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ずっと一緒に
国賓である自分に絡む侯爵令嬢にカレンは堂々と応対した。
「あなたの発言は私の友人であるカイザーと正式に招待してくださったリアーヌ王妃殿下の顔に泥を塗ったのがわからない?」
令嬢はしっかり反撃されるとは思っておらず言葉が出てこない。
「侯爵家に籍を置いてるからってあなた自身が偉いわけじゃないの。こんな場所で分別のつかない子供のように私は高貴です偉いんですって言っちゃうわけ? 恥ずかしいから止めておきなさい」
「っ! ド、ドレス! 下品なドレスの話です! お連れの女性も卑猥ですわ!」
「思ったより頭が悪いのね。あなたの装い方の方が下品じゃないの。コルセットで偽りのウエストを作りパニエで膨らませるのは くびれを強調して男を引き寄せたいからでしょう?さらに肉を押し上げて胸を作っているじゃない。男を誘う発情期の動物みたいよ?脱いだらガッカリでしょうね。それでも男があなたを相手にするのは手軽だからよ。ガッカリしたけど とりあえず使っておこうってだけ」
「なっ!!」
「いい? エリーの曲線美は本物よ? 一緒にお風呂に入った私が保証するわ。脱いでもあのままよ。
溢れそうに胸を露出する痴女はあなたで、しっかり胸を隠している淑女はエリーじゃない。彼女の美は本物だし、中身も悪意のない素敵な女性なの。私が他国で今一人だからいびっても大丈夫だろうって思ったんでしょう? 態々聞こえるような悪口を言って気分が良くなるの? 性根が腐ってるのを宣伝しちゃってるのがわからないの? ほら周囲の視線を気にしてみたら?」
「っ!」
令嬢は会場から出て行ってしまった。
「ね。小蠅でしょう?」
「……」
そこにまだ若い令嬢が寄ってきた。若いと言ってもカレンもまだ若いので同い歳くらいだろう。
「あの、妃殿下。お声がけをお許しください」
「いいのよ。どうしたの?」
「とても良くお似合いですとお伝えしたくて」
「ありがとう。お名前は?」
「妃殿下にご挨拶を申し上げます。セジー伯爵家の次女クローディアと申します」
「カレンよ。初めまして クローディア様。貴女のドレスも素敵よ」
「私、髪の色が平凡で……パッとしなくて」
「色だけで選ぶ男など排除なさい。いくら貴女が別の色だったとしても そんな男はまた別の色を見かけると涎を垂らして追いかけていってしまうわ。大事なのはツヤと手触りと香りよ。健康なツヤのある髪はそれだけで美しいし、手触りが良ければ殿方は触れていたくなるし、香水などではなく清潔に保たれた頭皮に石鹸の香りは最高よ」
「金髪よりもですか?」
「金髪でもよ。手触りイマイチの臭い頭を香水で誤魔化して男をつかまえても 発情が終われば男は目が覚めるわ。そして夜が明けて思うの。ツヤのない臭い髪の女が綺麗に見えたのは何故だろうって。ツヤツヤで手触りが良くて自然な良い香りがしていたら、抱き寄せて髪に顔を埋めてキスをしたくなるはずよ。貴女のような可愛らしい方なら間違いないわ」
「ありがとうございます。私も妃殿下のようなドレスを作っても構いませんか」
「ええ。もちろんよ。荒れた髪も偽物の曲線美もダメよ。しっかりバランスよく食べて運動をするの」
「運動ですか?」
「そうよ。私は食べる方だから体操したり腹筋運動をしているわ。お腹がブヨブヨになってしまうもの」
「妃殿下が努力なさっているのなら私もしなくては。頑張ります」
「クローディア様を応援しているわ」
そう言って伯爵令嬢の手を握るカレンに男達が寄り始めた。
だが、またもや競歩でやってきたカイザーに手を引かれてダンスを始めた。
「なんか騒ぎを起こしていなかったか?」
「ちょっと令嬢に絡まれたの」
「誰」
「侯爵家としか聞かなかったわ」
「国賓だって言ってるのに」
「世間知らずなのよ」
「この後、誰かと踊るのか」
「良い人がいたらね」
「私も良い人だろう」
「今踊ってるじゃない。可愛いカイザー」
「もっと一緒にいたい」
「ほぼ一緒にいるじゃない。せいぜいお風呂とか着替えとか寝る時以外は一緒よ?」
「足りない……カレンにずっとグロワールにいて欲しい」
「無理だってわかってるでしょう? 離れていても友達よ」
「アーサーと婚姻していなかったら考えてくれた?」
「エリーがいるならね」
「……」
ダンスが終わり、外に向かう人と次のダンスを踊ろうと中に向かう人で混み合っていた。
ベルモンドとカイザーの護衛が二人の元に向かっていた時、カレンのドレスの肩辺りが引っ張られ直ぐに圧迫が無くなった。
「いっ!」
「カレン!」
カイザーはカレンを抱きしめて指示を出した。
「誰も外に出すな!!」
扉は次々と封鎖された。
「カイザー殿下、どうなさった……殿下! 血が!」
「私じゃない、カレンだ!」
カレンの左の鎖骨と脇の間にナイフの傷ができ、その血が2人の衣装を染めていた。
次々と兵士が会場内に入っていく。
「カレン様!」
「マックス! エリーは退路に連れて行け!」
「ですが!」
「行け!!」
マックスは歯を噛み締め、エリーを連れて王族用の退路へ向かった。
キィ……
会場にグロワール兵士以外の者が入ってきた。
帯剣を許された黒髪の端正な顔立ちの男は護衛の騎士を従えて奥へと進む。
「カレン?」
カイザーに抱きしめられるカレンを見て拳を握りしめたが、直ぐに状況を把握し 地の底からわき出てくるような声を出した。
「俺のカレンを襲ったのは誰だ」
「あなたの発言は私の友人であるカイザーと正式に招待してくださったリアーヌ王妃殿下の顔に泥を塗ったのがわからない?」
令嬢はしっかり反撃されるとは思っておらず言葉が出てこない。
「侯爵家に籍を置いてるからってあなた自身が偉いわけじゃないの。こんな場所で分別のつかない子供のように私は高貴です偉いんですって言っちゃうわけ? 恥ずかしいから止めておきなさい」
「っ! ド、ドレス! 下品なドレスの話です! お連れの女性も卑猥ですわ!」
「思ったより頭が悪いのね。あなたの装い方の方が下品じゃないの。コルセットで偽りのウエストを作りパニエで膨らませるのは くびれを強調して男を引き寄せたいからでしょう?さらに肉を押し上げて胸を作っているじゃない。男を誘う発情期の動物みたいよ?脱いだらガッカリでしょうね。それでも男があなたを相手にするのは手軽だからよ。ガッカリしたけど とりあえず使っておこうってだけ」
「なっ!!」
「いい? エリーの曲線美は本物よ? 一緒にお風呂に入った私が保証するわ。脱いでもあのままよ。
溢れそうに胸を露出する痴女はあなたで、しっかり胸を隠している淑女はエリーじゃない。彼女の美は本物だし、中身も悪意のない素敵な女性なの。私が他国で今一人だからいびっても大丈夫だろうって思ったんでしょう? 態々聞こえるような悪口を言って気分が良くなるの? 性根が腐ってるのを宣伝しちゃってるのがわからないの? ほら周囲の視線を気にしてみたら?」
「っ!」
令嬢は会場から出て行ってしまった。
「ね。小蠅でしょう?」
「……」
そこにまだ若い令嬢が寄ってきた。若いと言ってもカレンもまだ若いので同い歳くらいだろう。
「あの、妃殿下。お声がけをお許しください」
「いいのよ。どうしたの?」
「とても良くお似合いですとお伝えしたくて」
「ありがとう。お名前は?」
「妃殿下にご挨拶を申し上げます。セジー伯爵家の次女クローディアと申します」
「カレンよ。初めまして クローディア様。貴女のドレスも素敵よ」
「私、髪の色が平凡で……パッとしなくて」
「色だけで選ぶ男など排除なさい。いくら貴女が別の色だったとしても そんな男はまた別の色を見かけると涎を垂らして追いかけていってしまうわ。大事なのはツヤと手触りと香りよ。健康なツヤのある髪はそれだけで美しいし、手触りが良ければ殿方は触れていたくなるし、香水などではなく清潔に保たれた頭皮に石鹸の香りは最高よ」
「金髪よりもですか?」
「金髪でもよ。手触りイマイチの臭い頭を香水で誤魔化して男をつかまえても 発情が終われば男は目が覚めるわ。そして夜が明けて思うの。ツヤのない臭い髪の女が綺麗に見えたのは何故だろうって。ツヤツヤで手触りが良くて自然な良い香りがしていたら、抱き寄せて髪に顔を埋めてキスをしたくなるはずよ。貴女のような可愛らしい方なら間違いないわ」
「ありがとうございます。私も妃殿下のようなドレスを作っても構いませんか」
「ええ。もちろんよ。荒れた髪も偽物の曲線美もダメよ。しっかりバランスよく食べて運動をするの」
「運動ですか?」
「そうよ。私は食べる方だから体操したり腹筋運動をしているわ。お腹がブヨブヨになってしまうもの」
「妃殿下が努力なさっているのなら私もしなくては。頑張ります」
「クローディア様を応援しているわ」
そう言って伯爵令嬢の手を握るカレンに男達が寄り始めた。
だが、またもや競歩でやってきたカイザーに手を引かれてダンスを始めた。
「なんか騒ぎを起こしていなかったか?」
「ちょっと令嬢に絡まれたの」
「誰」
「侯爵家としか聞かなかったわ」
「国賓だって言ってるのに」
「世間知らずなのよ」
「この後、誰かと踊るのか」
「良い人がいたらね」
「私も良い人だろう」
「今踊ってるじゃない。可愛いカイザー」
「もっと一緒にいたい」
「ほぼ一緒にいるじゃない。せいぜいお風呂とか着替えとか寝る時以外は一緒よ?」
「足りない……カレンにずっとグロワールにいて欲しい」
「無理だってわかってるでしょう? 離れていても友達よ」
「アーサーと婚姻していなかったら考えてくれた?」
「エリーがいるならね」
「……」
ダンスが終わり、外に向かう人と次のダンスを踊ろうと中に向かう人で混み合っていた。
ベルモンドとカイザーの護衛が二人の元に向かっていた時、カレンのドレスの肩辺りが引っ張られ直ぐに圧迫が無くなった。
「いっ!」
「カレン!」
カイザーはカレンを抱きしめて指示を出した。
「誰も外に出すな!!」
扉は次々と封鎖された。
「カイザー殿下、どうなさった……殿下! 血が!」
「私じゃない、カレンだ!」
カレンの左の鎖骨と脇の間にナイフの傷ができ、その血が2人の衣装を染めていた。
次々と兵士が会場内に入っていく。
「カレン様!」
「マックス! エリーは退路に連れて行け!」
「ですが!」
「行け!!」
マックスは歯を噛み締め、エリーを連れて王族用の退路へ向かった。
キィ……
会場にグロワール兵士以外の者が入ってきた。
帯剣を許された黒髪の端正な顔立ちの男は護衛の騎士を従えて奥へと進む。
「カレン?」
カイザーに抱きしめられるカレンを見て拳を握りしめたが、直ぐに状況を把握し 地の底からわき出てくるような声を出した。
「俺のカレンを襲ったのは誰だ」
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