【完結】婚約破棄された令嬢は、嫌われ後妻を満喫する

ユユ

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婚約破棄ですか

「エリーズ・アルミュア!」

ホールに響き渡るその声は、婚約者を呼ぶには相応しくない色をしていた。

着飾った貴族の令息令嬢が2人の間に一本の道をつくる。

エリーズは溜息を吐きながら 声の主の前まで歩いた。

緑色の髪に黄緑色の瞳をした男は、その腕にピンクの若き美少女版Z××Yを抱き寄せている。ピンク一色にフリルとレースを山盛りし、ミスマッチな緑の宝石を耳 首 指 手首に主張させている。金髪の髪はコロネ状になっていて、中央に黄緑色の宝石の付いたピンクのリボンでハーフアップにしている。瞳は水色。痩せていて胸は無い。発育が悪いのは貧しい故なのかもしれない。

「お前が俺のマリアを虐めていたことは知っている!だが誘拐はやり過ぎだろう!!」

「グスン。レアンドル様~、怖かったですぅ」

涙…出てる?
それも貧しい故?

「証拠はございますか?」

「マリアが証人だ!」

「誘拐犯の顔が私だったと?」

「見たんですぅ。男達に指示をしているエリーズ様を」

「何日の何時頃ですか?」

「そんなことはどうでもいい!」

「そんなこと?ブディット男爵令嬢が誘拐されたのにどうでもいいのですか?」

「そうは言っていない!マリア、言ってやれ」

「4日前の日が暮れて直ぐです」

「誘拐された場所は?」

「王都の東側にある本屋の近くです」

「全く身に覚えがございません」

「エリーズ!!」

「ひどい…グスン」

「お前は愛らしいマリアに嫉妬して誹謗中傷していたじゃないか!俺がマリアを愛しているから嫉妬していたんだろう!」

「嫉妬?何故私がその者に嫉妬しなくてはならないのでしょうか」

「うわーん!
マリアが庶子だからって見下して!」

「見下しておりません」

「身の程を弁えろって言ったじゃないですか!」

それはそうよ。あなたが擦り寄ったのはこの国の第二王子で、その婚約者は公爵令嬢の私なのだから。

「当たり前のことを忠告しただけです。常識を教えたら虐めになるのですか?」

「もういい!お前にはうんざりだ!
今ここでお前に婚約破棄を言い渡す!」

「破棄?私に非がないのに破棄をしても構わないのですね?」

「性根が腐っていて自分の非が分からないようだな。
可愛げがなくて役に立たない女など必要ない!」

「そうですか……私に非はございませんが承ります」

「マリア、これで俺たちは結ばれる」

「レアンドル様ぁ、マリア嬉しいですぅ」

もう用は無いわよね?
卒業パーティも顔を出したし、帰ろう。

「私はこれで失礼いたします」

「待て!同意書に署名していけ」

彼が侍従に持ってこさせたのは婚約破棄に同意しますという念書だった。

「この“エリーズ・アルミュアの有責により”という部分を消したものでないと署名いたしません」

「まだ言うのか!」

「長引こうとも譲りません」

「レアンドル様ぁ。早くしないと…」

「仕方ない」

有責の部分をなくした念書を作らせて2枚それぞれ署名してお互いが1枚ポケットにしまった。

「では、失礼いたします」

「待て!」

まだあるの!?

「何でしょう」

「お前に縁談を見つけてきてやった。南の外れにあるブラージェル子爵との縁談を用意してやった。
学園も卒業したことだし、すぐにブラージェル領の屋敷に向かえ。婚姻誓約の儀は2週間後だ。
婚姻祝いにお前のウエディングドレス代をブラージェル子爵家に贈ってやった。アルミュア公爵も承知している」

「…父が承諾したと?」

「そうだ」

「かしこまりました。
では失礼いたします」



卒業パーティの会場を出てアルミュア公爵邸に戻った。

そしてお父様の書斎の扉を開けた。

「ノックも無いのか」

「婚約破棄は想定しておりましたがブラージェル子爵の話は想定外です、お父様」

ペンを置いたお父様はじっと私を見て口角を上げた。

「馬鹿王子が変態とくっつけようとしていたから仕方なくブラージェル子爵を選んだ。
まあ、座れ」

お父様の机の正面に椅子を置いて座った。

「クリストファー・ブラージェル。37歳。
娘15歳、息子11歳。妻は息子を産んで直ぐに屋敷を出てそのまま離縁。
その後 恋人がいたこともあったが長続きせず破局。
領地の財政状況は良いとは言えないな。
貴族としてギリギリの暮らしだろう」

「何故そこに私を嫁がせるのですか?
お父様を稼がせてあげたのに酷いです」

「エリーズなら怒り狂うだろうが、エリなら喜ぶと思ったんだがな。ブラージェル領は国内最南端で海に面している。つまり?」

「魚!!」

「ほら、エリは喜んだだろう」

「でも結婚なんてしなくてよかったのに…」

「その方が安全なんだ。 

向こうは厄介者を押し付けられたと思っているから相手にしないだろう。だから港町の外れにある屋敷を借りておいた。改装も済んでるし使用人も先に住んでいる。あとは君が行くだけだ」

「もしかして厄介払いですか?」  

「まさか。いつでも里帰りしておいでエリーズもエリも私の娘だ」

「お兄様とお母様には?」

「エリのことは知らないし、計画的に進めているとも知らない。だから騒ぐだろうが宥めておくよ」

「はぁ。分かりました」

「王子にはお仕置きしておくよ」

「じんわりお願いします。瞬殺では面白くないですから」

「相手があの娘では勝手にそうなるさ」

「では明日 買い物に行きます。銀行にも寄らないと」

「エドには連絡を入れておいた」

「本当によろしいのですか?」

「元々エリーズ名義だし、既に楽に儲けさせてもらっているからね。エリーズの鉱山の収益に頼らなくても大丈夫だよ」

「もう葉巻は止めてくださいね」

「ちゃんと禁煙しているよ」

「ふふっ」

お父様とハグをしてから書斎を出て部屋に向かった。

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