口に入れ、咀嚼し嚥下した。
「さあ、貴女の番です」
「……」
「では、泉に浸かり神託を仰ぎますか?」
泉の近くに生える蔦で手足を縛り、泉に沈めるというものだ。無実もしくは神が許すのなら蔦は解けて溺れない、有罪もしくは神が許さないと示した者は沈んで溺死するというものだ。
「ど、どうして…」
「サージは苦痛から逃れたくて自白した。
お前の好みだったからサージを誘ったそうだな。
毎回エリサ様の寝室で交わっていたと懺悔した。
婚約直後から何度もな」
「私は無理矢理、」
「お前が宮殿に来いと日時を指定した文を書いて送っているじゃないか」
「っ!」
「サージの腹部を大きく切り裂いて腑を解放してやった。鳥に突かれ悶絶しているらしい。死期が早まるだろう」
「ど、どうかお慈悲を」
「慈悲をやっているからサージと同じ刑にしていないのが分からないのか?真実の実も入水も、どちらも数分で終わる」
「嫌!嫌よ!」
ファルークが手を挙げると神官達がジャミラの手足を蔦で縛った。
「愛と真実の神よ。この者の言葉が真実か否か、愛への冒涜があったか否か、お示しください」
「嫌!!」
ジャミラは泉に落とされて しばらくもがいた後に沈んでいった。
10分後、引き上げられて死亡が確認された。
「ジャミラを有罪として風葬に処す」
罪人の風葬は、荒地などに遺体を投げ捨て獣の餌にする意味だ。復活の祈りなど捧げることもない。それは生まれ変わりを阻止し魂を消滅させることになる。
ファルークはお父様と私に慰めの言葉をかけると神殿に戻った。
数日後、国王であるお父様は王の座を息子ファテに譲った。
お父様とお母様は3人の子を無事出産。
そして40歳過ぎて4人目を妊娠した。
死産となり、お母様は体調を崩した。
結局3年前に他界した。
その後、お父様に出会いがあった。
ジャミラは身分が低かったが、美しい容姿に妖艶な身体で完璧な女だった。
子を産ませない後妻という条件で身分が低くても国王であるお父様に娶ってもらえた。
愛を囁き合い婚姻したので恋愛婚だとされていたが、時系列から 不貞は婚姻半年後だったことから、ジャミラにとっては単なる玉の輿婚だったということだろう。
若くて逞しく見目の良いサージを愛人にしたくて、サージを私の婚約にして宮殿に来させた。サージはまずいことだと分かってはいたが、ジャミラの誘惑に勝てなかったようだ。
お兄様が新国王になると私を呼び出した。
「エリサ。お前の今後を決める前に真実が知りたい」
あまり関わることの無かったお兄様はお見通しなのか。
「数人の候補からサージ様を推したのはジャミラ様でした。
一番相応しくないというか、彼は他の候補より有益ではありませんでしたし、顔が良過ぎて私と釣り合わないと感じていました。
ですが、お父様も賛成なさったので従うことにしました。
婚約してしばらくするとサージ様が私に会いに来ていたと、外出から戻った私に報告がありました。
それは私付きのメイドや侍女からではなく、別の者から知らされました。
約束もしていないのに何故と思いましたが、その時は放っておきました。
それがまた起きたのです。
専属のメイド達に聞くと、知らなかったと。
ですから応対した誰かが、私は不在だと教えてくれたのだと思いました」
お兄様は説明する私の目をじっと見たまま静かに話を聞いていた。
聖なる泉と呼ばれる場所だ。
他にも王族や神に仕える者達がこの泉に入り、神の祝福を受けるために使うこともある。
あれからサージの家とジャミラの部屋を捜索すると逢瀬の日程を決める手紙が見つかったり、侍女の部屋からはジャミラが使うための高価な避妊薬が見つかった。
ジャミラから宝石を渡され、換金して手に入れたらしい。王宮の避妊薬は、王族が口にする物なので宮廷医の管理になっていた。
王との閨事の翌日ならまだ効果は残っているが、そんな日に都合よく私が出かけるわけもなく。だから別途入手していた。
王の子と偽っても、泉に親子で入水し、血縁でない者同士だと 何故か泉の水が濁って見える。
薄い血縁でも少し濁る。だから必ず貴族はお布施をしてこの泉で親子鑑定をする。王族は義務だ。
ジャミラは手枷足枷をつけられて泉の前に連れてこられた。神官が外すとジャミラは手首を摩った。
「罪人ジャミラ。姦通罪に関して真実を述べなさい」
「あの日以外に関係はありません!」
天秤とダチョウの羽をモチーフにした冠を身に付ける神殿で神罰を担当する部門のナンバー2の言葉に ジャミラは否定で返した。
「証拠も証言も揃っているのに?」
「ね、捏造です!」
「では、真実の実を食べて証明なされよ」
「っ!!」
泉の辺りに黒い実を付ける樹がある。その実は毒を持つ実と持たない実に分かれていて、偽りを述べる者は毒の実を選ぶと言われている。
「こんなの迷信よ!」
「なんと罰当たりな!」
周囲の神官がジャミラの言葉に語気を強めた。
「ならば私が食べて見せよう」
ナンバー2のファルークは実を摘んで口に入れ、咀嚼し嚥下した。
「さあ、貴女の番です」
「……」
「では、泉に浸かり神託を仰ぎますか?」
泉の近くに生える蔦で手足を縛り、泉に沈めるというものだ。無実もしくは神が許すのなら蔦は解けて溺れない、有罪もしくは神が許さないと示した者は沈んで溺死するというものだ。
「ど、どうして…」
「サージは苦痛から逃れたくて自白した。
お前の好みだったからサージを誘ったそうだな。
毎回エリサ様の寝室で交わっていたと懺悔した。
婚約直後から何度もな」
「私は無理矢理、」
「お前が宮殿に来いと日時を指定した文を書いて送っているじゃないか」
「っ!」
「サージの腹部を大きく切り裂いて腑を解放してやった。鳥に突かれ悶絶しているらしい。死期が早まるだろう」
「ど、どうかお慈悲を」
「慈悲をやっているからサージと同じ刑にしていないのが分からないのか?真実の実も入水も、どちらも数分で終わる」
「嫌!嫌よ!」
ファルークが手を挙げると神官達がジャミラの手足を蔦で縛った。
「愛と真実の神よ。この者の言葉が真実か否か、愛への冒涜があったか否か、お示しください」
「嫌!!」
ジャミラは泉に落とされて しばらくもがいた後に沈んでいった。
10分後、引き上げられて死亡が確認された。
「ジャミラを有罪として風葬に処す」
罪人の風葬は、荒地などに遺体を投げ捨て獣の餌にする意味だ。復活の祈りなど捧げることもない。それは生まれ変わりを阻止し魂を消滅させることになる。
ファルークはお父様と私に慰めの言葉をかけると神殿に戻った。
数日後、国王であるお父様は王の座を息子ファテに譲った。
お父様とお母様は3人の子を無事出産。
そして40歳過ぎて4人目を妊娠した。
死産となり、お母様は体調を崩した。
結局3年前に他界した。
その後、お父様に出会いがあった。
ジャミラは身分が低かったが、美しい容姿に妖艶な身体で完璧な女だった。
子を産ませない後妻という条件で身分が低くても国王であるお父様に娶ってもらえた。
愛を囁き合い婚姻したので恋愛婚だとされていたが、時系列から 不貞は婚姻半年後だったことから、ジャミラにとっては単なる玉の輿婚だったということだろう。
若くて逞しく見目の良いサージを愛人にしたくて、サージを私の婚約にして宮殿に来させた。サージはまずいことだと分かってはいたが、ジャミラの誘惑に勝てなかったようだ。
お兄様が新国王になると私を呼び出した。
「エリサ。お前の今後を決める前に真実が知りたい」
あまり関わることの無かったお兄様はお見通しなのか。
「数人の候補からサージ様を推したのはジャミラ様でした。
一番相応しくないというか、彼は他の候補より有益ではありませんでしたし、顔が良過ぎて私と釣り合わないと感じていました。
ですが、お父様も賛成なさったので従うことにしました。
婚約してしばらくするとサージ様が私に会いに来ていたと、外出から戻った私に報告がありました。
それは私付きのメイドや侍女からではなく、別の者から知らされました。
約束もしていないのに何故と思いましたが、その時は放っておきました。
それがまた起きたのです。
専属のメイド達に聞くと、知らなかったと。
ですから応対した誰かが、私は不在だと教えてくれたのだと思いました」
お兄様は説明する私の目をじっと見たまま静かに話を聞いていた。
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