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【レティシア】慰謝料請求
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【 レティシアの視点 】
お父様がソファに座るとアルフレッド様は手紙を出した。さっき私がもらった封筒とよく似ていた。
「子爵、エレノアは何処です」
「他家で暮らしている」
「何処の!」
「何事だね」
「エレノアが慰謝料請求をしてきたのです。額が尋常ではありません!」
お父様は差し出された手紙を見て顔色を変えた。
「異議を唱えると、鼻で笑われました。
“既に挙式を2ヶ月後に控えていたのに、婚約者の妹に恋慕して妊娠させて、跡継ぎの座を奪って21歳の令嬢に今から嫁入り先を探させたのですよね”と。
それにエレノアが子爵家の要だったから額が跳ね上がったというのです。誤解を解かなくては」
「……」
「シア…それは?」
「今さっき届いた手紙です」
「急いで開けるんだ!!」
アルフレッド様は封筒の中身を奪い取るように取り上げて読むと項垂れた。
私宛の手紙とアルフレッド様宛の手紙をお父様の前に置くとまた足をゆすり始めた。
「こ、これは…」
「子爵、エレノアはどこです」
「エレノアはアルザフ家の公子と婚約してアルザフ邸で暮らしている」
「アルザフ!? それでこんなに詳細な調査結果を提出できたわけですね」
「何なのですか、アル様、お父様っ」
「シア、以前のエレノアの婚約者達は勝手に君に恋慕して迷惑だったと言ったな」
「そ、そうですよ」
「だがその通知には五回の婚約解消に対する慰謝料と書いてある」
「え!? 何でっ」
「裁判所の認承印が捺されているということは、既に審査を経て裁かれているという意味らしい。
貴族裁判でもいちいち全部争わせず、非が明らかな場合は略式判決が下されるようだ。
つまり、レティシアがエレノアの歴代の婚約者に何かをして婚約解消へ導いたと認定されたんだ」
「ち、違います!」
「なら10日以内に異議申し立てをして、違うという証拠を提出しなくてはならない。
四人の令息が醜聞を覚悟で証言したんだ、レティシアの都合のいい証言はもらえないだろう。偽証に問われてしまうからな。
第一、今回の婚約解消の理由は不貞だし妊娠という証拠があるだろう」
「……」
「ハッ、私も馬鹿だな。ころっと騙された。
涙ながらに、姉の婚約者が勝手に好きだと言ってきて困っているのに 姉が虐めると縋ってこられて同情してしまった。
五人分の慰謝料…エレノアは何一つ悪くなかったのだな」
「ほ、本当なのです!」
「ならば異議申し立てをしてこい」
「そ、そんな…身重の私にそんなこと…」
「そもそも、婚姻前に事をなすつもりはなかったのに、君が誘ってきたのだろう!避妊薬を飲まなかったのはわざとなんだろう?」
「違う!違います!」
「否定しても事実は事実。いつまでも涙と嘘で世の中を渡れると思うなよ」
「レティシア…」
「お父様っ」
「エレノアの怒りは本物だ。例えケンブル子爵家が没落しようと構わないらしい」
「没落!?」
「この大金を工面しても、おまえのしたことは秘密にはならないだろう。する気があるのなら示談の話し合いを求められたはずだ」
「お、お姉様はきっと落ち着いたら撤回なさいますわ」
「ケンブル子爵。伯爵家は一先ず支払いますが、原因がレティシアにある以上、何割か子爵に請求するでしょう。レティシアとの婚約も破棄になります」
「そんな!お腹にはアル様の子がいるのですよ!?」
「レティシアが継ぐケンブル家と縁繋ぎにはなれないと父上が判断なさった。私もそう思う。
胎の子は好きにしたらいい」
「アル様っ!」
「もう“伯爵令息”と呼んでくれ」
「人でなし!」
「ふざけるなよ。令嬢が跡継ぎになっている家門など多くはない。今更空きがあるわけがないだろう!私の人生はめちゃくちゃだ!」
「酷いっ」
「なあ、何でそんなに実の姉の婚約者を奪うんだ?彼女はおまえに何をしたらこんな仕打ちを受けるんだ?」
「……」
「無いよな。思い返せばエレノアは慎ましくて賢い女だった」
「っ!」
アルフレッド様が帰るとお父様はお母様に説明をした。
「レティシア…あなたがエレノアの婚約者に言い寄っていたの!?」
「違います!」
「証拠が提出されているんだ。もう嘘は止めなさい」
「嘘ではありません!」
「さっき、アルフレッド殿が、おまえが誘ったと言っていただろう!しかも嘘まで吐いて!」
「なんて事なの…エレノアに“仕方ない”などと何度も言いきかせてしまったわ」
「エレノアに謝罪を申し込んでみるが無駄だろう」
「五回目で初めて聞いたエレノアの心の叫びに私達は手を上げて叩いてしまいましたものね」
「レティシアは部屋から出るな」
「お父様!」
「ハンナ、レティシアを部屋から出すな。外鍵を取り付けて閉じ込めてしまえ」
「かしこまりました」
「嫌!嫌よ!」
自室に押し込められた後は どんなにドアを叩いても開けてはもらえなかった。
お父様がソファに座るとアルフレッド様は手紙を出した。さっき私がもらった封筒とよく似ていた。
「子爵、エレノアは何処です」
「他家で暮らしている」
「何処の!」
「何事だね」
「エレノアが慰謝料請求をしてきたのです。額が尋常ではありません!」
お父様は差し出された手紙を見て顔色を変えた。
「異議を唱えると、鼻で笑われました。
“既に挙式を2ヶ月後に控えていたのに、婚約者の妹に恋慕して妊娠させて、跡継ぎの座を奪って21歳の令嬢に今から嫁入り先を探させたのですよね”と。
それにエレノアが子爵家の要だったから額が跳ね上がったというのです。誤解を解かなくては」
「……」
「シア…それは?」
「今さっき届いた手紙です」
「急いで開けるんだ!!」
アルフレッド様は封筒の中身を奪い取るように取り上げて読むと項垂れた。
私宛の手紙とアルフレッド様宛の手紙をお父様の前に置くとまた足をゆすり始めた。
「こ、これは…」
「子爵、エレノアはどこです」
「エレノアはアルザフ家の公子と婚約してアルザフ邸で暮らしている」
「アルザフ!? それでこんなに詳細な調査結果を提出できたわけですね」
「何なのですか、アル様、お父様っ」
「シア、以前のエレノアの婚約者達は勝手に君に恋慕して迷惑だったと言ったな」
「そ、そうですよ」
「だがその通知には五回の婚約解消に対する慰謝料と書いてある」
「え!? 何でっ」
「裁判所の認承印が捺されているということは、既に審査を経て裁かれているという意味らしい。
貴族裁判でもいちいち全部争わせず、非が明らかな場合は略式判決が下されるようだ。
つまり、レティシアがエレノアの歴代の婚約者に何かをして婚約解消へ導いたと認定されたんだ」
「ち、違います!」
「なら10日以内に異議申し立てをして、違うという証拠を提出しなくてはならない。
四人の令息が醜聞を覚悟で証言したんだ、レティシアの都合のいい証言はもらえないだろう。偽証に問われてしまうからな。
第一、今回の婚約解消の理由は不貞だし妊娠という証拠があるだろう」
「……」
「ハッ、私も馬鹿だな。ころっと騙された。
涙ながらに、姉の婚約者が勝手に好きだと言ってきて困っているのに 姉が虐めると縋ってこられて同情してしまった。
五人分の慰謝料…エレノアは何一つ悪くなかったのだな」
「ほ、本当なのです!」
「ならば異議申し立てをしてこい」
「そ、そんな…身重の私にそんなこと…」
「そもそも、婚姻前に事をなすつもりはなかったのに、君が誘ってきたのだろう!避妊薬を飲まなかったのはわざとなんだろう?」
「違う!違います!」
「否定しても事実は事実。いつまでも涙と嘘で世の中を渡れると思うなよ」
「レティシア…」
「お父様っ」
「エレノアの怒りは本物だ。例えケンブル子爵家が没落しようと構わないらしい」
「没落!?」
「この大金を工面しても、おまえのしたことは秘密にはならないだろう。する気があるのなら示談の話し合いを求められたはずだ」
「お、お姉様はきっと落ち着いたら撤回なさいますわ」
「ケンブル子爵。伯爵家は一先ず支払いますが、原因がレティシアにある以上、何割か子爵に請求するでしょう。レティシアとの婚約も破棄になります」
「そんな!お腹にはアル様の子がいるのですよ!?」
「レティシアが継ぐケンブル家と縁繋ぎにはなれないと父上が判断なさった。私もそう思う。
胎の子は好きにしたらいい」
「アル様っ!」
「もう“伯爵令息”と呼んでくれ」
「人でなし!」
「ふざけるなよ。令嬢が跡継ぎになっている家門など多くはない。今更空きがあるわけがないだろう!私の人生はめちゃくちゃだ!」
「酷いっ」
「なあ、何でそんなに実の姉の婚約者を奪うんだ?彼女はおまえに何をしたらこんな仕打ちを受けるんだ?」
「……」
「無いよな。思い返せばエレノアは慎ましくて賢い女だった」
「っ!」
アルフレッド様が帰るとお父様はお母様に説明をした。
「レティシア…あなたがエレノアの婚約者に言い寄っていたの!?」
「違います!」
「証拠が提出されているんだ。もう嘘は止めなさい」
「嘘ではありません!」
「さっき、アルフレッド殿が、おまえが誘ったと言っていただろう!しかも嘘まで吐いて!」
「なんて事なの…エレノアに“仕方ない”などと何度も言いきかせてしまったわ」
「エレノアに謝罪を申し込んでみるが無駄だろう」
「五回目で初めて聞いたエレノアの心の叫びに私達は手を上げて叩いてしまいましたものね」
「レティシアは部屋から出るな」
「お父様!」
「ハンナ、レティシアを部屋から出すな。外鍵を取り付けて閉じ込めてしまえ」
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自室に押し込められた後は どんなにドアを叩いても開けてはもらえなかった。
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