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ロドルフ 3

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ある時リディアーヌが怒っているのが分かった。どうやらリディアーヌの友人に手を出してしまったようだ。気が付かなかった。
キャサリーン!?単なるクラスメイトじゃなくて友人!?

その友人が誘ってきたんだぞ!!

『知らない女だろうが知った女だろうが大して変わりないだろう』

友人の婚約者を誘って身体を重ねる様な女は友人ではないだろう!そういうつもりで発した言葉だった。

『でしたら婚約を解消してください』

その言葉にカッとなった。

『今更するわけないだろう。王子妃教育が終わり学園も今日卒業して婚姻の義は1年後。
ここまできて解消など許されない。

そもそもお前は気にもとめないだろう。

お前も遊べばいい』

リディアーヌは深い溜息をつくと去っていった。

言い過ぎた。

王子妃教育が始まってから距離を感じ、学園が始まるとそのうち溝ができてどんどん深くなっていった。

他の女達は甘えてくるのにリディアーヌは素っ気ない。

父上から片思いだった、婚約を断られた、王命で無理矢理などと聞いて燻っていたものが弾けた。

私のことなど愛していないのだろう?
体裁を気にしてるのか?それとも妊娠させるかもと恐れているのか?
気にもとめないだろう…。

“お前も遊べばいい”

何故そんな事を言ってしまったのか。
微塵も思っていないし、他の令息と話していただけで苛立つ。

流石に最後まではしないだろう。処女は王族に嫁ぐ絶対条件なのだから。
だが触れられたらと思うと気が狂いそうになる。

明日、謝ろう。
あの言葉だけは取り消さないと。

だけど運悪く翌日から他国の王族が滞在して思った以上に時間を取られた。4日後、見送り、やっとリディアーヌとの時間が取れると思って侍従に聞いた。

「リディアーヌは執務室か」

「リュフードゥル侯爵令嬢は登城しておりません」

風邪でも引いたのかと思った。
接待の間、禁欲していたし気を遣って疲れたので女の体に癒されたかったので登城していた令嬢の中から選んて抱いた。

令嬢を帰してベッドでぼーっとしていると侍従がやってきた。

「殿下、執務室にいらしてください。早く手をつけなければ書類の山が増えます」

「明日リディアーヌとやるよ」

「リュフードゥル侯爵令嬢は本当にいらっしゃると思っておられるのですか」

「当然だ」




翌日、リディアーヌは来なかった。
次の日も来なかった。
慌てて山となった書類に手を付けた。久しぶり過ぎて流れが掴めなかった。その間に書類は増えていく。

5通目の手紙に返信があったがリディアーヌではなく侯爵からだった。

“リディアーヌ宛の手紙を開封した事をお許しください。

毎日手紙が届くので緊急の要件かもしれないと思い読ませていただきました。

結論を申し上げますと、リディアーヌは登城致しません。二度と執務を手伝わせていただくことは無いでしょう。

元々婚約中に婚約者が王子の執務をすることが間違いなのです。

人手が必要でしたら人員を増やして補佐をさせてください”


二度と手伝わないとはどういう事だ。
王子妃になれば手伝う事もある。

翌日、先触れをだして侯爵家を訪ねた。

「リディアーヌを呼んでくれ」

「リディアーヌはおりません」

「買い物か?待たせてもらおう」

「リディアーヌは数日前から国外へ出かけております」

「は!? 私に断りもなく国外に出すなどどういうつもりだ!!」

「殿下、お言葉ですが、リディアーヌが何処に行こうとリディアーヌの自由です。私の許可は必要だとしても殿下の許可は必要ありません。

執務はリディアーヌの仕事ではございません。当てにされては困ります。
リディアーヌは殿下が女遊びをしている間も殿下の代わりに執務室で書類と格闘しておりました。

リディアーヌだって友人や家族と過ごしたかったはずです。

学園、王子妃教育、執務のほとんどを引き受けて夜遅くに帰り、そのあと湯浴みなどを済ませて勉強や課題をすませておりました。

睡眠時間は毎日2時間。良くて4時間でした。いつか倒れるのではないかと心配しておりました。

挙げ句の果てには浮気の現場を目にしたのです。
リディアーヌは泣いていましたよ」

「泣いていた!?リディアーヌが!?」

「令嬢教育、王子妃教育は感情を悟られない様に押し殺すことを強要いたします。
殿下の前では泣くまいと耐えたのでしょう。

挙げ句の果てにはリディアーヌに『お前も遊べばいい』と吐き捨てたようですね。

王命による婚約者であるロドルフ第一王子殿下のお言葉をありがたく頂戴することにいたしました」

「まさか…そんな事をすれば王族には…」

「そうですね。王族には嫁げません」

「リディアーヌは何処に行った!!」

「追いかけて無理矢理連れ戻そうとなされば最悪戦争になります。ペルマナントの親戚の家に滞在して夜会に出ていますから。

陛下によく確認なさってから行動しないとこの国は灰となり、殿下も首を落とされかねません。王族で次期国王の貴方の行動は国の意思だと受け取られますよ。

それと、リディアーヌは引継ぎ書と手紙を書いて置いてきたと言っておりました。
陛下に相談する前に読んでください」



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