【完結】双子の公子様に執着された貧乏モブ令嬢になりました

ユユ

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アレン様にケーキを食べさせてもらっていると、エヴァン様が帰ってきた。

「あ!ずるい!」

「エヴァンのケーキはちゃんとあるぞ?」

「そうじゃなくて」

「メイ!」

エヴァン様の次は殿下が入室した。アレン様は皿を置き、私のガウンを整えた。

「殿下、ここはメイの部屋ですよ」

「メイ、すまなかった。風邪をうつした上にカレン嬢が君を…痛かっただろう」

「アレン様が助けに来てくださいましたので大丈夫です。風邪も自己免疫が弱っていたから私だけうつったのです。治りましたから気になさらないでください」

「だが、」

「私より殿下の方が大変そうですね。
私はクラスメイトの間か 長くても卒業までですけど、殿下は死ぬまでですからね」

「抉ってくるね…」

「だから大丈夫ですよ。殿下はご自分のことを心配なさってください。
それより、Aクラスで男爵令嬢と何かあります?」

「どうしてそれを…」

「ベリーさんが口走っていました」

「はぁ。実は、うちのクラスに市井育ちの令嬢がいてね。彼女は貴族のルールが身に付いていないんだ。
見た目がまあまあ良い子が、“クラスメイトだ”“友達だ”と言って令息達との適切な距離を無視するんだ。
彼女にとって普通の振る舞いだから注意をしても流してしまうんだよ。
好奇心旺盛で気さくな子だけど不自然なんだよ。相手は金持ちか高位貴族や私なんだ。
それ以外の令息や平民、女子生徒には関わろうとしていない。だからAクラスは独特な雰囲気に包まれているよ」

「殿下の目で見たその令嬢は、可愛いんですね?」

「止めてくれ。客観的な事実を言ったまでで私は…って、その目は何だ」

「見つめられるとドキドキしたり、髪に触れて匂いを嗅ぎたくなったり、困っている姿を見て守りたくなったりしていません?」

「…あの令嬢には無いな」

「え~っ イチャイチャしたり、いっそ深い男女の仲になったりするのはどうですか?」

「誰と」

「話題の男爵令嬢と」

サクッと進展してくれたらファラル・ミッションをクリアしちゃうんじゃない?

「ああ、そうだね。話題の男爵令嬢とならいいかもね」

「え!本当ですか!?」

「デートに誘ったら受けてくれるだろうか」

「受けますよ」

「彼女は何処に行きたいと思う?」

「殿下、の名前は何ですか」

「チッ」

せっかく乗り気になった殿下にアレン様が令嬢の名前を尋ねた。何故か殿下は舌打ちをした。

「私も知りたいです」

「マナ・ライヤーだ」

え?

メイ→モヴィー→モブ
ヒロイン→ライヤー→嘘つき

……まさかね?

「どんな容姿なのですか?」

「小顔。ストロベリーブロンド、水色の瞳。背はメイより高い。胸は無さそうだ」

私は胸を両腕で隠した。

「ち、違うっ」

「言いました!今 私の胸を見て言いました!!」

「うわ、止めてくださいよ」

「私のメイになんてことをするんですか」

「何もしてないし言ってない!ライヤー嬢のことを言ったんだ!」

「……〈でも胸の大きさチェックはしているのね。やっぱり殿下も男なのね。まだ16歳なのに。もしかして胸の大きさ重要!?〉」

そんなことを考えていると双子は否定した。

「私は胸の大きさなど興味はない」

「僕もそうだよ。中身が大事だよね。
まあ、人それぞれですけどね、殿下」

「お前らずるいぞ!
容姿を聞かれたから言っただけで客観的だったろう!」

「ちなみに、どの程度のサイズをお求めで?」

殿下はまた私の胸を見た。

「て、手で収まるくらいがいいんじゃないかな」

「お気遣いありがとうございます。
あ、ベリーさんもそんな感じでしたね。
なるほど。気遣いじゃなくて、」

「メイの胸がいい」

「「「は!?」」」

私はアレン様の後ろに隠れた。

「ち、違うっ!言い間違えた!メイくらいの胸がいいって言いたかったんだ!」

「手籠の危機?」

「バッ!バカかっ!」

「冗談ですよ。
で、ライヤーさんと何処にデートしに行くんですか?もしかして、殿下の庭園を案内しようとか?
それともお忍びで街を散策ですか?」

「メイは何処に行きたい?」

「市場です〈調味料 ♪ 食材 ♪〉」

「市場?」

「メイ、私達が連れて行くからね。土曜日に行こうか」

「日曜日はお休みですか?」

「日曜はやってるけど観光客向けの物を中心に並べるらしいから、メイが求めているものは出ていないと思うよ」

「そうなんですね〈来週一人で行ってこようかな〉」

「来週の土曜日に連れて行くからね」

「いっぱい見て回ろう」

「ありがとうございます」

「え…私も行きたい」

「殿下は市場は無理ですよ」

「ゾロゾロ入れるところではありませんよ」

「ゾロゾロって何がですか?」

「お忍びでも殿下には護衛がつくんだよ」

「そうなのですね〈陰に潜んだり通行人のフリをするんじゃないんだ〉」

「少なければいいんだな?」

「殿下はライヤー様を市場に誘うのですか?」

「メイと行くんだよ」

「私とですか?つまらないですよ?」

「絶対に行くから。土曜にカルデック邸に来るから待っていてくれよ、アレン、エヴァン」

「「たぶん?」」

「先に行ったりしたら1週間カルデック邸に泊まるからな」

ライヤーさんとイチャイチャしてもらわないと困るんだけどなぁ。胸かぁ…シリコンパッドがあれば脱がない限り、リアルな偽胸で誤魔化せると思うけど。あったとしてもプレゼントしたらライヤーさんに引っ叩かれそうだよね。







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