【完結】目覚めたら、疎まれ第三夫人として初夜を拒否されていました

ユユ

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埋まらぬ溝

【 アーサーの視点 】

弟を連れて内政干渉をしている国に来ている。
入国時からこの国の地図を元に、どう攻めるべきか説明をした。  

俺流のやり方を教えたら顔が強張った。

他に方法があるかもしれないが、交渉の余地を示さない相手だと思えば若造王子が来ても舐められることは減る。非道無慈悲だと知れ渡れば 最初から無条件降伏を選ぶ国もでてくる。戦ってみなければ分からないと思わせたらベネット軍も無傷では済まない。俺は最初から戦意を喪失させるために見せしめを作っているのだ。

理解はしたようだがそれをできるかどうかは弟次第だ。

強い信念と意志で進めば良いが、躊躇いや弱さを見せれば兵士達の士気は下がるし舐められる。
事前活動なんかじゃない。戦争という殺し合いなのだ。


久しぶりに訪れた国境の領主は我等を歓迎して屋敷に部屋を用意した。
そうなれば訓練がてらに領内の賊退治を手伝う。どこにも旅人や商人狙いの賊はいるものだ。

そして夜は領主の娘が身体を差し出しに来る。

「アーサー殿下をお慰めしたく参りました」

いつもならベッドに押し倒すのだが

「弟の部屋に行け」

そう言って扉を閉めた。


人の温もりのないベッドに横になって瞼を閉じる。

遠征前にカレンを抱いた。
カレンの投げやりな言葉にカッとなってしまった。

俺達はどうしてこうなってしまったのか。
ミリアに指摘された通りだ。焦り過ぎて事を急いでしまった。
ちゃんと花嫁として式をして指輪も用意して、身体を繋げれば良かった。だがあの日からカレンを抱きたくて仕方なかったし、カレンも俺が好きなら抱かれたいだろうと思っていた。

カレンは最初から最後まで俺の目を見なかった。キスをしても愛を囁いても愛撫をしても顔を逸らす。

破瓜の瞬間でさえも。

カレンの身体にはクリームによって痛みを上塗りするように快楽を与えた。痛いという表情は一瞬で すぐに色のある吐息が漏れた。馴染ませるために待っている間も、僅かな脈動に身体をビクつかせ狭いナカをより狭くする。

挿送を始めると枕を掴み脚はブルブルと痙攣が止まらない。どんどん愛液は溢れ卑猥な音が部屋を支配しシーツのシミは広がる一方だ。
カレンは早々に達して唇を噛み締め 強い快楽に耐えながら顔を逸らし俺を見ない。
紅潮し溢れる涙を指で拭うが、カレンの瞳は俺を最後まで映すことはなかった。

抵抗を諦めた女を犯しているのと変わらなかった。

破瓜の血を見て一度で終わらせ、抱きしめたが背を向けられた。

胸が抉られるように痛い。
素肌を付けていても体温を感じても繋がっていても鼓動を感じても締め付けられても注いでもカレンが遠い。

朝目覚めると腕の中どころか部屋にいなかった。ベッドを触れても冷たい。

「クソ!なにやってるんだ俺は!」

俺達は溝が深まっただけだった。


数時間後、ミリアが報告に来た。

「カレン様がお倒れになりました」

ガタッ

俺の抱き方が悪かったのかもしれないと不安が襲う。カレンの元へ行こうとする俺を制し最後まで聞くようにと言った。

「高熱があり、現在国王陛下の後宮内のカレンの母グレース妃殿下のお部屋で治療を受けております。サジテール宮に行きたくないと薄れる意識の中で仰いました。昨夜、朝までバルコニーに出ていらっしゃったようで、それに伴うものと精神的なものだろうと 面会謝絶の措置がとられております。グレース妃殿下はカレン様が望まない限り誰にも会わせないと仰っております」

顔を見ないどころか姿も見たくないと?

「そんなに熱が高いのか」

「はい。半昏睡の状態です。バルコニーの件ですが、手摺りの側にテーブルが寄せてありました。バルコニー用の小さなテーブルです。可能性の域ですが踏み台に使ったのかと」

「踏み台?」

「踏み台にして手摺りに立ち、飛び降りようと思われたのではないかと。手すりに立たれた時に壁に手を付いた様で そこだけ少し綺麗になっていました。
逆に毛布が一部汚れていたと。部屋は2階。無駄だと諦めてくださったのではないかと思います。カレン様が2階の部屋を選んでくださって良かったです」

「カレン……」

「4階は正妃様が住まわれておりますので向かうことはないでしょう。今後は3階の全ての部屋は施錠いたします。屋上へ向かう階段は兵士を必ず置いて絶対にカレン様を通さないよう申し伝えます」

もしカレンが部屋選びの時に4階を選んでいたら、今頃飛び降りて死んでいたということか!?

「ミリア……俺はどうしたらいい」


結局カレンに会えぬまま出発することになった。

遠征がこんなに淋しく感じるとは。
 
早く帰りたい。とにかくカレンの生きた姿が見たい。


領主の娘の誘いを断った翌朝、早馬が到着した。
ミリアからの報告の手紙だった。

目を覚ましたこと、エリザベス・デュボアが訪ねてきてカレンが元気になってきたこと、そして……

グシャッ

“カレン様とエリザベス様はカイザー王太子殿下と友情を育み、グロワールへ正式に招待されました。お二人は招待を受け一緒に出発なさいました”

何故カイザーと!!

カイザーと俺は例えるなら陽と陰。
あいつは見た目も華やかで人当たりもいい。
それ故に勘違いする女が後を絶たないという。

離縁とかそういうことは書いていない。つまり俺の妻のままということだ。救いはそれだけ。

エリザベスが同行しているということは、帰って来たくないと思えば帰らないかもしれない。

グロワールは母上の妹が王妃を務める国でカイザーは従兄弟だ。

もしカイザーがカレンに手を付けても戦争は起こせない。しかも間に母上と叔母上の祖国である帝国があり、必ず介入してくる。

俺と今のカレンの状態では遠征は早かったということか。


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