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ロバート特務隊員
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【 ロバートの視点 】
王族居住区内の最上階に敷かれた紺色の廊下敷は 通れる者を選ぶ。
ここは王族だからといって許可なく足を踏み入れることはできない。
国王陛下を除いては。
警備兵の中でも信用が厚く任務に忠実な者を選び配属して任せている。
例え王妃であろうと王子であろうと 絶対に通さない。
「ピノール卿。お疲れ様です」
「お疲れ様です、ルノー卿 サヴァン卿」
ここには能力を持つ者が集まる。
「王太子殿下にご挨拶を申し上げます」
「ロバート。座ってくれ」
「失礼いたします」
王太子殿下は去年から、ここに入ることを許された。
彼の依頼は……
「ご報告いたします。
王太子妃殿下の侍女 カーネラ男爵家の次女リラは本当に実家とは疎遠でした。
三女ジョセフィーヌに接触して得た情報では、手紙のやり取りもせず、帰省もしていないそうです。
父親との折り合いが悪く、早々と就職試験を受けたそうです。
カーネラ家はギリギリ貴族の生活を保ってはおりますが、厳格で頭がかたい当主は曲がった事が嫌いで、ギャンブルをしたり違法な物に手を付けるなどあり得ないと証言しました。
ジョセフィーヌをエスコートして、カーネラ家の縁者にも接触しましたが、証言は同じです。
リラにも接触しましたが、脅されたり利用されたりした感じはありません。王太子妃殿下に仕えることに喜びとやり甲斐でいっぱいのようです」
「無関係か。拷問にかけなくて良かった。
ヴァイオレットからの評価も良かったからな。
特務隊員に任せて良かったよ」
王太子殿下の調査はヴァイオレット王太子妃殿下の暗殺未遂事件だ。
妃殿下の自室に用意されたミルクを、愛猫が舐めて死んだ。
妃殿下は茶にミルクを入れて飲むのが好きで、必ず用意される物だった。
猫が口を付けたことで妃殿下は蜂蜜だけを入れて飲んだ。
この事件の調査をしている。
まだ何も掴めていないが労ってくださる。
「恐れ入ります」
「婚約者に見つかったんだって?」
「……はい」
「カーネラ家の三女の下着に手を入れるところに居合わせて忠告してくるなんて、冷え切ってるね」
「私のせいです」
「任務のせいだよね」
「……」
「彼女を解放して、任期を延長してくれよ。
別の女を用意してあげるよ」
「ビビアンの代わりはいません。
彼女との婚姻と同時に任から外れる約束です」
「父上も何でそんな約束をしたんだか。
君のような能力を持つ者は滅多に現れないし、君はそれを悪用しない。君にはずっと私に仕えて欲しいんだ」
「任期満了まで、特務隊員として国に仕えます。婚姻後は一貴族として領地と国のために仕えます」
「君の婚約者は平凡じゃないか」
「ビビアンを侮辱する者は神でも許しません」
「悪かったよ。そう怒るな」
1ヶ月後、また調査の報告を上げに行った時にビビアンのことを聞かされた。
「ロバートのことをダークロック家が調査を入れたから誤魔化しておいたよ」
コーネリア・マイスリーの婚約者か…。
「ビビアンの友人が公子の仮婚約者のせいです」
「それが、ダークロックは不思議な調査の仕方をしているんだよ。
普通なら家門やビビアン嬢の素行調査をするだろう? なのに公子が指示したのは、ビビアンの購入品と男関係の調査だ。そこで君の調査に繋がった。
女を摘み食いする男で、ビビアンとは疎遠だと調査報告書を出すだろう」
「そうですか」
どういうことだ?
「そんなことをする理由は、レオナード・ダークロックがビビアン嬢を第二夫人に迎えたいからじゃないかと別の特務隊員が言っていたよ。
ロバートを執着させて 公子をその気にさせるなんて。ビビアン嬢の見方を変えなければ」
「ビビアンは普通の令嬢です」
「実際に公子が興味を示したし、態々調査を指示している。近頃は公女と一緒ではあるが3人で会うようになった。
どうやら公女も乗り気のようだ。公女にも気に入られたのだな。
それに君が執着しているんだ。普通とは思えないよ」
「……」
「デビュータントは行くんだろう?」
「はい。調査対象の妹がデビューなので出席します」
「マイスリー公女はダークロック公子をパートナーにするだろう。その目で確認するといい」
王族居住区内の最上階に敷かれた紺色の廊下敷は 通れる者を選ぶ。
ここは王族だからといって許可なく足を踏み入れることはできない。
国王陛下を除いては。
警備兵の中でも信用が厚く任務に忠実な者を選び配属して任せている。
例え王妃であろうと王子であろうと 絶対に通さない。
「ピノール卿。お疲れ様です」
「お疲れ様です、ルノー卿 サヴァン卿」
ここには能力を持つ者が集まる。
「王太子殿下にご挨拶を申し上げます」
「ロバート。座ってくれ」
「失礼いたします」
王太子殿下は去年から、ここに入ることを許された。
彼の依頼は……
「ご報告いたします。
王太子妃殿下の侍女 カーネラ男爵家の次女リラは本当に実家とは疎遠でした。
三女ジョセフィーヌに接触して得た情報では、手紙のやり取りもせず、帰省もしていないそうです。
父親との折り合いが悪く、早々と就職試験を受けたそうです。
カーネラ家はギリギリ貴族の生活を保ってはおりますが、厳格で頭がかたい当主は曲がった事が嫌いで、ギャンブルをしたり違法な物に手を付けるなどあり得ないと証言しました。
ジョセフィーヌをエスコートして、カーネラ家の縁者にも接触しましたが、証言は同じです。
リラにも接触しましたが、脅されたり利用されたりした感じはありません。王太子妃殿下に仕えることに喜びとやり甲斐でいっぱいのようです」
「無関係か。拷問にかけなくて良かった。
ヴァイオレットからの評価も良かったからな。
特務隊員に任せて良かったよ」
王太子殿下の調査はヴァイオレット王太子妃殿下の暗殺未遂事件だ。
妃殿下の自室に用意されたミルクを、愛猫が舐めて死んだ。
妃殿下は茶にミルクを入れて飲むのが好きで、必ず用意される物だった。
猫が口を付けたことで妃殿下は蜂蜜だけを入れて飲んだ。
この事件の調査をしている。
まだ何も掴めていないが労ってくださる。
「恐れ入ります」
「婚約者に見つかったんだって?」
「……はい」
「カーネラ家の三女の下着に手を入れるところに居合わせて忠告してくるなんて、冷え切ってるね」
「私のせいです」
「任務のせいだよね」
「……」
「彼女を解放して、任期を延長してくれよ。
別の女を用意してあげるよ」
「ビビアンの代わりはいません。
彼女との婚姻と同時に任から外れる約束です」
「父上も何でそんな約束をしたんだか。
君のような能力を持つ者は滅多に現れないし、君はそれを悪用しない。君にはずっと私に仕えて欲しいんだ」
「任期満了まで、特務隊員として国に仕えます。婚姻後は一貴族として領地と国のために仕えます」
「君の婚約者は平凡じゃないか」
「ビビアンを侮辱する者は神でも許しません」
「悪かったよ。そう怒るな」
1ヶ月後、また調査の報告を上げに行った時にビビアンのことを聞かされた。
「ロバートのことをダークロック家が調査を入れたから誤魔化しておいたよ」
コーネリア・マイスリーの婚約者か…。
「ビビアンの友人が公子の仮婚約者のせいです」
「それが、ダークロックは不思議な調査の仕方をしているんだよ。
普通なら家門やビビアン嬢の素行調査をするだろう? なのに公子が指示したのは、ビビアンの購入品と男関係の調査だ。そこで君の調査に繋がった。
女を摘み食いする男で、ビビアンとは疎遠だと調査報告書を出すだろう」
「そうですか」
どういうことだ?
「そんなことをする理由は、レオナード・ダークロックがビビアン嬢を第二夫人に迎えたいからじゃないかと別の特務隊員が言っていたよ。
ロバートを執着させて 公子をその気にさせるなんて。ビビアン嬢の見方を変えなければ」
「ビビアンは普通の令嬢です」
「実際に公子が興味を示したし、態々調査を指示している。近頃は公女と一緒ではあるが3人で会うようになった。
どうやら公女も乗り気のようだ。公女にも気に入られたのだな。
それに君が執着しているんだ。普通とは思えないよ」
「……」
「デビュータントは行くんだろう?」
「はい。調査対象の妹がデビューなので出席します」
「マイスリー公女はダークロック公子をパートナーにするだろう。その目で確認するといい」
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