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ライアン達の子

騙された

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【 ゼインの視点 】


土曜日の午後、到着の知らせを受けて父上と応接間で待っていると、ノックの後に現れたのは、銀髪に薄紫の瞳の美男子と、リリアンと公爵だった。

私「え?」

へ「国王陛下。騙して申し訳ございません。

ゾード王国の第二王子ヘイゼルと申します」

父「なっ!?」

ヘイゼル王子殿下は何故そのようなことをしたのか経緯を説明した。

王「つまり妃探しということですな?」

へ「はい」

王「確かに傾国の美男子なのは分かりましたが、我々には教えておいても良かったのでは?」

へ「女装趣味の変態だと思われたくなくて」

王「……公爵はいつ知ったのかな」

公「夜の部の歓迎パーティです」

私「リリアンはいつ」

リ「昼の部の歓迎会です」

私「何で言わなかった!!」

へ「リリアンを怒鳴るのは止めてください。

彼女は事情を知って僕に同情してくれたのです。
僕は工作員でもないですし、戦争を仕掛けるために来たわけでもありません。

国際問題に発展しかねないとリリアンは口を噤んだのです。彼女についている護衛は異常無しとしたのではありませんか?

責められるのは私一人で、リリアンは関係ありません」

私「大有りだ! リリアンを妃に迎えたくなったから王子だと言いに来たのだろう!」

リ「妃だなんて、」

私「リリアンは鈍すぎる。そうでなければバラすわけがない。そのまま王女として帰国すれば済むことだ。

リリアンは王女の縁談があるからと、私との交流を止めてしまった。君に求婚していた私がどんな気持ちだったと思う?」

リ「ゼイン殿下、」

私「あんまりだよリリアン」


立ち上がった途端に眩暈がした。暗い霧が視界を覆う。




【 リリアンの視点 】


ゼイン王子殿下が倒れてしまった。

「ゼイン!」

「殿下!」

ソファに寝かせて宮廷医が呼ばれ、私達は控え室に移動した。


「パパ…私のせい?」

「リリアンのせいじゃない」

そこにエス先生が現れて説明してくれた。

「殿下はリリアンとの交流が無くなった日から食欲が無く、眠りも浅かった。精神的なものが体に現れてしまった。

リリアンのせいではない」

「ゼイン殿下は」

「休ませて、何かを口に入れさせるしかない。飲み込むかは分からないがな」

「パパ。私、数日ここで看病するわ。
帰れと言われたら帰るから」

「だが、」

「病気なのよ?
このまま何かあれば耐えられないわ」

「着替えなどを届けさせよう」

「リリアン、僕は、」

「ごめんなさい、ヘイゼル様。お見送りはできそうにありません」

「僕のせいだな。
だけどリリアン。僕は君が好きなんだ」

「ヘイゼル様は今回王女としていらしたのです。
違いますか?」

「……」

「王女としてゾードにお戻りください」

「リリアン」

「お願いです」

「……分かった」



そして土曜の今日から城に留まりお世話をすることにした。


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