【完結】高給アクターは夢で癒す

ユユ

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何で?

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えっと…何?何でこの2人が!?

「そう、慰謝料がっぽりなのよ」

「羨ましいわぁ、私もがっぽりしたい」

うふふ、おほほと事務所で盛り上がっているのは社長の咲希さんと私の母だった。

「どうして咲希さんと?」

「お友達になったの」

「はい!?」

咲希さんを見た。

「本当よ、さおりさんと話が合うの」

「こわい」

「何がこわいのよ。失礼しちゃうわね」

「楓、いらっしゃい」

「失礼します」

女帝のような2人と向き合うように座った私はゴシップのような質問を受けた。

「で、吉岡さんと雪嶋さんと大輝の四角関係はどうなりそう?」

「はい!?」

「郡司さんもいい男なんですって?」

副社長の聡さんを目で探したがいなかった。郡司さんの話をしたのは聡さんだけだ。このゴシップの発信源は聡さんで間違いない。

「はぁ…郡司さんは雪嶋さんというお客様のサポートをしている人でそれだけです」

「口説かれたって聞いたわよ」

「郡司さんはお疲れで口が滑っただけです。
雪嶋さんも親しくはなりましたがお客様ですし、吉岡さんもお客様です。咲希さんもご存知ですよね」

「うふふ」

母がいるから面白おかしく言い出したのね。

「私が交際しているのは伏原大輝さんだけです」

「結婚はいつにするの?」

「今はその気はありません。お二人は慰謝料の話で盛り上がっていたのに私には結婚しろとおっしゃるのですか」

「一度はしておきなさい」

「そうそう。何事も経験よ」

「しないかもしれませんし分かりません」

「楓、伏原くんが結婚したいと思っていたら問題よ。応じなければ遠くない未来で別れが来るわ。
子供が欲しいなら長くは待てないの。自分の子を産んでくれる女性を探すわよ」

「だとしたら仕方ないじゃないですか。子供のことだけは無責任な判断はできません。心から望んでいないうちは子供は要りません」

「困ったわね」

「さおりさん、急ぐ必要はないわ。大輝は楓しか見えていないもの」

「相手が結婚して子供が欲しいと言っている男なら別れなさい。無闇に待たせては可哀想よ」

そう言っても別れることを望む人じゃないのに。

「わかりました」

しばらく2人の話を静かに聞いて帰る母を見送った。
忙しい人なのにどうしちゃったんだろう。


その日の夜、念のために大輝くんに話をした。

「母が来て、その気がないのなら家庭を望んでいる人を待たせないで別れなさいって言ったんです」

「それで?」

「再確認しておこうかなって」

「俺は絶対に別れない。子供も欲しいけど他の女と作る気はない」

「…うん」

「楓」

「……」

「愛してるよ」



【 大輝の視点 】

都内のに押しかけて応接室で目的の人を目の前にしていた。楓に似た美人議員の二条さおりだ。
アクターうちの事務所とは違い、簡素と堅さと味わったことのない緊張感がある。選挙ポスターなんかより実物の方が美人だ。

「それで?お話というのは?」

「俺は楓さんと結婚。何年かかっても口説き落とします」

「ライバルが多いみたいだけど」

「ですが楓さんは浮気はしません。
二条さんの心配も仕方ありませんが、俺は子供を産んでくれるのなら他の女でもいいなんて思えません。愛する楓との子が欲しいんです。ですからどうしても彼女が望まないのであれば諦めることも覚悟しています。お願いですから楓さんに圧をかけないでください」

「圧なんかかけてないわ。娘を守ろうとしているだけ。あなたのせいじゃないわ。楓が分かっていないから忠告したの。あの子がいつまでも愛されて待ってもらえると信じて数年か10年経ってあの子の愛が深まってその気になったときには手遅れだったら?あなたの気が変わっているかも」

「変わりません」

「夫婦で子に対する意見の相違があるときは、崩れてしまうことがあるの。最初は乗り越えられるとか、気が変わるのを待つとか言うのよ。愛があるからとか言って。でもね、外に出れば子供を視界に入れる機会はたくさんあるし、家にいても外や近所から声や音が聞こえるしテレビにも出てくるしね。友人や親戚が子を産んだと知ると羨ましくて仕方なくなる。いつの間にか子供のいる暮らしを切望して愛を薄めてしまう。そして言うの。子供が欲しいから別れてって。
たとえ愛が薄まらず別れなくても片方が人生最大の我慢を死ぬまで胸に秘めることになる。
あなたと楓はそれぞれ独立しているし結婚もしていない。違う道を選ぶこともできる。それに楓の初めての交際相手だもの。経験不足のあの子にこの判断は難しいわ。
この仕事をしているといろいろな悩みを抱えた人と出会うの。子供の有無について相違のあった夫婦は別れた後、子供を望んでいた方はさっさと再婚したわ。恋愛じゃなくて条件で再婚したのよ」

「言いたいことはわかりました。ですが俺達は結婚さえしていません。経験不足とおっしゃるのなら俺と積ませてください」

「私がどうこうできないのは知っているし楓の人生だけど、自分の知り得たことを娘に伝えるのも母親の仕事なの」

「はい」

「一つだけ。少しでも他の女性に気持ちや体が向いたり、子供が目について離れなかったら直ぐに身を引いてちょうだい」

「はい」


事務所から出ると街の騒音に身を包んだ。騒音なのにホッとするなんて。
二条さおりの独特な空気にのまれそうになった。政治家ならではなのか、彼女の持つ特有のものなのか。特別な言葉を使っているわけではないのに会話をしていると、話す前とは別人かと思うほど変わる。楓が睡眠士なら母親は…。楓はよく反発して家を出るなんて考えたな。





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