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恋人の思惑
【 ジャクリーン王女の視点 】
兄と弟の間に産まれた私はパパがとても愛してくれる。
私はパパの色を受け継いでブルネットの髪に少しピンク寄りの茶色の瞳。
顔立ちは可愛さに定評のあったママにそっくり。
王太子と王太子妃からは時々お小言をもらうけど気にしない。
パパの寵愛が妬ましいのね!
二年前、私は一目惚れをした。
バックス侯爵家の次男、アクセル様だ。
眩い金髪に青い瞳。中世的な顔立ちの美男子だった。
パパに専従騎士にするようお願いをした。
毎日のようにアクセル様が側にいて幸せだ。
一緒に居るうちに、私達は恋人になった。
彼は優しく口付けをしてくれて、愛を囁いてくれる。半年前の私の誕生日にアクセル様に純潔を捧げた。
それ以来、隙を見ては体を重ねている。
アクセル様が男性用避妊薬を飲んでくれている。
私が女性用避妊薬をメイドに持って来させるとバレてしまうし、アクセル様に持って来させるのも危険だ。見つかった時に毒ではないかと疑われかねないし、誤解が解けても城に持ってくるものではないと、用途を詮索されてしまう。
何故コソコソしているかというと、私が婚約しているからだ。
ブルノワ侯爵家の嫡男セバスチャン。
彼の髪の色は深緑。瞳は深紫。逞しく精悍な顔立ちで、全く私の好みではない。
お金に苦労させないように選んだんだって。
13歳の顔合わせの時にとても感じが悪かった。一見礼儀正しく見えるけど、私を馬鹿にしているのが分かった。
成人して、エスコートもしてくれるけど、甘い言葉なんて囁かないし、贈り物も誕生日にだけ。
この男の妻になるのかとガッカリしていた。
対して、アクセル様は絵本から飛び出てきた王子様の様な人で、甘い言葉を囁いてくれるし、よく贈り物もしてくれる。理想の人だ。
“アクセル様の妻になりたい”
情事の最中や事後にそう呟く。
アクセル様が跡継ぎならいいのに。
アクセル様がバックス侯爵を継ぐか、爵位を賜れば私はアクセル様の妻になれるのに。
パパにそれとなく話をしたら信じられない事になってしまった。
パパが王命で私のアクセル様に他の女と婚姻をさせるという。
私のアクセル様が妻を迎えて子作りに励んで、他の女がアクセル様の子を産む!?
許せなかった。
破談にさせようと思い、情報収集のため、義姉に聞きに行った。
「ソフィア・カロンヌ?」
「そうです。どんな女ですか!」
「ジャクリーン様と同い歳ね。
私とは学年が違ったけど優秀なのは知られていたわ。品行方正な方ね。茶会や夜会も滅多に出てこなかったわ」
茶会!
そうよ、それだわ!
茶会を開いて女を呼んで皆の前で屈辱を味わってもらうわ!
招待状を送り、数日後。
「何で私の茶会に欠席の返事を出すのよ!
やる意味が無いじゃないの!中止よ!」
侍女が言い辛そうに口にする。
「王女様、理由もなく中止には出来ません。王女様の評判に関わります」
二週間後、仕方なく茶会を開いた。その代わり、女のことを聞き出すなり、悪口を広めよう。
令嬢達に聞いてみたら、
「ソフィア様はとても評判の良い方ですわ」
「学園でずっと同じクラスでしたが、才女ですし、努力家ですわね」
「姉が王太子妃様の茶会でご一緒したのですが、姉がイヤリングを片方無くしてしまいましたの。一緒に探してくださり、とても親切な方だったと聞いておりますわ」
「慈善活動でご一緒しましたけど、刺繍の腕前がとても素晴らしかったですわ。
孤児院で小さな子供にもとてもお優しく、慕われておりましたわ」
何なの!?褒めてばかりじゃないの!
「養女だと聞いたのだけど」
「確か入学に合わせて養女に入られましたわ。あれだけ優秀なら養女にしたくもなりますわね」
「何故令息にしなかったのかしら」
「養子にできそうで、彼女より優秀な方が見つからなかったのでは?」
「外国からよね。どこの国か知ってる?
どこの家の者かとか」
「存じ上げません」
「気にしたこともありませんでしたわ」
「バックス家のアクセル様とご婚約なさったとか」
「意外な組み合わせですわね」
「正反対ですものね」
「どういうこと?」
「……」
全員が口を噤んでしまった。
「知りたいわ」
「侯爵令息は侯爵家の次男であの容姿でそれはもうモテて。
何故今まで縁談が無かったのか不思議で」
確かに。
「兄から聞いたことがありますわ。
成績も問題があったとか。
卒業も本来ならできなかったと聞きましたわ」
「確か、補習を受けて何度か再テストをして、ようやく卒業できたとか」
「夜会で遊んでいらしたわね」
「一夜を過ごしてくれそうな方に片っ端から声をかけていらして。目に余ったのか、兄が、みっともなから娼館にでも行けば良いのにと溢していらしたわ」
「令嬢が引っ掛からない夜はメイドに声をかけていたわね」
「うちのメイドも手を付けておられたわ。若くて可愛い子だったから一年程お付き合いしたみたいですわ。先々月に結婚の為に田舎に帰るまで続いておりましたわ」
先々月!?
「お付き合いというのは?」
「会うたびに体を求められたようですわね」
「っ!」
「先々月と言ったら私の従姉妹と同時進行だったのね」
「うちのメイドは殿方が好む体付きで、しつこく付き纏われたらしいですわ。
彼女は男爵家の令嬢で、婚約者がいたので頑なに断ったようですわ」
「学園でも見た目の可愛い子か、胸の大きな子に声をかけておりましたわ」
「まあ、胸の大きさで女を選ぶ殿方も少なくありませんものね」
どんどんアクセル様の女関係の話が出てきてしまった。
「昨日、うちで夜会があって、招待はしていなかったのですけど、招待客が騎士仲間で連れて来られて。
お二人とも、女性を物色して、休憩室に女性を一人連れてご友人と入られましたわ。
朝になっても出てこなくて、メイド長が入室すると、男二人と女一人が裸で寝ていたそうよ。疲れ果てて朝になっても起きないほど、楽しまれたのね」
「うちの弟も近衛に半年前から入っていますけど、よく名前があがりますわ。
時々地方遠征の訓練があって、その時は酒場の女性に手を付けたり、滞在先の領主の屋敷の使用人や娘に声をかけて回るのですって。
やはり胸の大きな方から声掛けすると笑ってましたわ」
「うちの従兄弟は王宮騎士時代の長期の地方訓練で、無理をなさったと聞きましたわ」
「無理?」
「あまりに田舎過ぎて、町は遠いし、娼館も無くて。個人で体を売っている方はいるらしいのですが地元の方でないと分からないですし。
それで、下女を眠らせて数人で……」
は!?
「そこにバックス卿が?」
「どうも性欲が強いらしくて、我慢がきかないようですわ。一緒に下女に手を付けたのは平民と下級貴族令息と聞きましたわ。
従兄弟は誘われてお断りしたとか」
「問題にならなかったのですか?」
「下女が覚えていないし、証拠もありませんもの。泣き寝入りですわね。
町が近くて娼館があっても行きたがらないそうですわ。誘っても断られると」
「弟が兄と話しているのを聞きましたわ。
先月の地方訓練でも皆が娼館に行く中で、一人、使用人に声をかけていらしたと。
どうやらお金を掛けたくないのではと……」
「侯爵家の次男で独身で婚約者もいなくて、近衛騎士のお給料で?賭け事でもなさっているのかしら。それとも侯爵家に何か?」
「バックス家は普通の侯爵家ですわ。
賭け事も聞きませんわね。
誰かに貢いでいらっしゃるのかしら」
「隠し子とか」
「何かの賠償とか」
「婚約者ができない訳ね」
「カロンヌ公爵令嬢がお可哀想ですわ」
「王命だと聞きましたわ。断れませんものね」
「公爵家に影響がなければよろしいのですが」
「そういえばバックス侯爵令息は王女殿下の専従ではございませんか?」
「まあ!聞かれていないかしら」
「今日は当番ではないようですわね」
「王女殿下もお気を付けに、」
「王女殿下がひっかかるわけありませんわ。
いくら美形でもまともな令嬢は相手にしていませんもの。
彼が女性に求めているのは愛ではなくて性処理が手軽に出来る都合のいい女なのよ?
王女殿下を誘うわけがありませんわ」
散々だった。
それに、私を愛していると言っていながら、ずっと浮気していただなんて。
しかも王命がでてからも、非番の日以外、ほとんど交わっているわ。
それでも他の女達を抱くわけ!?
馬鹿にして!!
兄と弟の間に産まれた私はパパがとても愛してくれる。
私はパパの色を受け継いでブルネットの髪に少しピンク寄りの茶色の瞳。
顔立ちは可愛さに定評のあったママにそっくり。
王太子と王太子妃からは時々お小言をもらうけど気にしない。
パパの寵愛が妬ましいのね!
二年前、私は一目惚れをした。
バックス侯爵家の次男、アクセル様だ。
眩い金髪に青い瞳。中世的な顔立ちの美男子だった。
パパに専従騎士にするようお願いをした。
毎日のようにアクセル様が側にいて幸せだ。
一緒に居るうちに、私達は恋人になった。
彼は優しく口付けをしてくれて、愛を囁いてくれる。半年前の私の誕生日にアクセル様に純潔を捧げた。
それ以来、隙を見ては体を重ねている。
アクセル様が男性用避妊薬を飲んでくれている。
私が女性用避妊薬をメイドに持って来させるとバレてしまうし、アクセル様に持って来させるのも危険だ。見つかった時に毒ではないかと疑われかねないし、誤解が解けても城に持ってくるものではないと、用途を詮索されてしまう。
何故コソコソしているかというと、私が婚約しているからだ。
ブルノワ侯爵家の嫡男セバスチャン。
彼の髪の色は深緑。瞳は深紫。逞しく精悍な顔立ちで、全く私の好みではない。
お金に苦労させないように選んだんだって。
13歳の顔合わせの時にとても感じが悪かった。一見礼儀正しく見えるけど、私を馬鹿にしているのが分かった。
成人して、エスコートもしてくれるけど、甘い言葉なんて囁かないし、贈り物も誕生日にだけ。
この男の妻になるのかとガッカリしていた。
対して、アクセル様は絵本から飛び出てきた王子様の様な人で、甘い言葉を囁いてくれるし、よく贈り物もしてくれる。理想の人だ。
“アクセル様の妻になりたい”
情事の最中や事後にそう呟く。
アクセル様が跡継ぎならいいのに。
アクセル様がバックス侯爵を継ぐか、爵位を賜れば私はアクセル様の妻になれるのに。
パパにそれとなく話をしたら信じられない事になってしまった。
パパが王命で私のアクセル様に他の女と婚姻をさせるという。
私のアクセル様が妻を迎えて子作りに励んで、他の女がアクセル様の子を産む!?
許せなかった。
破談にさせようと思い、情報収集のため、義姉に聞きに行った。
「ソフィア・カロンヌ?」
「そうです。どんな女ですか!」
「ジャクリーン様と同い歳ね。
私とは学年が違ったけど優秀なのは知られていたわ。品行方正な方ね。茶会や夜会も滅多に出てこなかったわ」
茶会!
そうよ、それだわ!
茶会を開いて女を呼んで皆の前で屈辱を味わってもらうわ!
招待状を送り、数日後。
「何で私の茶会に欠席の返事を出すのよ!
やる意味が無いじゃないの!中止よ!」
侍女が言い辛そうに口にする。
「王女様、理由もなく中止には出来ません。王女様の評判に関わります」
二週間後、仕方なく茶会を開いた。その代わり、女のことを聞き出すなり、悪口を広めよう。
令嬢達に聞いてみたら、
「ソフィア様はとても評判の良い方ですわ」
「学園でずっと同じクラスでしたが、才女ですし、努力家ですわね」
「姉が王太子妃様の茶会でご一緒したのですが、姉がイヤリングを片方無くしてしまいましたの。一緒に探してくださり、とても親切な方だったと聞いておりますわ」
「慈善活動でご一緒しましたけど、刺繍の腕前がとても素晴らしかったですわ。
孤児院で小さな子供にもとてもお優しく、慕われておりましたわ」
何なの!?褒めてばかりじゃないの!
「養女だと聞いたのだけど」
「確か入学に合わせて養女に入られましたわ。あれだけ優秀なら養女にしたくもなりますわね」
「何故令息にしなかったのかしら」
「養子にできそうで、彼女より優秀な方が見つからなかったのでは?」
「外国からよね。どこの国か知ってる?
どこの家の者かとか」
「存じ上げません」
「気にしたこともありませんでしたわ」
「バックス家のアクセル様とご婚約なさったとか」
「意外な組み合わせですわね」
「正反対ですものね」
「どういうこと?」
「……」
全員が口を噤んでしまった。
「知りたいわ」
「侯爵令息は侯爵家の次男であの容姿でそれはもうモテて。
何故今まで縁談が無かったのか不思議で」
確かに。
「兄から聞いたことがありますわ。
成績も問題があったとか。
卒業も本来ならできなかったと聞きましたわ」
「確か、補習を受けて何度か再テストをして、ようやく卒業できたとか」
「夜会で遊んでいらしたわね」
「一夜を過ごしてくれそうな方に片っ端から声をかけていらして。目に余ったのか、兄が、みっともなから娼館にでも行けば良いのにと溢していらしたわ」
「令嬢が引っ掛からない夜はメイドに声をかけていたわね」
「うちのメイドも手を付けておられたわ。若くて可愛い子だったから一年程お付き合いしたみたいですわ。先々月に結婚の為に田舎に帰るまで続いておりましたわ」
先々月!?
「お付き合いというのは?」
「会うたびに体を求められたようですわね」
「っ!」
「先々月と言ったら私の従姉妹と同時進行だったのね」
「うちのメイドは殿方が好む体付きで、しつこく付き纏われたらしいですわ。
彼女は男爵家の令嬢で、婚約者がいたので頑なに断ったようですわ」
「学園でも見た目の可愛い子か、胸の大きな子に声をかけておりましたわ」
「まあ、胸の大きさで女を選ぶ殿方も少なくありませんものね」
どんどんアクセル様の女関係の話が出てきてしまった。
「昨日、うちで夜会があって、招待はしていなかったのですけど、招待客が騎士仲間で連れて来られて。
お二人とも、女性を物色して、休憩室に女性を一人連れてご友人と入られましたわ。
朝になっても出てこなくて、メイド長が入室すると、男二人と女一人が裸で寝ていたそうよ。疲れ果てて朝になっても起きないほど、楽しまれたのね」
「うちの弟も近衛に半年前から入っていますけど、よく名前があがりますわ。
時々地方遠征の訓練があって、その時は酒場の女性に手を付けたり、滞在先の領主の屋敷の使用人や娘に声をかけて回るのですって。
やはり胸の大きな方から声掛けすると笑ってましたわ」
「うちの従兄弟は王宮騎士時代の長期の地方訓練で、無理をなさったと聞きましたわ」
「無理?」
「あまりに田舎過ぎて、町は遠いし、娼館も無くて。個人で体を売っている方はいるらしいのですが地元の方でないと分からないですし。
それで、下女を眠らせて数人で……」
は!?
「そこにバックス卿が?」
「どうも性欲が強いらしくて、我慢がきかないようですわ。一緒に下女に手を付けたのは平民と下級貴族令息と聞きましたわ。
従兄弟は誘われてお断りしたとか」
「問題にならなかったのですか?」
「下女が覚えていないし、証拠もありませんもの。泣き寝入りですわね。
町が近くて娼館があっても行きたがらないそうですわ。誘っても断られると」
「弟が兄と話しているのを聞きましたわ。
先月の地方訓練でも皆が娼館に行く中で、一人、使用人に声をかけていらしたと。
どうやらお金を掛けたくないのではと……」
「侯爵家の次男で独身で婚約者もいなくて、近衛騎士のお給料で?賭け事でもなさっているのかしら。それとも侯爵家に何か?」
「バックス家は普通の侯爵家ですわ。
賭け事も聞きませんわね。
誰かに貢いでいらっしゃるのかしら」
「隠し子とか」
「何かの賠償とか」
「婚約者ができない訳ね」
「カロンヌ公爵令嬢がお可哀想ですわ」
「王命だと聞きましたわ。断れませんものね」
「公爵家に影響がなければよろしいのですが」
「そういえばバックス侯爵令息は王女殿下の専従ではございませんか?」
「まあ!聞かれていないかしら」
「今日は当番ではないようですわね」
「王女殿下もお気を付けに、」
「王女殿下がひっかかるわけありませんわ。
いくら美形でもまともな令嬢は相手にしていませんもの。
彼が女性に求めているのは愛ではなくて性処理が手軽に出来る都合のいい女なのよ?
王女殿下を誘うわけがありませんわ」
散々だった。
それに、私を愛していると言っていながら、ずっと浮気していただなんて。
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それでも他の女達を抱くわけ!?
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