【完結】浮気者と婚約破棄をして幼馴染と白い結婚をしたはずなのに溺愛してくる

ユユ

文字の大きさ
7 / 30

見つけた天使

しおりを挟む
【 クリスチャン・ボイズの視点 】


ボイズ公爵家の長男として生まれたばかりか 私は美しかった。気付いた時には既に周囲から美少年と囁かれた。幼少期から令嬢達が群がり面倒だった。不躾に汚い手で触れてくるから心底嫌だった。

ある日、私より美しい令息がいると聞いて、彼の出席する催しに行きたいと言った。

そこは第一王子エリオット殿下のパーティで、年齢的に場違いだったが、公爵家だと知ると出席者の好奇の目は止んだ。

『ほら、エリオット殿下の隣にいる子がアレクサンドル・キャロンよ』

母様の目線の先には殿下と親しげな美男子がいた。
自分の比ではない。全身が煌めいているように見えた。令嬢達もエリオット殿下よりも彼を見つめている。

『お母様。何故令嬢達は彼の方に近寄らないの?』

『近寄るなというオーラを滲み出すからよ』

『オーラ?』

『例えば、お父様が機嫌が悪いと表情に出ていなくても何となくわかるでしょう?そんな感じよ』

『あれ?』

『ちょっと、クリスチャン!』

走り寄って行くと近衛に止められそうになったが、殿下が手を挙げて私を通してくれた。
アレクサンドル・キャロンの横に立つと、彼の膝の上に座り抱っこされている天使がいた。

『私の名はクリスチャン。君のお名前は?』

天使に聞いたのに、アレクサンドルは恐ろしい目をして呟いた。

『私の天使に近付くな。捻り潰すぞ』

『こら、アレク。この子はボイズ公爵家の子だ』

『知るか。私の天使に近付く男はエリオットでも捻り潰す』

『お前なぁ。
クリスチャン。この子はレティシアだよ。レティシア・キャロン』

『何で教えるんだよ!』

『レティシア』

名を呼んで、彼女のプクッとした手に触れようとしたら外方を向かれ、アレクサンドルに隠されてしまった。

『ませガキめ。去勢するぞ』

『アレク!』

『ふえっ』

『お~よしよし。可哀想に。怖かったね。大丈夫だよ。にいにがシアを守るからね』

『泣き顔も可愛いなぁ。やっぱり妃に、』

『サイズの合わない王冠を被せてやろうか?』

『お前…王子まで脅すなよ』

『エリオットか煩いからシアがグズったんだろう』

『ごめんね、レティシアちゃん。この宝石あげようか?』

『やっ』

『うちの天使はそんな物では靡かないぞ。その辺の女と一緒にするな』

『そろそろ抱っこ代われよ』

『嫌だよ。もう帰るぞ』

『分かったから座っていてくれ。
クリスチャン。悪いけど席に戻ってくれないか。この通りレティシアは人見知りになるよう躾けられてアレク以外受け付けないんだ』

『レティシア…』

『エリオット王子殿下、失礼いたしました。
クリスチャン、戻るわよ』


屋敷に戻り叱られたが、

『お父様。レティシア・キャロンをお嫁さんにしたいです』

『キャロン?…アレクサンドルの妹か』

『思っていたよりも幼い感じでしたわ。令息が溺愛する父親のように可愛がっていましたわ』

『ふむ。分かった。だが心変わりは許されないぞ。
レティシア嬢の兄は次期国王のエリオット殿下の親友だ。敵に回したくない』

『お願いします』


両親はアレクサンドルがエリオット殿下に付き添って避暑地に行っている隙にキャロン伯爵夫妻に接触し婚約を纏めてきた。

婚約後、アレクサンドル監視の元 キャロン邸に通い少しずつレティシアの人見知りから除外されるよう慣らした。お散歩で初めて手を繋いだ時は感動した。小さくて柔らかくて温かかった。爪も薄くて美しい薄桃色をしていた。

“レティシア”

呼ぶと私を見上げるようになった。
1年しないうちに笑顔を見せてくれるようになった。胸がキュンとするとはこのことかと理解した。
しかも、家族以外でこの笑顔を見せるのは私だけだという優越感もあった。だが、


『シア!』

『ディオン!』

同じ歳頃の令息が現れるとレティシアは駆け寄って抱き付いた。

『お利口さんにしていた?』

『ディオンこそ』

『アレク兄さんは?』

『学園』

『そっか』

『君は誰?』

『ディオン・ウィルソンです。隣に住んでいます』

隣人か。

『私はクリスチャン・ボイズ。レティシアの婚約者だ』

『ああ、聞いています。
シア、また夜に来るよ』

『うちで食べるの?』

『頼んでおいて』

『分かった』

『では、失礼しました』

令息は帰った。

『レティシア。彼とは仲がいいの?』

『幼馴染なの。気が付いたら一緒だったわ。ここ1年は領地に行っていたの』

『レティシアは私のお嫁さんになる子だから、他の男に抱き付いたらダメだよ』

『どうして?』

『誤解されちゃうだろう。彼だって婚約者がいるんじゃないか?』

『いないはずだけど、ディオンは家族よ?そんなことを言わないで』

『……』


帰りの馬車でウィルソン邸の前を通った。ボイズ家がキャロン邸の隣だったら、無邪気に抱き付いてもらえただろうし、“シア”呼びも許してもらえたはずだ。互いの屋敷に寝泊まりすることもあるのだろうか。

『ディオン・ウィルソンに婚約者がいないか調べてくれ。いないならお節介をしてやってくれ』

『かしこまりました』


ディオンに婚約者が出来たのは学園に入る直前だった。相手はミリアナ・ボロン。伯爵令嬢で可愛いと噂があるがレティシアの足元にも及ばない。
うちが後押しした家門では無かったが、邪魔者が消えそうで良かった。

だが、レティシアの側からディオンは消えなかった。
学園に通うのもディオンがレティシアを送り迎えするし、昼食も婚約者を放置してディオンとレティシアとその友人達でテーブルについて食べる。1つのテーブルに座れる人数ピッタリに座るから、一緒になどと言って加われない。



2年生になるとミリアナ・ボロンとクラスが同じになった。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

完結 貴族生活を棄てたら王子が追って来てメンドクサイ。

音爽(ネソウ)
恋愛
王子の婚約者になってから様々な嫌がらせを受けるようになった侯爵令嬢。 王子は助けてくれないし、母親と妹まで嫉妬を向ける始末。 貴族社会が嫌になった彼女は家出を決行した。 だが、有能がゆえに王子妃に選ばれた彼女は追われることに……

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

完結 貴方が忘れたと言うのなら私も全て忘却しましょう

音爽(ネソウ)
恋愛
商談に出立した恋人で婚約者、だが出向いた地で事故が発生。 幸い大怪我は負わなかったが頭を強打したせいで記憶を失ったという。 事故前はあれほど愛しいと言っていた容姿までバカにしてくる恋人に深く傷つく。 しかし、それはすべて大嘘だった。商談の失敗を隠蔽し、愛人を侍らせる為に偽りを語ったのだ。 己の事も婚約者の事も忘れ去った振りをして彼は甲斐甲斐しく世話をする愛人に愛を囁く。 修復不可能と判断した恋人は別れを決断した。

この恋に終止符(ピリオド)を

キムラましゅろう
恋愛
好きだから終わりにする。 好きだからサヨナラだ。 彼の心に彼女がいるのを知っていても、どうしても側にいたくて見て見ぬふりをしてきた。 だけど……そろそろ潮時かな。 彼の大切なあの人がフリーになったのを知り、 わたしはこの恋に終止符(ピリオド)をうつ事を決めた。 重度の誤字脱字病患者の書くお話です。 誤字脱字にぶつかる度にご自身で「こうかな?」と脳内変換して頂く恐れがあります。予めご了承くださいませ。 完全ご都合主義、ノーリアリティノークオリティのお話です。 菩薩の如く広いお心でお読みくださいませ。 そして作者はモトサヤハピエン主義です。 そこのところもご理解頂き、合わないなと思われましたら回れ右をお勧めいたします。 小説家になろうさんでも投稿します。

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

【完結】私を裏切った最愛の婚約者の幸せを願って身を引く事にしました。

Rohdea
恋愛
和平の為に、長年争いを繰り返していた国の王子と愛のない政略結婚する事になった王女シャロン。 休戦中とはいえ、かつて敵国同士だった王子と王女。 てっきり酷い扱いを受けるとばかり思っていたのに婚約者となった王子、エミリオは予想とは違いシャロンを温かく迎えてくれた。 互いを大切に想いどんどん仲を深めていく二人。 仲睦まじい二人の様子に誰もがこのまま、平和が訪れると信じていた。 しかし、そんなシャロンに待っていたのは祖国の裏切りと、愛する婚約者、エミリオの裏切りだった─── ※初投稿作『私を裏切った前世の婚約者と再会しました。』 の、主人公達の前世の物語となります。 こちらの話の中で語られていた二人の前世を掘り下げた話となります。 ❋注意❋ 二人の迎える結末に変更はありません。ご了承ください。

融資できないなら離縁だと言われました、もちろん快諾します。

音爽(ネソウ)
恋愛
無能で没落寸前の公爵は富豪の伯爵家に目を付けた。 格下ゆえに逆らえずバカ息子と伯爵令嬢ディアヌはしぶしぶ婚姻した。 正妻なはずが離れ家を与えられ冷遇される日々。 だが伯爵家の事業失敗の噂が立ち、公爵家への融資が停止した。 「期待を裏切った、出ていけ」とディアヌは追い出される。

処理中です...