【完結】私じゃなくてもいいですね?

ユユ

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ロバートの焦り

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【 ロバートの視点 】


デビュータントまでは会わないはずだった。

最後に会ったのは 俺の卒業祝いで、父上が食事に招待した時はまだ子供だった。


あるパーティで、調査をしていた。
対象者は2人。

1人目が終わり、次に2人目の男爵令嬢をテラスに連れ出して、暗示を掛けようと体に触れていた。

突然頭にかたい物が当たった。

振り向くとビビアンが立っていた。

『!!』

『カーネラ嬢はその辺の遊んでいる令嬢とは違います。こんな場所でそんなアプローチは可哀想です。
どちらかのお屋敷に行くなり 宿に行くなりなさってください。
せめて休憩室を借りてはいかが?

カーネラ嬢には優しくしてくださいね。
彼女は見かけも可愛いですし中身も優しくて礼儀正しい素敵な方ですから。

では失礼しますわ』

『ビビアン!』

無視して立ち去ってしまった。

追いかけたいが男爵令嬢に暗示をかけている最中で離れるわけにはいかなかった。


用が済んでビビアンを探したが、既に会場にはいなかった。



ビビアンの瞳は冷たかった。
怒りではない。
彼女の言葉も合わせると、俺が他の女達に手を付けていると思っているのだと分かった。

大人になったビビアンが、俺の異性関係に嫌悪しながらも黙認していた。



もうすぐデビュータントだ。
それも任務があるから利用しなくてはいけない。

パートナーとしてエスコートすると伯爵に連絡を入れた。


そんな時に王太子殿下がレオナード・ダークロックについて情報をくれたが、何かの誤解だと思っていた。


デビュー当日、ビビアンはほとんど話をしないし俺を見ない。
誤解を解きたいが口外できない。

それにまだ仕事をしなくてはならないから、ビビアンとは距離があった方がいいことは分かっている。

だけど…本当にレオナード・ダークロックがビビアンに近付いていた。

牽制の意味を込めて挨拶をした。

彼はクラスは違ったが同い歳で何度も会ったことがあるし、挨拶もしたことがあった。だけど未来の夫として挨拶をせずにはいられなかった。

マイスリー公女もビビアンを慕っていて、自身の仮婚約者と仲良くなることを望んでいた。
それにビビアンが公女だけでなく、公子にまで気を許していたことが許せなかった。

俺の時とは違い、愛想良く微笑む。

何でスカウトを受けてしまったのかと後悔した日でもあった。

ダンスをしても目も合わさないビビアンに不安が募る。


その日は対象にきっかけだけ作って後日暗示をかけることにした。




デビュータント以来、時々ガデュエット邸に行ってビビアンの様子を確認することにした。

伯爵夫妻がいるから無視はされないが素っ気ない。


そしてビビアンの卒業パーティも任務だった。

ビビアンをエスコートして公子への牽制もしなくてはならない。

なのに、


『ロバート様、お久しぶりですわ』

振り向くと数ヶ月前に暗示にかけた女が立っていた。
彼女は離縁をして実家に戻っていた女だった。

よく覚えていないと返すと、矛先をビビアンに向けた。

『何故 紹介しなくてはならない』

ビビアンを紹介しろという女を追い払いたかった。

『特に用がないなら遠慮してくれないか。彼女の卒業パーティなんだ』

『あんまりですわ。半年前に愛し合ったではありませんか』

ビビアンの前で余計なことを言うな!

『わ、私と体を繋げたではありませんか』

お前など抱いていない。だけど暗示に掛けているから否定できない。

『体を使いあっただけでは愛ではない。おかしなことを言わないでくれ。

半年前?一度か?
交際もしていないのに体を許す女を愛するわけがないだろう。

妄想は止めてくれ』

なんとか女を追い払ったが、ビビアンは冷たかった。

『私には関係ありませんから どうぞご自由に』

『婚姻したら他の女には手を付けない』

『寧ろ今まで通り 手を付けてください』

『ビビアン、』


学園長の挨拶が始まってしまった。

今まで通り手を付けろ?
どういう意味だ?

聞けないままダンスが終わると あの男がビビアンをダンスに誘った。

公子に近寄らせたくない。

だけど視界に今日の対象者が入った。


ビビアンを彼に預けて、俺は対象の女に誘いをかけた。

廊下の死角で体に触れて暗示を掛け情報を聞き出した。

『俺から何も聞かれていない。ただ人気のない場所で俺と交わっただけだ』

『交わった…だけ』

『そうだ。会場に戻れ』

『はい』



その後、正式な婚約の話になったが、ビビアンは強い拒絶を示した。

婚約したくないと言い出した。

公子の影響かと思ったが、ビビアンは思っていたことを口にしただけで 何も変わっていないと言っていた。 

俺の女遊びの噂を聞いていて、実際に令嬢の身体に触れているところを目撃して、今までビビアンを放置していたことに不満を抱えていたということだ。

しかも、婚姻するなら白い結婚にしろと要求してきた。

最悪だ。
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