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偵察
我儘な貴族客を追い払えて良かった。
「エリーズ様、申し訳ございません」
「いいの いいの。心配だから何日か様子を見にくるわ。いない時には笛を鳴らして兵士を呼んでね」
「はい、ありがとうございます」
オーナー夫人の手を握って労った。
順番が来て、外の席に座った。
パンは何も塗らず、貝のスープとカルパッチョにした。
「子爵夫人、相席をしてもよろしいですか?」
見上げると貴族らしい若い男性が2人立っていた。侍従関係がありそうだ。
「どうしてでしょう」
「テーブルが一つ空けば待たせる人も減ります。4、5人は座れる席ですから構いませんよね?」
確かに。相席テーブルも考えなくちゃね。
「どうぞ」
「ありがとうございます。
私はイエール・ベルトナーと申します。彼は相棒のダニエル・ログ」
「エリーズ・ブラージェルと申します。
ベルトナーといえば二つ先の国の港を持つ侯爵家の方ですね?」
「さすが、この港を改革した方ですね。もしかして、さっきのキャサリン・セベッジもご存知で?」
「あの方は存じ上げません。付近の港をちょっと覚えただけですわ」
「夫人のおかげでキャサリン・セベッジを忘れそうにありませんよ」
そのつもりで連呼したからね。
「オホホっ」
「似合わないなぁ」
「どういう意味ですか?」
「貴女はもっと気さくな方ですよね」
「……偵察ですか?」
「偵察だなんてそんな」
「そうですか」
「勉強に来たのですが 甘かったです。既存の仕組みはある程度真似できますが時が経てば結局また差が開くでしょう。改革の発想がまるで違います。この店のように新たに出し続けるはずです。そうですよね、ブラージェル子爵夫人」
「ベルトナー領は海の他に美しい湖もあるとうかがいました。取り柄が二つもあって羨ましいですわ」
「このクリームチーズは初めて食べました。こちらの国では一般的なものですか?」
「いいえ、ブラージェルのオリジナルです。開発して今日が初のお披露目ですわ。もう少し口当たりを改良できるはずですので、その時はレモンなどの風味を外すつもりです」
「パンは他のパンでもやりますか?」
「ちょっとテーブルに散らしやすいですが、この組み合わせが好きなのです。焼いて香ばしくしてお魚を乗せて食べても良し、スープに浸しても良し、何かを塗っても良し。スープも魚も歯応えはありませんから、パンの歯応えは必要です」
「ところで、ブラージェル子爵はご一緒ではないのですか」
「私は仕事としてやっておりません。個人的にこうなって欲しいと思って口を出しているだけですから。夫は夫の仕事がありますので別行動ですわ」
「貴女はブラージェル夫人で満足ですか」
「はい?」
「ブラージェル子爵の後妻ですよね。
貴女のような美しくて聡明な方ならもっといい縁談があったはずです」
「当時はいろいろありまして。
ブラージェルは私が自由に暮らせる土地でもあるのです。それに魚介類が好きということも大きいのです」
「ベルトナーに興味はありませんか」
「どういう意味ですか?」
「例えば、ベルトナー侯爵夫人とか」
「無いです」
「……では雇うというのはどうですか?破格の対価を支払いますよ」
「私、お金持ちです」
「……もしかしてブラージェル家は隠し財産が?」
「ふふっ 個人資産です。
この漁港の町の改革費用は私が出しました。だからお断りしますわ。それにやっと完成した屋敷を離れたくないので」
「屋敷も何かあるのですか?」
「私が住みやすくしただけですわ」
「厚かましいお願いなのですが、見せていただくことはできますか」
「今からですか?」
「今日でも明日でも構いません」
「初対面なのにですか?」
「この通り!」
どうしようかなぁ…
「もし君に何かあって亡命したければ助けよう」
「益々信用できないんですけど」
「保護する」
「私が国王殺しの指名手配犯になってもですか?」
「それは…」
「冗談です。仕方ありませんね。貸しですよ。
あと、目隠ししてうちの馬車で行きます」
「目隠し?」
「私にとってあなたもセベッジ嬢と同じように身元不明の自称貴族なだけですので屋敷バレしたくありません」
「いや、だって 夫人。ブラージェル邸の場所は公ではありませんか??」
「私、別邸で暮らしていますので」
「…分かりました」
目隠しをして私の馬車で2人を連れ帰った。
到着して目隠しを外させた。
「シンプルな作りですね」
「ごちゃごちゃは好きではないですし、掃除が大変ですから」
「なるほど」
玄関を開けると白を基調にして、ただ正面に巻物のように横に長い絵画が飾ってある。明るい色の花畑の絵だ。
「こんなに長い絵画は見たことがありませんよ」
「真っ白な何もない空間なのにこれひとつで充分ですね」
「掃除が楽でしょう?」
「これは扉?」
「引き戸です。横にずらしてください」
「小さな部屋になっていますね。靴と外套、日傘…外出に必要なものが入っていますね」
「ちゃんと姿見鏡もありますわ。
次は居間にご案内します」
居間に入ってすぐ目に入るのはプライベートビーチが見える扉だ。観音開きになりテラスに繋がっている。
室内は低めの大きなソファと普通の高さの一人掛けソファが置いてある。
「独特な形ですね」
「こちらのソファは座るというよりは横になると言った方がいいですねクッションで傾斜をつけて本を読んだりお昼寝をしたりできます」
「貴女が?」
「はい」
扉を解放してテラスに出た。
「景色を見ることの他に食を楽しむことを目的としています。あちらのグリルテーブルで食材を焼いて食べます。あちらはパンや長く加熱するものを入れる窯です。向こうからプライベートビーチに降ります。行きますか?」
「お願いします」
緩やかな階段を降りていく。
「屋根付きですね」
「日焼け対策です」
降りきるとビーチテラスに到着した。
「遊泳の合間の休憩に使ったり、食事をしたり単に景色を楽しみます」
「泳いでいるのですか?」
「こんなに美しいのに泳がないなんてもったいないですわ。それに素晴らしい運動になります。引き締まりますわよ」
「…なるほど」
カバーを取ってビーチバスを見せた。
「丸見えですね」
「入浴時は衝立で屋敷からは見えません。こっちは海ですし かなりの遠浅で船は近付きません。
景色を楽しみながら入浴できます」
「体験できますか?」
「家族専用なので残念ですが」
「子爵や子爵の子供達も入ったのですか?」
「はい下の子は泳がないので入っていませんが」
「子爵も泳ぐのですね」
「そうですね、たまに来て一緒に泳ぎます」
「別居なさっている…ということであっていますか?」
「はい。この屋敷は父が用意してくださったもので、自由に改装しました。私が海が好きで魚介類を食べることも好きなのを知っていますから、嫁ぎ先もブラージェルにしたそうです。
後妻なら子を産まない選択もできますし、子供も幼くはありませんので私が育てる必要もありません。
元々、アルミュアがお金を出して、その代わりに私を受け入れるという条件の婚姻ですから一緒に暮らす必要は無かったのです。
私は以前の婚約で嫌というほど縛られましたので、今は自由を優先させています」
「夫人はアルミュア公爵家のご令嬢でしたか」
「アルミュアをご存知で?」
「近隣諸国の上位貴族や国外と関連する仕事をする者はアルミュア公爵家を知っていて当然です。
婚約破棄、おめでとうございます」
「ふふっ 嬉しいですわ。そう仰ってくださるならおもてなしをしなくてはなりませんね」
メイドに準備をするように告げた。
「エリーズ様、申し訳ございません」
「いいの いいの。心配だから何日か様子を見にくるわ。いない時には笛を鳴らして兵士を呼んでね」
「はい、ありがとうございます」
オーナー夫人の手を握って労った。
順番が来て、外の席に座った。
パンは何も塗らず、貝のスープとカルパッチョにした。
「子爵夫人、相席をしてもよろしいですか?」
見上げると貴族らしい若い男性が2人立っていた。侍従関係がありそうだ。
「どうしてでしょう」
「テーブルが一つ空けば待たせる人も減ります。4、5人は座れる席ですから構いませんよね?」
確かに。相席テーブルも考えなくちゃね。
「どうぞ」
「ありがとうございます。
私はイエール・ベルトナーと申します。彼は相棒のダニエル・ログ」
「エリーズ・ブラージェルと申します。
ベルトナーといえば二つ先の国の港を持つ侯爵家の方ですね?」
「さすが、この港を改革した方ですね。もしかして、さっきのキャサリン・セベッジもご存知で?」
「あの方は存じ上げません。付近の港をちょっと覚えただけですわ」
「夫人のおかげでキャサリン・セベッジを忘れそうにありませんよ」
そのつもりで連呼したからね。
「オホホっ」
「似合わないなぁ」
「どういう意味ですか?」
「貴女はもっと気さくな方ですよね」
「……偵察ですか?」
「偵察だなんてそんな」
「そうですか」
「勉強に来たのですが 甘かったです。既存の仕組みはある程度真似できますが時が経てば結局また差が開くでしょう。改革の発想がまるで違います。この店のように新たに出し続けるはずです。そうですよね、ブラージェル子爵夫人」
「ベルトナー領は海の他に美しい湖もあるとうかがいました。取り柄が二つもあって羨ましいですわ」
「このクリームチーズは初めて食べました。こちらの国では一般的なものですか?」
「いいえ、ブラージェルのオリジナルです。開発して今日が初のお披露目ですわ。もう少し口当たりを改良できるはずですので、その時はレモンなどの風味を外すつもりです」
「パンは他のパンでもやりますか?」
「ちょっとテーブルに散らしやすいですが、この組み合わせが好きなのです。焼いて香ばしくしてお魚を乗せて食べても良し、スープに浸しても良し、何かを塗っても良し。スープも魚も歯応えはありませんから、パンの歯応えは必要です」
「ところで、ブラージェル子爵はご一緒ではないのですか」
「私は仕事としてやっておりません。個人的にこうなって欲しいと思って口を出しているだけですから。夫は夫の仕事がありますので別行動ですわ」
「貴女はブラージェル夫人で満足ですか」
「はい?」
「ブラージェル子爵の後妻ですよね。
貴女のような美しくて聡明な方ならもっといい縁談があったはずです」
「当時はいろいろありまして。
ブラージェルは私が自由に暮らせる土地でもあるのです。それに魚介類が好きということも大きいのです」
「ベルトナーに興味はありませんか」
「どういう意味ですか?」
「例えば、ベルトナー侯爵夫人とか」
「無いです」
「……では雇うというのはどうですか?破格の対価を支払いますよ」
「私、お金持ちです」
「……もしかしてブラージェル家は隠し財産が?」
「ふふっ 個人資産です。
この漁港の町の改革費用は私が出しました。だからお断りしますわ。それにやっと完成した屋敷を離れたくないので」
「屋敷も何かあるのですか?」
「私が住みやすくしただけですわ」
「厚かましいお願いなのですが、見せていただくことはできますか」
「今からですか?」
「今日でも明日でも構いません」
「初対面なのにですか?」
「この通り!」
どうしようかなぁ…
「もし君に何かあって亡命したければ助けよう」
「益々信用できないんですけど」
「保護する」
「私が国王殺しの指名手配犯になってもですか?」
「それは…」
「冗談です。仕方ありませんね。貸しですよ。
あと、目隠ししてうちの馬車で行きます」
「目隠し?」
「私にとってあなたもセベッジ嬢と同じように身元不明の自称貴族なだけですので屋敷バレしたくありません」
「いや、だって 夫人。ブラージェル邸の場所は公ではありませんか??」
「私、別邸で暮らしていますので」
「…分かりました」
目隠しをして私の馬車で2人を連れ帰った。
到着して目隠しを外させた。
「シンプルな作りですね」
「ごちゃごちゃは好きではないですし、掃除が大変ですから」
「なるほど」
玄関を開けると白を基調にして、ただ正面に巻物のように横に長い絵画が飾ってある。明るい色の花畑の絵だ。
「こんなに長い絵画は見たことがありませんよ」
「真っ白な何もない空間なのにこれひとつで充分ですね」
「掃除が楽でしょう?」
「これは扉?」
「引き戸です。横にずらしてください」
「小さな部屋になっていますね。靴と外套、日傘…外出に必要なものが入っていますね」
「ちゃんと姿見鏡もありますわ。
次は居間にご案内します」
居間に入ってすぐ目に入るのはプライベートビーチが見える扉だ。観音開きになりテラスに繋がっている。
室内は低めの大きなソファと普通の高さの一人掛けソファが置いてある。
「独特な形ですね」
「こちらのソファは座るというよりは横になると言った方がいいですねクッションで傾斜をつけて本を読んだりお昼寝をしたりできます」
「貴女が?」
「はい」
扉を解放してテラスに出た。
「景色を見ることの他に食を楽しむことを目的としています。あちらのグリルテーブルで食材を焼いて食べます。あちらはパンや長く加熱するものを入れる窯です。向こうからプライベートビーチに降ります。行きますか?」
「お願いします」
緩やかな階段を降りていく。
「屋根付きですね」
「日焼け対策です」
降りきるとビーチテラスに到着した。
「遊泳の合間の休憩に使ったり、食事をしたり単に景色を楽しみます」
「泳いでいるのですか?」
「こんなに美しいのに泳がないなんてもったいないですわ。それに素晴らしい運動になります。引き締まりますわよ」
「…なるほど」
カバーを取ってビーチバスを見せた。
「丸見えですね」
「入浴時は衝立で屋敷からは見えません。こっちは海ですし かなりの遠浅で船は近付きません。
景色を楽しみながら入浴できます」
「体験できますか?」
「家族専用なので残念ですが」
「子爵や子爵の子供達も入ったのですか?」
「はい下の子は泳がないので入っていませんが」
「子爵も泳ぐのですね」
「そうですね、たまに来て一緒に泳ぎます」
「別居なさっている…ということであっていますか?」
「はい。この屋敷は父が用意してくださったもので、自由に改装しました。私が海が好きで魚介類を食べることも好きなのを知っていますから、嫁ぎ先もブラージェルにしたそうです。
後妻なら子を産まない選択もできますし、子供も幼くはありませんので私が育てる必要もありません。
元々、アルミュアがお金を出して、その代わりに私を受け入れるという条件の婚姻ですから一緒に暮らす必要は無かったのです。
私は以前の婚約で嫌というほど縛られましたので、今は自由を優先させています」
「夫人はアルミュア公爵家のご令嬢でしたか」
「アルミュアをご存知で?」
「近隣諸国の上位貴族や国外と関連する仕事をする者はアルミュア公爵家を知っていて当然です。
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