【完結】責任など取らなくて結構です!

ユユ

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ヴェリテ夫妻の困惑

王太子殿下の誕生パーティ当時、私は実家に来ていた。

両親に呼ばれて応接間に行くとお父様が少し不機嫌そうだった。

「シェイナ、ノワール公爵は既婚者なのは知っているな」

「はい 」

「交際しているのか」

「違います。互いにパートナー不在の出席となるので、誘われただけです。
デュケット子爵とノワール公爵に可愛がっていただいているだけです」

「ノワール公爵は第二夫人を娶れる立場だが?」

「違います!」

「周囲の誤解を生むぞ」

「何したって誤解を生むのでしょう?
誰かと行けばその人との事を。一人で行けば男が寄りつかない令嬢として陰口をたたかれるのにどうしたらいいのですか?

どうしたら低俗な輩に合わすことができるのでしょう。

お父様は最善は何だとお考えですか?
いっそ、欠席しろとでも?」

「そうは言っていない」

「具体的にどうすれば一切陰口や噂話をされずに済むのか教えてください」

「いや、」

「無いのに気に入らないからとお父様の気持ちを押し付けるのは止めてください。
ローエン様は素敵な大人です。未熟な私を諭しながら導いて下さるのです。

私は私の判断を元に選択しますわ」

「シェイナ、どうして反発するの?」

「お母様もお祖父様やお祖母様に反発なさったでしょう?

第一王子であるお父様がヴェリテに婿入りしてまでお母様を選んだ時は、賛否があったはずです。

でも、己を貫いた。そうですよね」

「分かった。相手は既婚の公爵だから気をつけなさい。

それとバロウ辺境伯とはどういう関係だ」

「え?」

「建国祭の翌日、ここまで辺境伯の従者が訪ねて来たらしい。
シェイナとの面会を求めた先触れだったようだ」

「彼が私に失礼な事をしたので謝罪がしたかったのでしょう。無視してください」

「どんな事をされたの?」

「言いたくありません」

「制裁が必要か?」

「制裁するつもりなら自分でやりました。
見逃すことにしましたが、関わるつもりはありません」

「護衛を付ける」

「お父様、彼は国で一番の剣豪と呼ばれています。役に立ちますか?」

「逃げるための時間稼ぎになる」

「護衛も人です。分かりきったことをさせるつもりはありません。護衛は結構です」

「シェイナ!」

「彼は私を殺したいわけでは無いはず。
ただ、居ない、会わせない、教えないを徹底してくだされば助かります。

支度がありますので失礼します」


シェイナが退室するとメイドに指示を出した。

「マークスに、ノワール公爵が来たら会いたいと伝えてくれ。シェイナには知らせないで欲しい」

「かしこまりました」

「セイン、どうするの?」

「剣豪にぶつけるならノワール家だ。
公爵の気持ちを聞いて協力を頼むか引き離すか判断したい」

「引き離すという選択は駄目よ。それはシェイナが選ぶことだわ」

「ティア」




【 ヴェリテ公爵の視点 】


夕刻、ノワール公爵が到着して応接間に通した。

「ノワール公爵、どうぞお掛けください」

「失礼します」

「率直にお伺いします。シェイナに近付く理由は何でしょう」

「好きだからです。

私も父デュケット子爵もシェイナ嬢が好きです。

優しく賢く強く、そして脆い。
私も父もシェイナ嬢を守りたいのです。

お、シヴァ」

「スン スン ペロッ」

「良い子だ」

「……娶るおつもりですか」

「そう強く望んでいますがシェイナ嬢が決めることです。それに気持ちを伝えていません。

彼女は今、大人になって自立しようと頑張っているところです。それを僅かながらに支えさせてもらっているだけです。

しばらくは、守り、支え、人生の先輩として助言する立場でいるつもりです」

「夫人はご存知なのですか」

「ノワール家への政略結婚は他の公爵夫人とは違い社交もありません。
ただ、ノワール家の方針に従うのみ」

「シェイナも?」

「彼女は政略結婚にはなりません」

「夫人がお気に召さないのでは?」

「既にカメレオンを付けました。愚かな真似をすれば彼女は川に落ちて溺死するか、崖崩れで生き埋めになるか、何かしらの事故に遭うでしょう」

「奥方でしょう」

「ノワールに嫁いだ以上、命令は絶対。
妻は契約して嫁いてきたのです。シェイナ嬢とは違います。

妻は部下、シェイナ嬢は愛する女性です」

「よく分かりました。

実は相談があるのですが、シェイナに付き纏いそうな男がいて、護衛を付けようにも相手が強いから無駄だとシェイナが受け付けません。

制裁も不要だと。

それに命を狙っているわけではないから沈黙してくれればいいと言われてしまいました。

どんな失礼なことをされたのか口を割りませんが、謝りに来たいだけだろうと」

「バロウ辺境伯ですね」

「ご存知なのですか」

「何が起きたかは私の口からは言いませんが、不審に思って調査をしました。

謝るだけでは済みません。彼は縁談を申し入れようとするでしょう」

「分かりました。しっかり断ります」

「問題なのはシェイナ嬢の住まいが知られた場合です。

今のところ、宰相補佐見習いだとバレていない様です。
ですが今夜必ず見つけだすでしょう。

跡をつけられる可能性があります。
従者が有能そうですから」

ヴェリテ邸ここも危険だな。

ノワール公爵、辺境伯と従者が王都を出て一週間経っても舞い戻らないと確認できるまで、シェイナを預かってもらうことは可能ですか。その間、手を出さない前提で」

「勿論です。今夜から連れて帰り、職場は送り迎えをします。

ヴェリテ公爵、正面から出入りしては目立ちます。を使わせてください。出口で待機します。
城からは誰か王族が外に出す必要があります」

「陛下に願い出ましょう。場所はご存知なのですか」

「はい 」

「では、シェイナに説明するのでお待ちいただけますか」

「はい 」





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