【完結】出て行ってください! 午前0時 なぜか王太子に起こされる

ユユ

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頭の上ですよ

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翌日起きたらアイザックは居なかった。

ヨガを始めた。

「シルビア様?」

「身体と心のバランスをとっています」

ベルン卿は不思議そうな顔をした。

そこにアイザックが戻ってきた。

「シルビア、見える!」

「見なきゃいいじゃないですか。どうせ貧弱な胸なんだから」

襟ぐり広めの緩いカットソーになっているので、ポーズ次第では覗けてしまう。

「シルビア!」

「煩くするなら部屋を分けますよ」

「……寝巻きを用意してやる」

「絶対に着ません。なんでいちいち貴方に従わなくちゃならないのですか。そんなに嫌なら部屋を別々にすればいいじゃないですか」

「シルビア様 王太子殿下は心配をなさっているだけです」

駄目だ。寝不足とストレスでイライラする。

「ベルン卿、夜勤は終わったから休め」

「失礼します」



朝食を食べ、着替えて庭園に向かった。

「聞きました?今日のパーティーはカイン様がいらっしゃるとか」

「まあ!ダンスを踊っていただけるかしら」

「あの頃と変わっていなければ誰とも踊らないでしょうね」

「誰がカイン様の心を溶かすのかしら」

どういうことだろう。
よく分からないから聞かなかったことにしよう。



カザッ ガサガサッ

音の方を見ると垣根に手を突っ込んで何かをしている人がいた。

「どうされましたか」

「探し物です」

「何を探しているのですか」

「眼鏡です」

え?本気なの!?  ああ。老眼鏡でも別に持っているとかなのね。

「お探しの眼鏡は頭の上に乗っている物と似ていますか?」

「へ?」

「頭の上」

眼鏡を指さすと、彼は頭を触って眼鏡に触れた。

「っ!!」

一気に顔や首も真っ赤になった。

「こ、これでした」

「……見つかって良かったですね。では」

「お待ちください。私はヘンリー・コーデュロウと申します。貴女は」

「シルビア・ペッシュナーと申します。では」

「待って。お散歩中ですか」

「ええ」

「ご一緒してもよろしいでしょうか」

「え?」

「これもご縁ですから、少しお話ししたいのです」

コーデュロウってどこだっけ。
面倒で貴族名鑑を覚えなかった。

「嫌ですか?」

まあ いいか。

「ご一緒しますわ」


彼のエスコートを受けながら、花の説明をうけた。
庭師かしら。王城務めだと庭師でも立派な服を着るのかもしれない。

「王城の庭を管理する方はお召し物も違いますね」

「あ、私は庭師ではなく、パーティの参加者です。
花や草の話ばかりしていたら勘違いなさいますよね。

実は植物研究所の生徒で、つい話も植物のことになってしまって」

「まあ! 兄と同じ研究所で学んでいらっしゃるのですか。素敵ですわ」

「本当?」

「ええ。うちの兄は私のためにあれこれ調合してくださるの。兄の洗料や保湿クリームじゃないと もう生きていけません」

「あのカイン殿が?」

「とても優しい兄様なのです」

「シルビア嬢はパーティーに参加を?」

「はい」

「ダンスを申し込んでもいいですか」

「下手ですよ」

「構いません」

「分かりましたわ、コーデュロウ様」

「ヘンリーと呼んでください」

「ヘンリー様、また後で」


昼を告げる鐘が鳴ったので城内に戻った。





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