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取り潰し
【 モヴィー男爵の視点 】
国の騎士団がモヴィー家に突然やってきた。
ドアを勝手に開けて儂らを拘束し家中をひっくり返した。
何も知らされずに輸送馬車に息子と孫息子と一緒に詰め込まれた。息子の嫁は別の馬車に乗せられた。
何が何だか分からないが、うちの馬車よりも乗り心地がいい。窓に鉄格子が付いていなければ。
初めの宿泊は質素な部屋だが宿に泊まり食事も与えてくれた。モヴィー家の暮らしより遥かにいい。
そこで息子の嫁とは別行動だと知った。
到着先は王宮だった。
一般牢に入れられ待つこと3日。儂などが滅多に拝顔できない国王陛下の目の前に立つことになった。息子も孫息子も一緒に。
「モヴィー男爵。そなたには貴族とはなんなのか、当主とはなんなのかが分からなかったようだな」
「へ、陛下」
「モヴィー男爵家での女性の扱いは酷すぎる。自分で狩ってこない限り肉を食わせない?釣ってこない限り魚を食わせない?そんなものは男の仕事だろう。男が獲物を狩ってきて、妻と子どもに与えるものだ。領主が領民を飢えさせないようにするのと同じで一家の主人は家族を飢えさせてはならない。
嫁や娘たちに何故服を買ってやらない?お前たちが飲んでいる酒を止めれば平民向けの服ならば買えるだろう?確かに領地は辺鄙な場所にあるし豊かではない。ならば男爵が領地の運営に取り組んで、息子と孫は出稼ぎに出ればいいではないか。
なのにお前たちのしたことは何だ!私が禁じたことをしているではないか!しかもまだ成人になっていない孫娘を独りカルデック領に向かわせ、給金の9割を仕送りしろ?どこまで強欲なのだ!息子や孫息子を出稼ぎに出して9割送らせればいいだろう!」
な、何故その事を陛下が…
「息子も孫息子も跡継ぎですし、出稼ぎに出すのは…。それに違法なことなど何も、」
「たいしたことをしていないのに跡継ぎ教育も何もないだろう!
そなたは今 私に嘘を申したな?」
陛下が合図を送ると誰かが入室してきたようだ。
恐る恐る振り返ると、宿屋に売ったはずの孫娘ミアだった。
「国王陛下にミア・モヴィーがご挨拶を申し上げます」
ま、まずい!
「ミア嬢。祖父であるモヴィー男爵が決めた就職先のことを事実のみ証言せよ」
「かしこまりました。
最初は単純に宿屋の使用人として働くのだと思っておりました。ですが面接の方が屋敷を訪れたとき、私が退室した後の会話を聞いてしまったのです。既に私の純潔に客がついて値も決まっていると。純潔の代金は半額が祖父へ。その後の売春の代金の1割が祖父に支払われることになっていると話しておりました。
そのとき、私は売春宿へ売られたのだと知ったのです。
逃げようにもお金もなく辺鄙な田舎ではすぐに捕まってしまいます。死のうとも考えましたが、私が死ねば代わりに妹のメイが売られてしまいます。そう思い 大人しく売られることにしました。
最初の客の後は療養が必要になりました。その後は日に7~11人の客を取らされました。様々な趣向の客を相手に全てを穢され続けました。
心の痛みを消すために魂を手放しました。
何も感じなくなった頃に ある家門が助け出してくださいました。
素晴らしい病院へ入院させてくださいました。手厚い看病の末に妹に会うまでに回復することができました。全てはカルデック公爵家のおかげです」
まずい…どうしたらいい…
「男爵。私は全ての貴族に法を守るように通達したはずだ。その中には娘や妻や妾を娼婦として売ってはならないという法律もあったはずだ。私が作って通達に署名して届けさせた。そなたが受け取った受領の署名もある。20年も経つと忘れてしまうのか?」
「へ、陛下…」
「ミアではなく別の名を名乗らせ 髪も染めさせたのは、明らかに違法だと知っていたからだろう?」
「っ!」
「モヴィー男爵家は取り潰しが決まった。今日付けでそなたは男爵ではなく単なる罪人だ。
息子はミア嬢の父親だ。守る責任があった。2人で囚人として死ぬまで労働刑に処す。孫息子は平民として解放するが、また妹の元に金の無心に行きかねない。よって、孫息子には王都とカルデック領への立ち入りを禁ずる。
息子の嫁は事情を話し実家に帰した。カルデック家が金を用立てたので受け入れるはずだ。離縁は成立している。
孫娘の長女アンナ嬢は離縁してミア嬢と暮らすそうだ。いずれにしてもカルデック家が独立費用を出すそうだ」
「何故カルデック家がメイドの家門に介入などするのです」
「メイ・モヴィーは本日付けでカルデック家の親戚の家門の養女となり、カルデック家の息子の妻となるからだ。あのカルデック家の息子達を味方に付けたのだ。それに王太子夫婦や王妃もメイ嬢のファンでな。私もすっかり魅力されたよ。
第五王子のニコラは求婚したこともある」
は?あのメイが??
「普通の田舎娘をですか?」
「多才な孫娘だということを知らなかったようだな。
とにかく、二度と会うことはない。
連れて行け」
そのまま息子と一緒に囚人用の馬車に乗せられた。
「父上のせいです」
「なに?」
「反対したのに」
「お前は!」
「煩いぞ!静かにしろ!」
兵士が儂を怒鳴り付けた。男爵だった儂を…。
「何処へ行くんだ」
「お前、平民になった罪人だろう。口のきき方を知らないようだな」
ゴッ! ゴッ!
棍棒で背中や脇腹を何度も殴打された。
「う…」
「出発!!」
国の騎士団がモヴィー家に突然やってきた。
ドアを勝手に開けて儂らを拘束し家中をひっくり返した。
何も知らされずに輸送馬車に息子と孫息子と一緒に詰め込まれた。息子の嫁は別の馬車に乗せられた。
何が何だか分からないが、うちの馬車よりも乗り心地がいい。窓に鉄格子が付いていなければ。
初めの宿泊は質素な部屋だが宿に泊まり食事も与えてくれた。モヴィー家の暮らしより遥かにいい。
そこで息子の嫁とは別行動だと知った。
到着先は王宮だった。
一般牢に入れられ待つこと3日。儂などが滅多に拝顔できない国王陛下の目の前に立つことになった。息子も孫息子も一緒に。
「モヴィー男爵。そなたには貴族とはなんなのか、当主とはなんなのかが分からなかったようだな」
「へ、陛下」
「モヴィー男爵家での女性の扱いは酷すぎる。自分で狩ってこない限り肉を食わせない?釣ってこない限り魚を食わせない?そんなものは男の仕事だろう。男が獲物を狩ってきて、妻と子どもに与えるものだ。領主が領民を飢えさせないようにするのと同じで一家の主人は家族を飢えさせてはならない。
嫁や娘たちに何故服を買ってやらない?お前たちが飲んでいる酒を止めれば平民向けの服ならば買えるだろう?確かに領地は辺鄙な場所にあるし豊かではない。ならば男爵が領地の運営に取り組んで、息子と孫は出稼ぎに出ればいいではないか。
なのにお前たちのしたことは何だ!私が禁じたことをしているではないか!しかもまだ成人になっていない孫娘を独りカルデック領に向かわせ、給金の9割を仕送りしろ?どこまで強欲なのだ!息子や孫息子を出稼ぎに出して9割送らせればいいだろう!」
な、何故その事を陛下が…
「息子も孫息子も跡継ぎですし、出稼ぎに出すのは…。それに違法なことなど何も、」
「たいしたことをしていないのに跡継ぎ教育も何もないだろう!
そなたは今 私に嘘を申したな?」
陛下が合図を送ると誰かが入室してきたようだ。
恐る恐る振り返ると、宿屋に売ったはずの孫娘ミアだった。
「国王陛下にミア・モヴィーがご挨拶を申し上げます」
ま、まずい!
「ミア嬢。祖父であるモヴィー男爵が決めた就職先のことを事実のみ証言せよ」
「かしこまりました。
最初は単純に宿屋の使用人として働くのだと思っておりました。ですが面接の方が屋敷を訪れたとき、私が退室した後の会話を聞いてしまったのです。既に私の純潔に客がついて値も決まっていると。純潔の代金は半額が祖父へ。その後の売春の代金の1割が祖父に支払われることになっていると話しておりました。
そのとき、私は売春宿へ売られたのだと知ったのです。
逃げようにもお金もなく辺鄙な田舎ではすぐに捕まってしまいます。死のうとも考えましたが、私が死ねば代わりに妹のメイが売られてしまいます。そう思い 大人しく売られることにしました。
最初の客の後は療養が必要になりました。その後は日に7~11人の客を取らされました。様々な趣向の客を相手に全てを穢され続けました。
心の痛みを消すために魂を手放しました。
何も感じなくなった頃に ある家門が助け出してくださいました。
素晴らしい病院へ入院させてくださいました。手厚い看病の末に妹に会うまでに回復することができました。全てはカルデック公爵家のおかげです」
まずい…どうしたらいい…
「男爵。私は全ての貴族に法を守るように通達したはずだ。その中には娘や妻や妾を娼婦として売ってはならないという法律もあったはずだ。私が作って通達に署名して届けさせた。そなたが受け取った受領の署名もある。20年も経つと忘れてしまうのか?」
「へ、陛下…」
「ミアではなく別の名を名乗らせ 髪も染めさせたのは、明らかに違法だと知っていたからだろう?」
「っ!」
「モヴィー男爵家は取り潰しが決まった。今日付けでそなたは男爵ではなく単なる罪人だ。
息子はミア嬢の父親だ。守る責任があった。2人で囚人として死ぬまで労働刑に処す。孫息子は平民として解放するが、また妹の元に金の無心に行きかねない。よって、孫息子には王都とカルデック領への立ち入りを禁ずる。
息子の嫁は事情を話し実家に帰した。カルデック家が金を用立てたので受け入れるはずだ。離縁は成立している。
孫娘の長女アンナ嬢は離縁してミア嬢と暮らすそうだ。いずれにしてもカルデック家が独立費用を出すそうだ」
「何故カルデック家がメイドの家門に介入などするのです」
「メイ・モヴィーは本日付けでカルデック家の親戚の家門の養女となり、カルデック家の息子の妻となるからだ。あのカルデック家の息子達を味方に付けたのだ。それに王太子夫婦や王妃もメイ嬢のファンでな。私もすっかり魅力されたよ。
第五王子のニコラは求婚したこともある」
は?あのメイが??
「普通の田舎娘をですか?」
「多才な孫娘だということを知らなかったようだな。
とにかく、二度と会うことはない。
連れて行け」
そのまま息子と一緒に囚人用の馬車に乗せられた。
「父上のせいです」
「なに?」
「反対したのに」
「お前は!」
「煩いぞ!静かにしろ!」
兵士が儂を怒鳴り付けた。男爵だった儂を…。
「何処へ行くんだ」
「お前、平民になった罪人だろう。口のきき方を知らないようだな」
ゴッ! ゴッ!
棍棒で背中や脇腹を何度も殴打された。
「う…」
「出発!!」
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