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最終話
私達は離婚できない夫婦になってしまった。
何故か神殿発行の聖教報に私達のことが載ってしまった。
“愛の力で呪いを解いたバルド侯爵夫妻”
以前の冤罪裁判にも触れていて、バルド侯爵の愛とかなんとか書いてあった。
いつ取材に来たのか、ゴシップ誌のように書いてあった。
“それはもう侯爵様は夫人を溺愛していらっしゃいます。侯爵様はいかに夫人に関わろうかといつも私達に探りを入れさせるのです。いい情報を得たときの侯爵様の俊敏さはすごいです”
“侯爵夫人はあの領地カードやサプライズカードの考案者です。最近流行りの遊具アスレチックも夫人の考案です。子供用から大人用までありますが、最初は大人用と聞いて需要があるかなと思いました。ですが若い男性と兵士からとても人気で、ゴールできる者がすくないところがいいらしいです。それで侯爵様はカッコいいところを見せたくて挑戦したのですけど落ちてしまいました”
“稀に侯爵様の嫉妬が原因で夫人を泣かせてしまうことがあります。そんな時は愛犬ティラミスが夫人を守るのですよ。侯爵様に牙を剥いて唸るんです。侯爵様はティラミスに向かって必死に弁解なさいます。「違う、違うんだ、落ち着け」って。ティラミスの夫人へのあまりの懐き様に「雌を飼えばよかった」とぼやいていたらしいです”
“先日、侯爵様の首に赤っぽい痣みたいなものがあったんです。夫人がキスマークだと指摘をすると「違う、今度は違う、信じてくれ」と必死でした。本当は蚊に刺された痕で夫人もご存知なのですがわざと仰ったのです。夫人が「冗談よ」と微笑むと侯爵様は夫人を抱き上げて寝室に篭られました。半日ぶりに解放された夫人は「冗談も命懸けかも」と産まれたての子鹿のように歩いていました”
……
「ガッツリ情報漏洩じゃない」
専属メイド6人は同じ方向へ顔を背けた。
「シンクロ率100%じゃないの」
“神の祝福を受けた夫婦”
「はぁ」
お陰でイアンはとても機嫌がいい。この記事のせいで自分が浮気でもしない限り私が離婚などと言い出せないだろうことを感じ取っているのだろう。
「そう言うな。彼女達はいつもラヴィアに忠誠を誓って尽くしているじゃないか」
いつものイアンだったら“口の軽い奴はバルドには必要ない”とか何とか言ってクビにするくせに!
「まあ!素晴らしいお考えですわね。補佐や侍従やワイラー卿やレミに 昔のイアン・バルドについて事細かく話してもらわないといけませんわね。
それと当時学園でイアン・バルドとご一緒だった方々に聞けば素晴らしい秘話が聞けるかもしれません。お茶会やパーティに積極的に出席しようかしら」
「……こら、おまえたち。反省しなさい。今日のおやつはクッキー1枚までだぞ」
「反省してます 旦那様」
どこが罰になっているのよ!
結婚から3年になろうとしていた。
「本当に、何ともないのか?」
「うん」
「先生、もう破水して丸一日経つぞ」
「仕方ありませんね、陣痛を促す薬湯を、」
「あ、圧迫感がある…頭?」
それから大騒ぎをしながら出産した。
周囲が騒いでいただけで私は平気だった。
麻痺させる塗り薬を数時間前にイアンに塗ってもらっていた。
陣痛という痛みは元々無かったみたいで、便秘が解消されるときのような感覚だった。
産道を通る痛みは塗り薬が緩和してくれた。
産まれたばかりの赤ちゃんをイアンが乳母に教わりながら抱っこしている。
「っ!……っ!……」
泣いてるし。
ティラミスは覗き込んで匂いを嗅いでいて白玉は見せてくれとピョンピョン跳ねている。
「ありがとう…ラヴィア…」
髪の色は私と一緒だけど後は全てイアンに似た男児だった。
さらに初出産から5年後
「嫁になんかやらないからな~」
瞳の色だけイアンの色を持った私そっくりの女児にメロメロだ。
彼にはなんか二つ名があった気がするけど消し飛んだ。
もう40歳を目前に控えたイアン様はますます身体を鍛え美容に気を配った。
娘に“おじいちゃま”と言われないように。
この世界は40歳で孫がいる人は珍しくはない。
「モテたいからじゃなくて?」
「ラヴィ!!」
余計なことを言った。
イアンは大喜びで私を寝室に連れて行った。
終
【 パトリックのその後 】
隣国の辺境伯に囚われて8年が立った。
エリザベス・ホーセンは63歳でこの世を去った。
突然死だった。
俺は庭園の散歩に出ていて、エリーが苦しんでいて俺を呼んでいると聞いて急いで部屋に戻ったけど、既に息を引き取っていた。
『エリー!エリー!』
彼女の体を揺らし名を呼んだけど起きてはくれなかった。
『飲みすぎたんだろう?だから起きないんだよな?
あれほど酒は控えろと言ったじゃないか』
ずっと彼女の手を握っていた。
何で…何で冷たくなっていくんだよ!
『エリーが寒がっているだろう!暖炉に火を入れろ!毛布を持ってこい!』
そう言ったけど、
『パトリック様。腐敗が進んでしまいますので…』
何だよ 腐敗って!
『エリー 早く起きてくれよ。俺 家出しちゃうぞ』
俺が逃げないように細心の注意を払っていたエリーが嫌がることを言ったのに何の反応もない。
『エリー…』
砦にいたエリーの息子オスカーが来るまで10時間以上経っていた。別宅とはいえそこまでかかるはずがない。
『何でもっと早く来ないんだよ!!
もっと早く来ていたら おまえの声で起きたかもしれないだろう!ずっと待っていたかもしれないだろう!こんなに冷たくなるまで待たせるなんて…何でだよ…もっと早く来れただろう…』
俺が胸ぐらを掴んでもびくともしない。
オスカーはイアン・バルドと歳も近く体格も同じくらいだ。鍛え上げた体に敵うわけはないけど…
『あんた…母上を愛していたんだな』
は?俺が?
『何を言って…』
『すまないな。砦の中にいたんじゃなくて外に出ていたんだ。
母上は…笑ってるな』
『え?』
エリーの顔を見ると穏やかに微笑んでいるように見えた。
『っ!』
何でこんなに涙が止まらないんだ!
『パトリック殿下、メイドに任せよう。
美しく化粧をさせるから離れてくれ』
『っ!!』
『母上は綺麗な顔のあんたが好みなんだから、顔を洗って身なりを整えて母上を喜ばせてくれ』
エリーの部屋の洗面室へ行くと俺の顔は涙と鼻水で大変なことになっていた。
俺…泣いていたのか?
洗って戻ったけど…
『…洗ったか?』
『洗った』
『分かった』
メイドがハンカチを差し出した。
『?』
『お顔を…』
手で頬に触れると濡れていた。
どうやら俺の涙腺も鼻も緩んで、しかもそれが頬を伝っていることが分からないほど皮膚の感覚が馬鹿になってしまっているようだ。
巨漢のババアの性欲を満たすための存在だと思ったのに、事が済めばエリザベスは俺を大事にしてくれた。俺が風邪をひいて熱を出したときは、あの巨体で様子を見に来てくれた。あのときエリザベスが歩けると知った。
欲しい物は買い与えてくれるし、食事にも気を配ってくれた。
俺がキッチンに入って朝食を作ったとき、ついでにエリザベスの分も作ってやったらとても嬉しそうに微笑んだ。
“私のために食事を作ってくれた男はパトリックが初めてだよ。美味しい。天才じゃないか”
もちろん料理人たちは男だ。だから彼女の言う男とは夫や恋人、俺みたいな玩具のことだろう。
嬉しかった。あんなに喜んでくれるのならと頻繁に作った。
この世界に来る前の俺は、休みの日はレシピを検索して挑戦していた。その記憶を頼りに様々な料理を作った。ラーメンモドキにも喜んでいた。
彼女が剣を握って振り回していた頃の話を聞いたり、子供の頃の話を聞いたり。
エリザベスは話し上手だった。
もう、君に何もしてあげられないのか?君の笑顔を見ることはできないのか?
『エリー…声をきかせてくれ』
葬儀が終わった。
もちろん俺の存在は隠されているから葬儀の間は隠れていた。
それ以外は土の中に埋葬されるまで彼女に触れていた。
この別邸が広く感じる。すごく広くて…
『パトリック殿下。このままここに住みたければ住んでかまわないが どうする?』
『エリーはどうしたいかな』
『不幸になることは望んでいないだろうな』
『側にいたいのにエリーのいない部屋に慣れなくて辛い』
『どうしたいか決まるまで好きにしたらいい。住み続けてもいいし、去ってもいい。
ゆっくり決めてくれ』
エリザベスが居なくても日は暮れるし月は昇るし夜は明ける。
今はまだ彼女の気配の残る場所から離れられない。
膝掛けからは彼女の匂いがする。
またどこかの世界に飛ばされないだろうか。
エリーと一緒に。
『エリー』
完結
何故か神殿発行の聖教報に私達のことが載ってしまった。
“愛の力で呪いを解いたバルド侯爵夫妻”
以前の冤罪裁判にも触れていて、バルド侯爵の愛とかなんとか書いてあった。
いつ取材に来たのか、ゴシップ誌のように書いてあった。
“それはもう侯爵様は夫人を溺愛していらっしゃいます。侯爵様はいかに夫人に関わろうかといつも私達に探りを入れさせるのです。いい情報を得たときの侯爵様の俊敏さはすごいです”
“侯爵夫人はあの領地カードやサプライズカードの考案者です。最近流行りの遊具アスレチックも夫人の考案です。子供用から大人用までありますが、最初は大人用と聞いて需要があるかなと思いました。ですが若い男性と兵士からとても人気で、ゴールできる者がすくないところがいいらしいです。それで侯爵様はカッコいいところを見せたくて挑戦したのですけど落ちてしまいました”
“稀に侯爵様の嫉妬が原因で夫人を泣かせてしまうことがあります。そんな時は愛犬ティラミスが夫人を守るのですよ。侯爵様に牙を剥いて唸るんです。侯爵様はティラミスに向かって必死に弁解なさいます。「違う、違うんだ、落ち着け」って。ティラミスの夫人へのあまりの懐き様に「雌を飼えばよかった」とぼやいていたらしいです”
“先日、侯爵様の首に赤っぽい痣みたいなものがあったんです。夫人がキスマークだと指摘をすると「違う、今度は違う、信じてくれ」と必死でした。本当は蚊に刺された痕で夫人もご存知なのですがわざと仰ったのです。夫人が「冗談よ」と微笑むと侯爵様は夫人を抱き上げて寝室に篭られました。半日ぶりに解放された夫人は「冗談も命懸けかも」と産まれたての子鹿のように歩いていました”
……
「ガッツリ情報漏洩じゃない」
専属メイド6人は同じ方向へ顔を背けた。
「シンクロ率100%じゃないの」
“神の祝福を受けた夫婦”
「はぁ」
お陰でイアンはとても機嫌がいい。この記事のせいで自分が浮気でもしない限り私が離婚などと言い出せないだろうことを感じ取っているのだろう。
「そう言うな。彼女達はいつもラヴィアに忠誠を誓って尽くしているじゃないか」
いつものイアンだったら“口の軽い奴はバルドには必要ない”とか何とか言ってクビにするくせに!
「まあ!素晴らしいお考えですわね。補佐や侍従やワイラー卿やレミに 昔のイアン・バルドについて事細かく話してもらわないといけませんわね。
それと当時学園でイアン・バルドとご一緒だった方々に聞けば素晴らしい秘話が聞けるかもしれません。お茶会やパーティに積極的に出席しようかしら」
「……こら、おまえたち。反省しなさい。今日のおやつはクッキー1枚までだぞ」
「反省してます 旦那様」
どこが罰になっているのよ!
結婚から3年になろうとしていた。
「本当に、何ともないのか?」
「うん」
「先生、もう破水して丸一日経つぞ」
「仕方ありませんね、陣痛を促す薬湯を、」
「あ、圧迫感がある…頭?」
それから大騒ぎをしながら出産した。
周囲が騒いでいただけで私は平気だった。
麻痺させる塗り薬を数時間前にイアンに塗ってもらっていた。
陣痛という痛みは元々無かったみたいで、便秘が解消されるときのような感覚だった。
産道を通る痛みは塗り薬が緩和してくれた。
産まれたばかりの赤ちゃんをイアンが乳母に教わりながら抱っこしている。
「っ!……っ!……」
泣いてるし。
ティラミスは覗き込んで匂いを嗅いでいて白玉は見せてくれとピョンピョン跳ねている。
「ありがとう…ラヴィア…」
髪の色は私と一緒だけど後は全てイアンに似た男児だった。
さらに初出産から5年後
「嫁になんかやらないからな~」
瞳の色だけイアンの色を持った私そっくりの女児にメロメロだ。
彼にはなんか二つ名があった気がするけど消し飛んだ。
もう40歳を目前に控えたイアン様はますます身体を鍛え美容に気を配った。
娘に“おじいちゃま”と言われないように。
この世界は40歳で孫がいる人は珍しくはない。
「モテたいからじゃなくて?」
「ラヴィ!!」
余計なことを言った。
イアンは大喜びで私を寝室に連れて行った。
終
【 パトリックのその後 】
隣国の辺境伯に囚われて8年が立った。
エリザベス・ホーセンは63歳でこの世を去った。
突然死だった。
俺は庭園の散歩に出ていて、エリーが苦しんでいて俺を呼んでいると聞いて急いで部屋に戻ったけど、既に息を引き取っていた。
『エリー!エリー!』
彼女の体を揺らし名を呼んだけど起きてはくれなかった。
『飲みすぎたんだろう?だから起きないんだよな?
あれほど酒は控えろと言ったじゃないか』
ずっと彼女の手を握っていた。
何で…何で冷たくなっていくんだよ!
『エリーが寒がっているだろう!暖炉に火を入れろ!毛布を持ってこい!』
そう言ったけど、
『パトリック様。腐敗が進んでしまいますので…』
何だよ 腐敗って!
『エリー 早く起きてくれよ。俺 家出しちゃうぞ』
俺が逃げないように細心の注意を払っていたエリーが嫌がることを言ったのに何の反応もない。
『エリー…』
砦にいたエリーの息子オスカーが来るまで10時間以上経っていた。別宅とはいえそこまでかかるはずがない。
『何でもっと早く来ないんだよ!!
もっと早く来ていたら おまえの声で起きたかもしれないだろう!ずっと待っていたかもしれないだろう!こんなに冷たくなるまで待たせるなんて…何でだよ…もっと早く来れただろう…』
俺が胸ぐらを掴んでもびくともしない。
オスカーはイアン・バルドと歳も近く体格も同じくらいだ。鍛え上げた体に敵うわけはないけど…
『あんた…母上を愛していたんだな』
は?俺が?
『何を言って…』
『すまないな。砦の中にいたんじゃなくて外に出ていたんだ。
母上は…笑ってるな』
『え?』
エリーの顔を見ると穏やかに微笑んでいるように見えた。
『っ!』
何でこんなに涙が止まらないんだ!
『パトリック殿下、メイドに任せよう。
美しく化粧をさせるから離れてくれ』
『っ!!』
『母上は綺麗な顔のあんたが好みなんだから、顔を洗って身なりを整えて母上を喜ばせてくれ』
エリーの部屋の洗面室へ行くと俺の顔は涙と鼻水で大変なことになっていた。
俺…泣いていたのか?
洗って戻ったけど…
『…洗ったか?』
『洗った』
『分かった』
メイドがハンカチを差し出した。
『?』
『お顔を…』
手で頬に触れると濡れていた。
どうやら俺の涙腺も鼻も緩んで、しかもそれが頬を伝っていることが分からないほど皮膚の感覚が馬鹿になってしまっているようだ。
巨漢のババアの性欲を満たすための存在だと思ったのに、事が済めばエリザベスは俺を大事にしてくれた。俺が風邪をひいて熱を出したときは、あの巨体で様子を見に来てくれた。あのときエリザベスが歩けると知った。
欲しい物は買い与えてくれるし、食事にも気を配ってくれた。
俺がキッチンに入って朝食を作ったとき、ついでにエリザベスの分も作ってやったらとても嬉しそうに微笑んだ。
“私のために食事を作ってくれた男はパトリックが初めてだよ。美味しい。天才じゃないか”
もちろん料理人たちは男だ。だから彼女の言う男とは夫や恋人、俺みたいな玩具のことだろう。
嬉しかった。あんなに喜んでくれるのならと頻繁に作った。
この世界に来る前の俺は、休みの日はレシピを検索して挑戦していた。その記憶を頼りに様々な料理を作った。ラーメンモドキにも喜んでいた。
彼女が剣を握って振り回していた頃の話を聞いたり、子供の頃の話を聞いたり。
エリザベスは話し上手だった。
もう、君に何もしてあげられないのか?君の笑顔を見ることはできないのか?
『エリー…声をきかせてくれ』
葬儀が終わった。
もちろん俺の存在は隠されているから葬儀の間は隠れていた。
それ以外は土の中に埋葬されるまで彼女に触れていた。
この別邸が広く感じる。すごく広くて…
『パトリック殿下。このままここに住みたければ住んでかまわないが どうする?』
『エリーはどうしたいかな』
『不幸になることは望んでいないだろうな』
『側にいたいのにエリーのいない部屋に慣れなくて辛い』
『どうしたいか決まるまで好きにしたらいい。住み続けてもいいし、去ってもいい。
ゆっくり決めてくれ』
エリザベスが居なくても日は暮れるし月は昇るし夜は明ける。
今はまだ彼女の気配の残る場所から離れられない。
膝掛けからは彼女の匂いがする。
またどこかの世界に飛ばされないだろうか。
エリーと一緒に。
『エリー』
完結
この作品は感想を受け付けておりません。
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