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婚約
数日後、双子と一緒に応接間へ行くと、知らない夫人と美少女がお義母様と一緒に座っていた。
「アレン、エヴァン、メイ。こちらはヘンブリー侯爵夫人とシエナ嬢よ。アレンとメイの婚約と一緒に エヴァンとシエナ嬢を婚約させるわ」
「シエナ・ヘンブリーと申します。よろしくお願いします」
着席すると促されたシエナは自身のことを話し始めた。
「私は幼い頃に歳上の男の子達に追いかけ回され暗い場所に連れ込まれて触られました。それがトラウマになって異性が苦手になりました。
王立学園には通えず隣国の淑女学園に通いました。
そして私の恋愛対象は同性だと気付きました。
ですがそれはこの周辺諸国の宗教上でも貴族社会でも許されないことです。
もう卒業もしましたし、いつまでも異性を避けてずっと実家にいることもできません。
今回、エヴァン公子と結婚しても表向きの演技だけで、あとは引きこもって公爵夫人の仕事を代わりにしているだけでいいという破格の条件を提示していただきました。是非契約を結びたいと思っております」
「「「……」」」
これはまた、新たな展開ね。
シエナ様に彼女ができればファラルたんは大喜びね。いわゆる続編に突入?
「あの、お気に召しませんか?」
双子はアイコンタクトをして意思の疎通をしたようだ。
少しシエナ様と話した双子は私の方を向いた。
「メイは?」
「え?これはアレン様とエヴァン様が決めることですよ?」
「違うよ。メイが決めることだ」
「僕達はメイがどう思うかが大事なんだ。少しでも嫌だと思ったらカムフラージュなんて止めて僕が独身主義だと思わせればいいだけなんだから」
シエナ様を見ると不安気な顔をしていた。
「シエナ様は侯爵令嬢ですね」
「はい」
「私は今は伯爵家の籍に移りましたが、元は男爵家の娘です。しかも末端で当主の祖父は法を破って爵位を没収されモヴィー男爵家というものは無くなりました。その私が次期カルデック公爵夫人となってしまうのです。シエナ様は表に立つことなく公爵夫人の仕事を密かにやるなんてことを許容出来ますか?」
「はい。お気に召さなければ追放してください。漏洩が心配であれば領地に幽閉してください」
「分かりましたわ。シエナ様、よろしくお願いします」
「ありがとうございます、メイ様」
私達4人は直ぐに婚約を発表した。
「なあ、メイ。本当に王子妃にならないのか?」
「なれませんよ。うちから犯罪者が2人出ているのですから」
「メイが嫁に来るなら父上に頼んで無かったことにするぞ?」
「いくら陛下のお力があっても無かったことにはなりません」
「このミソシル 美味い」
「豚汁と言います」
「私は絶対メイとの相性が良いはずだ。何せ食の好みが合うのだからな」
「殿下、私もメイ様のお食事が口に合いますの。ですから誘惑しないでくださいませ」
「双子でさえ面倒なのに番猫を増やすなよ」
「シエナ様はニコラ殿下の苦手な梅干しの良さを理解してくださるのですよ」
「それは絶対無理してるんだよ。メイに気に入られたくてフリをしているに決まっているだろう」
「メイ様の手料理の ニンニクと梅干しのパスタは絶品です。グリーンティーに梅干しを入れるのも大好きですわ。見た目は悪くなりますが、これでもかというくらいに潰すとエキスが滲み出て美味しいのです。メイ様のお食事は私の体の芯まで行き渡るのです」
「メイ、私にもそれを出してくれ」
「嫌ですよ。どれも梅干しが好きな人向けのメニューですよ?不味そうな顔をして食べて欲しくありません」
「私は王子教育を済ませた男だぞ。顔に出すわけがない」
「事前自白をありがとうございます。絶対に作りません」
「仕方ない、デートしよう?」
「何を仰っているのですか。メイ様はアレン様の婚約者ですのよ」
「私はメイの親友だし、身分で引き裂かれたが心の恋人だ」
「アレン様はニコラ王子殿下がメイ様にちょっかいをかけたら追い出していいと仰っておりました」
「私は王子だぞ」
「ニコラ。いい子にして」
「っ! 分かった、ごめん」
「ふふっ」
「メイ様…」
そして夜。
「私達の不在中に殿下とイチャイチャしていたんだって?」
「していません。むしろ注意しました」
「結果的に殿下が喜んでいたらしいじゃないか」
「僕達がいるのにデートに誘われるなんて」
「殿下に言ってください」
「何で通すんだ?」
「だって…お友達なのに追い返すなんて可哀想で出来ません」
「はぁ…殿下、友達いないからな」
「自分から棘付きの分厚くて高い壁を作っているからね」
「あんなに人懐っこくて優しいのに不思議ですね」
「それ、メイにだけだからな」
「本当それ。二重人格かと思ったよ」
私はニコラ殿下の寂しそうに微笑む顔が忘れられない。卒業パーティでも婚約パーティでも日頃の来訪でも。
そしてニコラと呼び捨てにするだけで喜んでくれる可愛い人。
「メイ、私は浮気を許さないぞ」
「はい?」
「アレン、エヴァン、メイ。こちらはヘンブリー侯爵夫人とシエナ嬢よ。アレンとメイの婚約と一緒に エヴァンとシエナ嬢を婚約させるわ」
「シエナ・ヘンブリーと申します。よろしくお願いします」
着席すると促されたシエナは自身のことを話し始めた。
「私は幼い頃に歳上の男の子達に追いかけ回され暗い場所に連れ込まれて触られました。それがトラウマになって異性が苦手になりました。
王立学園には通えず隣国の淑女学園に通いました。
そして私の恋愛対象は同性だと気付きました。
ですがそれはこの周辺諸国の宗教上でも貴族社会でも許されないことです。
もう卒業もしましたし、いつまでも異性を避けてずっと実家にいることもできません。
今回、エヴァン公子と結婚しても表向きの演技だけで、あとは引きこもって公爵夫人の仕事を代わりにしているだけでいいという破格の条件を提示していただきました。是非契約を結びたいと思っております」
「「「……」」」
これはまた、新たな展開ね。
シエナ様に彼女ができればファラルたんは大喜びね。いわゆる続編に突入?
「あの、お気に召しませんか?」
双子はアイコンタクトをして意思の疎通をしたようだ。
少しシエナ様と話した双子は私の方を向いた。
「メイは?」
「え?これはアレン様とエヴァン様が決めることですよ?」
「違うよ。メイが決めることだ」
「僕達はメイがどう思うかが大事なんだ。少しでも嫌だと思ったらカムフラージュなんて止めて僕が独身主義だと思わせればいいだけなんだから」
シエナ様を見ると不安気な顔をしていた。
「シエナ様は侯爵令嬢ですね」
「はい」
「私は今は伯爵家の籍に移りましたが、元は男爵家の娘です。しかも末端で当主の祖父は法を破って爵位を没収されモヴィー男爵家というものは無くなりました。その私が次期カルデック公爵夫人となってしまうのです。シエナ様は表に立つことなく公爵夫人の仕事を密かにやるなんてことを許容出来ますか?」
「はい。お気に召さなければ追放してください。漏洩が心配であれば領地に幽閉してください」
「分かりましたわ。シエナ様、よろしくお願いします」
「ありがとうございます、メイ様」
私達4人は直ぐに婚約を発表した。
「なあ、メイ。本当に王子妃にならないのか?」
「なれませんよ。うちから犯罪者が2人出ているのですから」
「メイが嫁に来るなら父上に頼んで無かったことにするぞ?」
「いくら陛下のお力があっても無かったことにはなりません」
「このミソシル 美味い」
「豚汁と言います」
「私は絶対メイとの相性が良いはずだ。何せ食の好みが合うのだからな」
「殿下、私もメイ様のお食事が口に合いますの。ですから誘惑しないでくださいませ」
「双子でさえ面倒なのに番猫を増やすなよ」
「シエナ様はニコラ殿下の苦手な梅干しの良さを理解してくださるのですよ」
「それは絶対無理してるんだよ。メイに気に入られたくてフリをしているに決まっているだろう」
「メイ様の手料理の ニンニクと梅干しのパスタは絶品です。グリーンティーに梅干しを入れるのも大好きですわ。見た目は悪くなりますが、これでもかというくらいに潰すとエキスが滲み出て美味しいのです。メイ様のお食事は私の体の芯まで行き渡るのです」
「メイ、私にもそれを出してくれ」
「嫌ですよ。どれも梅干しが好きな人向けのメニューですよ?不味そうな顔をして食べて欲しくありません」
「私は王子教育を済ませた男だぞ。顔に出すわけがない」
「事前自白をありがとうございます。絶対に作りません」
「仕方ない、デートしよう?」
「何を仰っているのですか。メイ様はアレン様の婚約者ですのよ」
「私はメイの親友だし、身分で引き裂かれたが心の恋人だ」
「アレン様はニコラ王子殿下がメイ様にちょっかいをかけたら追い出していいと仰っておりました」
「私は王子だぞ」
「ニコラ。いい子にして」
「っ! 分かった、ごめん」
「ふふっ」
「メイ様…」
そして夜。
「私達の不在中に殿下とイチャイチャしていたんだって?」
「していません。むしろ注意しました」
「結果的に殿下が喜んでいたらしいじゃないか」
「僕達がいるのにデートに誘われるなんて」
「殿下に言ってください」
「何で通すんだ?」
「だって…お友達なのに追い返すなんて可哀想で出来ません」
「はぁ…殿下、友達いないからな」
「自分から棘付きの分厚くて高い壁を作っているからね」
「あんなに人懐っこくて優しいのに不思議ですね」
「それ、メイにだけだからな」
「本当それ。二重人格かと思ったよ」
私はニコラ殿下の寂しそうに微笑む顔が忘れられない。卒業パーティでも婚約パーティでも日頃の来訪でも。
そしてニコラと呼び捨てにするだけで喜んでくれる可愛い人。
「メイ、私は浮気を許さないぞ」
「はい?」
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