【完結】双子の公子様に執着された貧乏モブ令嬢になりました

ユユ

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久しぶりの神様

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「メイ、メイ」

「あ、ファラルたん。久しぶり」

「会うのは久しぶりだがちゃんと見ているぞ」

「覗き?着替えやトイレやお風呂も?」

「そこはぼかしている」

「神様も平気で嘘を吐くのですね」

「すまん。視線を逸らしようにはした」

「今日は?」

「知らせだ。ヒロインはバッドエンドになったが、色々と繰り広げてくれたので、合格をもらえた」

「じゃあ、私は関係ない?」

「そうなる」

「チッ」

「…だから自分の気持ちのまま生きてかまわない」

「どうしてヒロインはあんなことに?」

「王子や双子に見向きされなかったことが大きいな」

「副学園長とは?」
 
「ライヤー男爵が副学園長に裏金を渡して王子のいるクラスへ行けるように細工させたんだ。今回そっちの方が問題で退学になった。
肉体関係は一年生の終わりからだ。進級のための身体の賄賂だな」
 
「うわ。副学園長はよくあの程度の罰で済んだなぁ」

「見せしめだろう。転落していく様を見せて教訓にさせるのだよ。彼の環境は今後悪くなる一方だろうからな」

「あの、双子のうち、どちらかを選んだらどうなるの?」

「君が胸が痛むなら、選ばなかった方にすぐに出会いを作ってやってもいいし、選ばずに2人を夫にしてもいい」

「はい?」

「表向きはどちらかの妻だが、夜は夫が入れ替わっても分からない。双子の見分けがつくのは両親と乳母と執事と他は3人だけだ。
それに双子は君の気持ちを知っているが、選べないと言って2人とも選んでくれるのを望んでいる」

「ええ!?」

「君が望めば双子は両親を説得するし、表向きには長男にメイ、次男に契約上の訳あり令嬢を用意してカムフラージュに使うだろう」

「妻の共有なんて成り立つの?」

「あの双子は成り立つ。問題は君だな。
じゃあ、私はもう干渉しない。だが約束の報酬は続けるから月に一度紙に書いて机の上に置いてくれ。今までのようなレベルのものでな。急に金塊とか鉱山とか言われても無理だからな」

「寂しくなるなぁ」

「恨んでいたんじゃないのか?」

「もう怒ってないし」

「じゃあ、月に一度会いに来るよ」

「うん!」



ある意味、任務からは解放されて、清々しい朝のはずなのに、双子の機嫌が悪い。
夢に出てきたファラルたんとの会話を双子の話題抜きで報告してからだ。

「メイはさ、自分を殺した神に寛大過ぎなんだよ」

「そりゃあさ、美形の神には敵わないけどさ、私達だって容姿はいいはずなんだよ」

「そうだよ。僕達だってモテるんだよ?」

「神となんて結婚できないし、ずっと一緒にいてくれないだろう」

「なんで毎月会う約束なんてしちゃうの?」

う~ん。いっそのこと聞いちゃう?

「ファラルたんは、アレン様とエヴァン様が3人で結婚をしたいと思っていると教えに来たのです」

「「………」」

黙っちゃった。ファラルたんの思い違いなのね。

「違うことが分かって良かったです」

「…僕は選ばれないんでしょう?」

「え?」

「メイは僕よりもアレンの方が好きだから、僕は選ばれないんだよね?」

「エヴァン様…」

「分かってる。アレンの膝の上の方が安心しているみたいだしね」

「……」
 
「でも僕だってメイが大好きなのに」

私も2人とも好きだけど…

「本気ですか?」

「「本気だよ」」

「公表できませんよ」

「父上達を説得してくる」

「メイは部屋で待っていて」

「……」



その日の夜。

「メイ。本当に2人とも引き受けてくれるのかい?」

「公爵様は、」

「んん゛」

「お義父様は本当に3人の結婚を望むのですか?」

「アレンとエヴァンは特別なんだ。
私達はそれぞれに好きな子ができて、それぞれが結婚することを願っていたが、アレン達が気に入る令嬢が一人も現れなかった。2人は少しでも気に入らないと激しく拒絶してしまう。二度と自分達に言い寄らないように相手の致命傷となりかねない秘密を口にしてしまうのだ。
政略結婚なら我慢するかと思うだろう?だがカルデックに迎え入れるほど有益な物を持った家門がいない。他所に頼らなくとも うちは十分だからな。
そこにメイが現れた。2人はメイを気に入り心を許し、メイの為に動いた。2人が1人の女の子を好きになってしまった。
学園で出会いがあるかと期待したが無駄だったし、君は人を寄せ付けないと言われたニコラ王子殿下まで魅了し陥落し求婚させた。君以上とは言わないが、君に並ぶ令嬢は現れないだろうと思い知った。
どちらかを選べば 選ばれなかった方は生き地獄のような虚しい人生が待っているだろう」

いいえ、ファラルたんが女の子を用意してくれます、とは言えずに黙って聴くことにした。

「知人のご令嬢がね、訳アリでお嫁に行けなくて困っているの。その子を表向きのエヴァンの妻にしようと思うのだけど」

「あの、最初はそうでも令嬢の気持ちが動いて揉めてしまうのでは?」

「動くとしたら双子にではないわね」

「はい?」

「詳しくは正式に決定をして契約をしないと話せないのよ。
メイ。表向きはアレンの妻となって、アレンとエヴァンの妻になれる?2人を相手するのよ?」

アレン様は落ち着いて私を見つめ、エヴァン様は縋るような瞳を向けていた。

「はい。お願いします」

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