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崩れゆく未来
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【 クリスチャン・ボイズの視点 】
ミリアナ・ボロンはクラスだけではなく 他学年の令息達からもチヤホヤされていた。
明らかにレティシアの方が美しいし可愛いのに。
『例えていうならキャロン嬢は高嶺の花で、ミリアナ嬢は庭園で1番綺麗な花って感じかな』
そう言うのは友人のブレーズだ。
『庭園?』
『すぐ摘めるだろう?キャロン嬢は摘みに行くのは命懸けだから誰も声をかけないんだ。絶対に彼女の兄を怒らすなと家族から忠告されるしね。
彼女の兄が見ていないなんて思っては駄目だ。番犬が2匹付いているからね。ほら、カーラ・ゼノヴィアが外れると 直ぐにディオン・ウィルソンがやって来たろう』
『ウィルソンは幼馴染だけどゼノヴィア侯爵家はどういう付き合いなんだ?』
『ゼノヴィア家の次男とキャロン家の長男が仲がいいんだ。……本当羨ましいよ、キャロン嬢と婚約できて。普段のキャロン嬢はもっと可愛いんだろうな』
『すごく可愛いよ』
ディオンの腕に手を添えるレティシアを教室の窓から眺めていた。
婚姻まで、あの男は側にいるのだろう。庭園の花が婚約者では何の抑止力にもならなかった。
デビュータントを迎え、レティシアをエスコートしているが衣装は揃いに出来なかった。うちで用意すると言ったが、既にアレクサンドルが注文してしまっていた。だが、繊細なデザインのドレスでレティシアの美しさを引き立てていた。
最初のダンスは踊れたが、次はアレクサンドル、そしてキャロン伯爵、ウィルソン侯爵と続いてディオンがレティシアの手を取った。
グラスを片手に2人のダンスを見ていると、ミリアナ・ボロンが話しかけてきた。
『ボイズ公子、成人おめでとうございます』
『おめでとう、ボロン嬢』
『婚約して努力しているつもりですが、彼女の美貌の前には太刀打ちできません。それに甘え上手ですもの』
『そんな話は、』
『お気付きですか?』
『何を』
『何も無くてあんなに仲が良いと思いますか?』
『どういう意味だ』
『初夜でガッカリしないよう心構えをした方がいいですわ。未だにお泊まりもあると言っていましたから』
『……』
密着したレティシアとディオンのダンスを見ながら、2人が体を繋げている想像をして腑が煮え繰り返った。
『私達だけ誠実に婚姻を待たなくてはいけないなんて不公平ですよね。
きっとあの2人は婚姻後も続けるでしょうね』
『誘っているのか』
『まさか。公子にそんな』
ディオンの瞳は熱を帯びていた。レティシアはディオンに無防備だ。あんなに近くても避けようともしない。レティシアの腰に添えたディオンの手を見ていると、服を纏っていない細い腰を掴む想像をしてしまう。
『何処で会う』
『手紙を出しますわ』
数日後、貴族の逢瀬に使われる宿に待ち合わせた。家紋無しの馬車から仮面を付けて降りる。珍しい髪色ならカツラを被る。
ミリアナの予約した部屋番号へ向かうと、既にドレスを脱ぎガウンを羽織ったミリアナが待っていた。
初めて知る女の身体に夢中になった。回を重ねるごとに抱くのも慣れてきた。
関係を持って1年が経とうとしていた。あまり長い関係は良くないと別れようとしたが、ミリアナは貴族令嬢がしないような奉仕をし始めて思い止まった。
それがあんなことになるとは……。
ミリアナの誕生日を祝うパーティでレティシアとディオンが踊り出す。
『ねぇ』
ミリアナが後ろから囁いた。
苛立っていて レティシアを同伴したパーティだというのに誘いに乗ってしまった。もう1人の番犬が会場にいたことに私は気付いていなかった。ミリアナはカーラ・ゼノヴィアが番犬の1人だと知らなかったようだ。
レティシアにはボロン伯爵が、離れたディオンには伯爵夫人がダンスに誘ったので、その隙にミリアナと会場を出た。
見張りのメイドを廊下に立たせ部屋に入るとドレスを捲りアソコを舐めた。ミリアナの準備が整うと、ベルトを外し ボタンを外すとミリアナが跪きモノを下着から出して咥えた。これがレティシアだったら…。ミリアナの顔を頭の中でレティシアに置き換えると一気に勃ち上がった。
頭を動かし口と舌で刺激しながら軽く吸われ、口内の温かさも感じる。
だが、
開いたドアの向こうにはレティシアとディオンが立っていた。
『お前は何てことをしてくれたんだ!!』
『っ!』
『よりにもよって本人に目撃されるなんて…』
父に殴られ、母には泣かれ、弟は冷ややかな目で私を見ていた。
『レティシアだって…他の男と寝てるんです』
『何てことなの!』
『それは本当か!』
『相手はディオン・ウィルソンです』
『なら、痛み分けで婚約を維持しよう』
『こうなったら直ぐに挙式をしましょう。私が監視して1人では外に出さないようにするわ』
父とキャロン伯爵邸に向かうも、伏せっていると会わせてもらえなかった。二度とも。
その間に、ボロン伯爵とミリアナが訪ねて来た。
伯『ご子息と娘の交際についてですが、これを機にミリアナを妻にしていただきたいのです』
私『は?』
公『あり得ませんよ。息子とレティシア嬢は今も婚約しています。言いたくはありませんがミリアナ嬢は純潔というわけではなかったと聞いていますし、交際はしておりません。ただの遊びです』
伯『ですが、娘はウィルソン侯爵家とは破婚になりました』
私『私の婚約者はレティシアです。今も変わっていません。お引き取りを』
既に何人かに手折られた庭の花に用はない。
ミリアナ・ボロンはクラスだけではなく 他学年の令息達からもチヤホヤされていた。
明らかにレティシアの方が美しいし可愛いのに。
『例えていうならキャロン嬢は高嶺の花で、ミリアナ嬢は庭園で1番綺麗な花って感じかな』
そう言うのは友人のブレーズだ。
『庭園?』
『すぐ摘めるだろう?キャロン嬢は摘みに行くのは命懸けだから誰も声をかけないんだ。絶対に彼女の兄を怒らすなと家族から忠告されるしね。
彼女の兄が見ていないなんて思っては駄目だ。番犬が2匹付いているからね。ほら、カーラ・ゼノヴィアが外れると 直ぐにディオン・ウィルソンがやって来たろう』
『ウィルソンは幼馴染だけどゼノヴィア侯爵家はどういう付き合いなんだ?』
『ゼノヴィア家の次男とキャロン家の長男が仲がいいんだ。……本当羨ましいよ、キャロン嬢と婚約できて。普段のキャロン嬢はもっと可愛いんだろうな』
『すごく可愛いよ』
ディオンの腕に手を添えるレティシアを教室の窓から眺めていた。
婚姻まで、あの男は側にいるのだろう。庭園の花が婚約者では何の抑止力にもならなかった。
デビュータントを迎え、レティシアをエスコートしているが衣装は揃いに出来なかった。うちで用意すると言ったが、既にアレクサンドルが注文してしまっていた。だが、繊細なデザインのドレスでレティシアの美しさを引き立てていた。
最初のダンスは踊れたが、次はアレクサンドル、そしてキャロン伯爵、ウィルソン侯爵と続いてディオンがレティシアの手を取った。
グラスを片手に2人のダンスを見ていると、ミリアナ・ボロンが話しかけてきた。
『ボイズ公子、成人おめでとうございます』
『おめでとう、ボロン嬢』
『婚約して努力しているつもりですが、彼女の美貌の前には太刀打ちできません。それに甘え上手ですもの』
『そんな話は、』
『お気付きですか?』
『何を』
『何も無くてあんなに仲が良いと思いますか?』
『どういう意味だ』
『初夜でガッカリしないよう心構えをした方がいいですわ。未だにお泊まりもあると言っていましたから』
『……』
密着したレティシアとディオンのダンスを見ながら、2人が体を繋げている想像をして腑が煮え繰り返った。
『私達だけ誠実に婚姻を待たなくてはいけないなんて不公平ですよね。
きっとあの2人は婚姻後も続けるでしょうね』
『誘っているのか』
『まさか。公子にそんな』
ディオンの瞳は熱を帯びていた。レティシアはディオンに無防備だ。あんなに近くても避けようともしない。レティシアの腰に添えたディオンの手を見ていると、服を纏っていない細い腰を掴む想像をしてしまう。
『何処で会う』
『手紙を出しますわ』
数日後、貴族の逢瀬に使われる宿に待ち合わせた。家紋無しの馬車から仮面を付けて降りる。珍しい髪色ならカツラを被る。
ミリアナの予約した部屋番号へ向かうと、既にドレスを脱ぎガウンを羽織ったミリアナが待っていた。
初めて知る女の身体に夢中になった。回を重ねるごとに抱くのも慣れてきた。
関係を持って1年が経とうとしていた。あまり長い関係は良くないと別れようとしたが、ミリアナは貴族令嬢がしないような奉仕をし始めて思い止まった。
それがあんなことになるとは……。
ミリアナの誕生日を祝うパーティでレティシアとディオンが踊り出す。
『ねぇ』
ミリアナが後ろから囁いた。
苛立っていて レティシアを同伴したパーティだというのに誘いに乗ってしまった。もう1人の番犬が会場にいたことに私は気付いていなかった。ミリアナはカーラ・ゼノヴィアが番犬の1人だと知らなかったようだ。
レティシアにはボロン伯爵が、離れたディオンには伯爵夫人がダンスに誘ったので、その隙にミリアナと会場を出た。
見張りのメイドを廊下に立たせ部屋に入るとドレスを捲りアソコを舐めた。ミリアナの準備が整うと、ベルトを外し ボタンを外すとミリアナが跪きモノを下着から出して咥えた。これがレティシアだったら…。ミリアナの顔を頭の中でレティシアに置き換えると一気に勃ち上がった。
頭を動かし口と舌で刺激しながら軽く吸われ、口内の温かさも感じる。
だが、
開いたドアの向こうにはレティシアとディオンが立っていた。
『お前は何てことをしてくれたんだ!!』
『っ!』
『よりにもよって本人に目撃されるなんて…』
父に殴られ、母には泣かれ、弟は冷ややかな目で私を見ていた。
『レティシアだって…他の男と寝てるんです』
『何てことなの!』
『それは本当か!』
『相手はディオン・ウィルソンです』
『なら、痛み分けで婚約を維持しよう』
『こうなったら直ぐに挙式をしましょう。私が監視して1人では外に出さないようにするわ』
父とキャロン伯爵邸に向かうも、伏せっていると会わせてもらえなかった。二度とも。
その間に、ボロン伯爵とミリアナが訪ねて来た。
伯『ご子息と娘の交際についてですが、これを機にミリアナを妻にしていただきたいのです』
私『は?』
公『あり得ませんよ。息子とレティシア嬢は今も婚約しています。言いたくはありませんがミリアナ嬢は純潔というわけではなかったと聞いていますし、交際はしておりません。ただの遊びです』
伯『ですが、娘はウィルソン侯爵家とは破婚になりました』
私『私の婚約者はレティシアです。今も変わっていません。お引き取りを』
既に何人かに手折られた庭の花に用はない。
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