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連呼します
2日後に訪ねてきたのはジスランだった。
「お母様、お父様は何かやってしまったのですよね?帰ってきた日からブツブツ独り言が煩いのです」
「ちょっとね。私が聞きたくない話をしたのよ」
「仲直りは出来そうですか?」
「どうかしらね」
「いざとなったら僕はここに移り住みます」
「ジスラン?」
「僕、お母様が大好きです。だから全面的にお母様の味方です」
「ジスラン~!」
その日はジスランを幼子のように甘やかした。
昼食はお肉を切ってあげて、お菓子は一つずつ食べさせた。髪の毛をとかしたり膝枕をして頭を撫でたり 本を読んであげたりした。
帰りたくないと言うので連絡をして泊まらせた。
翌日、海で泳いでいると ジスランはビーチテラスから出なかった。
「泳がないのー?」
「ここで見てます!」
日焼けを気にしているのかと思ったけど、もしかしてと思い、聞いてみた。
「ジスランは泳げるの?」
「……いえ」
「それはいけないわ。私が教えてあげる」
「僕は泳げなくても」
「駄目よ。命に関わるの。海とか川とか池に落ちるかもしれないじゃない」
「落ちないようにします」
「馬車が横転したり馬が暴走したりして落ちるかもしれない。視察中に転落するかもしれない。自然災害で洪水が起こるかもしれない。将来 自分の子が溺れたら?
それに海に面した領地を持つ当主になるのなら 泳げた方がいいと思うの」
「……」
「分かったわ。あなたの好きになさい」
自分の子なら幼い時から一緒に海に入って泳がせたけど、ジスランは実子ではないし11歳。抱き上げて海に一緒に入ることもできない。
泳げるか泳げないかの違いが いざという時に大きく影響するのにな。
そういえばクリス様は泳げたのに息子にも教えないのはどうしてだろう。
まあ、この世界では貴族は泳げない方が普通なのかな?
翌日は朝から港へ行くことにした。
朝漁の店がオープンするからだ。
魚を生かして漁港へ運び いけすに一時保管。
オープン寸前に客数を見ながら捌く。
朝漁カルパッチョ もしくはソテーをメインにして、パンとスープを選択する。
バケットをスライスしてトーストしたもので、ガーリック バジル ジャム3種のうちから選んだものを塗って提供する。
クリームチーズはモドキを作ってもらった。前の世界で食べていたものと同じにはならなかったので、レモンの皮をほんの少し入れて風味を出した。
クリームチーズだけはお高めになってしまうので別メニューにした。
スープは貝のスープか季節のミルクスープ。
私も楽しみで朝食を食べずに駆け付けた。
「ペリおじさん!」
「エリーズ様、おはようございます」
「おはようございます。無事オープンできたわね」
「全てエリーズ様のおかげです」
「私はお魚を釣って来れないし、捌けないわ。
そろそろ並ぶわね」
「まさか、エリーズ様を並ばせるなど出来ません」
「貴族も平民も並んで順番を待つのがルールよ。例外を作っては駄目よ、絶対に」
店のオーナーペリおじさんの腕をポンとたたいて列に並んだ。
あまり長い行列ができるようになったら、整理札を配って時間毎の入れ替えにしてもいいわね、などと考えていると 早速揉め事が起きた。
「信じられないわ!私に並べというの!?」
「それがルールでございます」
「並んでいるのが全員貴族なら分かるけど、平民もいるじゃないの!」
「ご不満であれば どうぞ別の漁港でお楽しみください」
「あなたは誰なのよ!」
「この店のオーナーの妻です」
「貴族なの?」
「違います」
「平民がこの私に指図をするの!?」
「お待ちください、お嬢さん」
列を抜けて 私と同じくらいの貴族令嬢とオーナー夫人のモリーの間に入った。
「お名前は?」
「は? ど、どうして私が名乗らなくてはいけないのよ」
「当然でしょう? 貴族かどうか分からないもの。自称かもしれないし」
「キャサリン・セベッジよ!」
「セベッジ? 聞いたことないわ~」
「セベッジ伯爵家よ!」
「他国ね?だけど証拠がないもの。口だけなら何とでも言えるわ。
皆さ~ん!この人がセベッジ伯爵家の令嬢だって言っているのですが、見たことある人はいますか~!?」
「ちょ、ちょっと!」
「キャサリン・セベッジ!キャサリン・セベッジ伯爵令嬢を知りませんか~!」
「あ、あなたね!」
選挙カーのウグイス嬢を意識しつつ、マイクや拡声器は無いので声を張り上げた。
「小さな子供も礼儀正しく並んで待っているのに、待てないと大声で喚いていました!
結構育ったこの女性が本当に貴族令嬢なら淑女教育を済ませているはずです!ですが簡単なルールさえ守れないと駄々をこねて周囲に迷惑をかけています!
名乗っただけでは貴族かどうかわかりません!貴族の名を語る大罪者かもしれません!
誰か!セベッジ伯爵令嬢を見たことがある方はいませんか!キャサリン・セベッジ!キャサリン・セベッジ!キャサリン・セベッジ伯爵令嬢を知りませんか!!」
「ちょっと!止めて!」
「あ、もしかして、立場の弱い平民や幼い子供を退かしてまで急いで食べなければならないほど飢えています?」
「なっ!」
「大変!!キャサリン・セベッジ伯爵令嬢が飢えていて倒れちゃうみたいです!!特別にあっちの木箱に座っていてください。私があなたの分を買って差し上げますから!」
「ひもじい思いをしたのですね。うちは一番ですから順番を替わりましょう」
「パパ、お腹すいた」
「ごめんな。でもあのお姉さんは何日も食べていなくて倒れそうなんだ」
「あんなに綺麗なドレスを着ているのに?」
「貴族は見栄があるんだよ。食事を削ってでも見た目を綺麗に取り繕うものなんだ」
「うちの二番目を譲りましょう。
きっと貧しくて家庭教師をつけてもらえなかったのでしょう」
「ち、違うわよ!!なんなのよ!!領主に言いつけるわよ!!」
「どうぞ?」
「え?」
「この港はうちの領地ですわ。ブラージェル子爵の妻 エリーズと申します。お話を伺いましょう」
「あ、あなたが?」
「はい」
「し、子爵夫人のくせに無礼だわ!」
「あんまり煩いと領法を適用して特別室へ宿泊させますよ?」
海の方を指差した。
「は?」
「あの小島、収監島ですの。それはもう自然豊かで 土や草の匂いで癒されますわ。体が抜け出せない程度の鉄柵で囲っただけですからほぼ自然と一体。朝は鳥の囀り、夜は獣の唸り声と光る目と満点の星空。素敵でしょう?
食事は具入りのスープだけ。虫や獣が寄ってくるほど美味しいスープ。
滞在中に新種の虫が見つかるかもしれませんわ。その時は“キャサリン”と名付けてもかまいませんわよ」
「私は何もしていないじゃない!」
「外交的にセベッジ伯爵家がどれだけ影響があるのか試しますか?」
「も、もういいわ!二度とこんな港に来るものですか!」
お供を連れて令嬢は馬車専用駐車場へ向かった。
「お元気で~!」
手を振って見送った。
「お母様、お父様は何かやってしまったのですよね?帰ってきた日からブツブツ独り言が煩いのです」
「ちょっとね。私が聞きたくない話をしたのよ」
「仲直りは出来そうですか?」
「どうかしらね」
「いざとなったら僕はここに移り住みます」
「ジスラン?」
「僕、お母様が大好きです。だから全面的にお母様の味方です」
「ジスラン~!」
その日はジスランを幼子のように甘やかした。
昼食はお肉を切ってあげて、お菓子は一つずつ食べさせた。髪の毛をとかしたり膝枕をして頭を撫でたり 本を読んであげたりした。
帰りたくないと言うので連絡をして泊まらせた。
翌日、海で泳いでいると ジスランはビーチテラスから出なかった。
「泳がないのー?」
「ここで見てます!」
日焼けを気にしているのかと思ったけど、もしかしてと思い、聞いてみた。
「ジスランは泳げるの?」
「……いえ」
「それはいけないわ。私が教えてあげる」
「僕は泳げなくても」
「駄目よ。命に関わるの。海とか川とか池に落ちるかもしれないじゃない」
「落ちないようにします」
「馬車が横転したり馬が暴走したりして落ちるかもしれない。視察中に転落するかもしれない。自然災害で洪水が起こるかもしれない。将来 自分の子が溺れたら?
それに海に面した領地を持つ当主になるのなら 泳げた方がいいと思うの」
「……」
「分かったわ。あなたの好きになさい」
自分の子なら幼い時から一緒に海に入って泳がせたけど、ジスランは実子ではないし11歳。抱き上げて海に一緒に入ることもできない。
泳げるか泳げないかの違いが いざという時に大きく影響するのにな。
そういえばクリス様は泳げたのに息子にも教えないのはどうしてだろう。
まあ、この世界では貴族は泳げない方が普通なのかな?
翌日は朝から港へ行くことにした。
朝漁の店がオープンするからだ。
魚を生かして漁港へ運び いけすに一時保管。
オープン寸前に客数を見ながら捌く。
朝漁カルパッチョ もしくはソテーをメインにして、パンとスープを選択する。
バケットをスライスしてトーストしたもので、ガーリック バジル ジャム3種のうちから選んだものを塗って提供する。
クリームチーズはモドキを作ってもらった。前の世界で食べていたものと同じにはならなかったので、レモンの皮をほんの少し入れて風味を出した。
クリームチーズだけはお高めになってしまうので別メニューにした。
スープは貝のスープか季節のミルクスープ。
私も楽しみで朝食を食べずに駆け付けた。
「ペリおじさん!」
「エリーズ様、おはようございます」
「おはようございます。無事オープンできたわね」
「全てエリーズ様のおかげです」
「私はお魚を釣って来れないし、捌けないわ。
そろそろ並ぶわね」
「まさか、エリーズ様を並ばせるなど出来ません」
「貴族も平民も並んで順番を待つのがルールよ。例外を作っては駄目よ、絶対に」
店のオーナーペリおじさんの腕をポンとたたいて列に並んだ。
あまり長い行列ができるようになったら、整理札を配って時間毎の入れ替えにしてもいいわね、などと考えていると 早速揉め事が起きた。
「信じられないわ!私に並べというの!?」
「それがルールでございます」
「並んでいるのが全員貴族なら分かるけど、平民もいるじゃないの!」
「ご不満であれば どうぞ別の漁港でお楽しみください」
「あなたは誰なのよ!」
「この店のオーナーの妻です」
「貴族なの?」
「違います」
「平民がこの私に指図をするの!?」
「お待ちください、お嬢さん」
列を抜けて 私と同じくらいの貴族令嬢とオーナー夫人のモリーの間に入った。
「お名前は?」
「は? ど、どうして私が名乗らなくてはいけないのよ」
「当然でしょう? 貴族かどうか分からないもの。自称かもしれないし」
「キャサリン・セベッジよ!」
「セベッジ? 聞いたことないわ~」
「セベッジ伯爵家よ!」
「他国ね?だけど証拠がないもの。口だけなら何とでも言えるわ。
皆さ~ん!この人がセベッジ伯爵家の令嬢だって言っているのですが、見たことある人はいますか~!?」
「ちょ、ちょっと!」
「キャサリン・セベッジ!キャサリン・セベッジ伯爵令嬢を知りませんか~!」
「あ、あなたね!」
選挙カーのウグイス嬢を意識しつつ、マイクや拡声器は無いので声を張り上げた。
「小さな子供も礼儀正しく並んで待っているのに、待てないと大声で喚いていました!
結構育ったこの女性が本当に貴族令嬢なら淑女教育を済ませているはずです!ですが簡単なルールさえ守れないと駄々をこねて周囲に迷惑をかけています!
名乗っただけでは貴族かどうかわかりません!貴族の名を語る大罪者かもしれません!
誰か!セベッジ伯爵令嬢を見たことがある方はいませんか!キャサリン・セベッジ!キャサリン・セベッジ!キャサリン・セベッジ伯爵令嬢を知りませんか!!」
「ちょっと!止めて!」
「あ、もしかして、立場の弱い平民や幼い子供を退かしてまで急いで食べなければならないほど飢えています?」
「なっ!」
「大変!!キャサリン・セベッジ伯爵令嬢が飢えていて倒れちゃうみたいです!!特別にあっちの木箱に座っていてください。私があなたの分を買って差し上げますから!」
「ひもじい思いをしたのですね。うちは一番ですから順番を替わりましょう」
「パパ、お腹すいた」
「ごめんな。でもあのお姉さんは何日も食べていなくて倒れそうなんだ」
「あんなに綺麗なドレスを着ているのに?」
「貴族は見栄があるんだよ。食事を削ってでも見た目を綺麗に取り繕うものなんだ」
「うちの二番目を譲りましょう。
きっと貧しくて家庭教師をつけてもらえなかったのでしょう」
「ち、違うわよ!!なんなのよ!!領主に言いつけるわよ!!」
「どうぞ?」
「え?」
「この港はうちの領地ですわ。ブラージェル子爵の妻 エリーズと申します。お話を伺いましょう」
「あ、あなたが?」
「はい」
「し、子爵夫人のくせに無礼だわ!」
「あんまり煩いと領法を適用して特別室へ宿泊させますよ?」
海の方を指差した。
「は?」
「あの小島、収監島ですの。それはもう自然豊かで 土や草の匂いで癒されますわ。体が抜け出せない程度の鉄柵で囲っただけですからほぼ自然と一体。朝は鳥の囀り、夜は獣の唸り声と光る目と満点の星空。素敵でしょう?
食事は具入りのスープだけ。虫や獣が寄ってくるほど美味しいスープ。
滞在中に新種の虫が見つかるかもしれませんわ。その時は“キャサリン”と名付けてもかまいませんわよ」
「私は何もしていないじゃない!」
「外交的にセベッジ伯爵家がどれだけ影響があるのか試しますか?」
「も、もういいわ!二度とこんな港に来るものですか!」
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「お元気で~!」
手を振って見送った。
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